再春館製薬所 研究開発部

ピンピネラの紫外線照射による
成分変化と機能性向上

日本生薬学会第69回年会

2023.09.09

学会発表

再春館製薬所 研究開発部と熊本大学薬学部は、ピンピネラに紫外線を照射することにより、成分変化が起こり、機能性が向上することを確認しました。

植物は紫外線による酸化ストレスに対し、抗酸化物質(例えばポリフェノールなどの機能性成分)を合成・蓄積して対抗していることが知られています。植物の生育環境は含有成分や生理活性に大きな影響を及ぼすため、植物資源の有効利用を考える上で重要な要因です。

ピンピネラは低地、丘陵地、山地に分布しており、標高2,500m の紫外線が強い山肌でも確認されてる植物です。
そのため「ピンピネラにおいても紫外線照射が機能性成分含有量や抗酸化活性を増強される」という仮説を立て、検証実験を行いました。

抗酸化活性と抗酸化成分含有量の
増加を確認

ピンピネラの実生を屋外で1か月間育苗した後室内に移し、光照射条件を3群に分けて4週間栽培しました(※1)。 結果、地上部に抗酸化活性が認められました。
総フラボノイド含有量も、紫外線が強くなるといずれも有意に増加しました。
総ポリフェノール含有量は有意差は確認されなかったものの、照射時間増加に比例して増加傾向を示しました。

※1
@UV0h群:太陽光LED のみを 12h 照射する群
AUV6h群:太陽光LED12h 照射と同時に UV 320nm‐350nm )を 6h 照射する群
BUV12h群:太陽光LED12h 照射と同時に UV を 12h 照射する群
  • 抗酸化力グラフ

  • 総フラボノイド含有量グラフ

  • 総ポリフェノール含有量グラフ

機能性成分A含有量の増加を確認

HPLC分析により紫外線照射時間の増加に伴い、面積が増大しているピークを確認しました。ピーク面積は太陽光のみの照射に対して、紫外線を含んだものはいずれも有意に増加しました。
また、紫外線量の多い方が有意にピーク面積が増大しました。

HPLC分析による成分比較

LC/MSや標準品を用いたHPLCでの分析の結果、この化合物は機能性成分Aであると推定されました。

機能性成分A含有量グラフ

この実験により、ピンピネラの地上部において紫外線照射が機能性成分含有量や抗酸化活性を増強することが示されました。
ピンピネラの機能性原料としての有用性を示すとともに、機能性成分含有量や生物活性の強さに、生育地の自然環境が重要な役割を果たしていることが示唆されました。
有害な紫外線により転移酵素発現などが起こり、二次代謝産物が産生されるという報告もあり機能性成分の合成経路に何らかの変化を及ぼしていることが考えられます。

ピンピネラ

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