「お勝手口」図書室

弊社会長・西川通子が、ひとりの女性としての胸の内を綴ったコラムです。
家事の合間にお勝手口で、お馴染みのご近所と、ちょっと立ち話、世間話。
そんな気楽な気持ちでお読みください。

平成29年 2月号

前を向いて

明けましておめでとうございます。

もう二月というのに明けましてでもあるまい…そう思われたかもしれませんが。今年ばかりは何月であっても、この欄の書初めはこの書き出しでと心しておりました。

昨年、たくさんの励ましとお心遣いをくださった皆様に、「ようやく熊本の心の夜が明けました」と、まずはお伝えしたかったからです。

春先、地震がありました。次いで長雨にたたられました。留めに阿蘇山が火を噴きました。この地に生まれ育ち七十有余年。昨年のような年は後にも先にもございませんでした。

日々各地の惨状を目の当たりにするたび、熊本は心折れてしまった。おいそれとは立ち直れぬにちがいない…そう感じて、胸に影射す想いばかりを募らせておりましたが。夏を過ぎたあたりから、それが大きな勘違いであることに気づきはじめました。

たしかに。未だブルーシートに包まれた建物を至る所で目にします。熊本城の復旧が成るのも、まだ遠い先のことでしょう。けれども。多くの人々は、すでに悲しみに暮れていず、疲れきった風も見せず、驚くほど明るく元気に過ごしているのです。

ここから新しい熊本を創っていこう!――会う人会う人にみなぎる意気を感ずるたび私は、慰めではなく、前向きな心を励ますなにかをしたいと思い始めておりました。

機会が巡ってきたのは、昨年の十一月。ご存じの方もいらっしゃると思いますが。育てていただいたご恩返しにと思い、毎年暮れに社の建屋や敷地をイルミネーションの灯りで飾り、地元の皆様をお迎えしてまいりました。

二十二年休まずつづけてまいりましたが、冬の風物詩と言われ出した頃から、飽きられぬ前に…と考え、一昨年をもって終了し、次になにをするかを探しておりました。

毎年、社員総出で手作りしておりましたゆえ、今年はそれが無い…と思うと、いささかならず荷を降ろしたような、ホッとした気で過ごしていたのですが。とある日、自席で呆けていた私のもとへ社長と社員が押しかけてきて、勢い込んでこう言ったのです。

「イルミネーションをやりましょう。今年やらないでいつやるんですか!」。

思いもよらない申し出に面喰いはしましたが、すぐにハタと膝を打つ想いが。そうだ、その手があった!「ぜひやりましょう!」。そう返事をするやいなや、社員たちは仕舞い込んだイルミネーションの設備を取り出し飾り付けをはじめました。

今年は、例年よりこじんまりとした規模にまとめましたが。新たに空港へつづく道沿いにも灯りを並べ、熊本を訪れる方々にもご覧いただけるよういたしました。

おかげさまで多くの方にお楽しみいただけているとのこと。それを聞きながら、窓の外に広がる美しい光の景色に目をやって、人の心の強さ温かさを感じつづけた一年を、心通ずる出来事で締めくくることができて、本当によかったと思っていました。

本年も心を尽くしてまいります。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

西川通子

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