再春館製薬所 研究開発部

肌構造に即した新・乳化技術「ラメラ構造を持つ乳化粒子」を開発

浸透深度の向上により、8週間でシワ個数の有意な減少を確認

2026.02.27

研究

※初回公開日:2022年9月(旧サイトより移行)

再春館製薬所は共同研究により、年齢とともに変化する肌構造に着目し、肌への負担を抑えながら美容成分を効率的に届ける独自の乳化技術を開発しました。最新の浸透技術と、その実証データについてご報告します。

課題:加齢による肌構造の変化と、浸透を阻む「バリア」の壁

健やかな肌を保つためには、必要な場所へ必要な成分を届けることが不可欠です。しかし、加齢に伴うターンオーバーの乱れなどは、肌の防御反応として角層を厚くさせ、結果として美容成分の浸透を難しくさせます。
角層が厚くなると美容成分を届けるのが困難になりますが、無理に角層を突破しようとする手法は肌への負担となりかねません。私たちは、「肌へのやさしさ」を最優先にしながら、厚くなった角層のバリアをスムーズに通り抜ける技術の確立を目指しました。

メカニズム:身近な「乳化」を、肌構造に即した形へ

「乳化」という言葉は、私たちの日常生活でも非常に身近な現象の一つです。本来、油と水は混ざり合いませんが、界面活性剤を介することで分離しにくい安定した状態になります。
身近な例では「マヨネーズ」が挙げられます。マヨネーズは、酢(水)とサラダ油(油)を、卵(界面活性剤)の力を使って混ぜ合わせたものです。界面活性剤は図.1(A)に示すように、水になじむ部分(親水基)と油になじむ部分(親油基)の両方を持っているため、水と油を同居させることができます。この乳化している状態では、図.1(B)のように、水の中で油の粒子を界面活性剤が包み込んでいます。この小さな粒のことを「乳化粒子」と呼びます。

図.1

図.1:(A)界面活性剤の仕組み、(B)乳化粒子の様子 / 日本化粧品工業連合会ホームページより改変(1)

私たちは、この乳化粒子そのものを、肌のバリア機能を担う細胞間脂質と同じ「ラメラ構造(層状構造)」にする研究を進めました。そこで着目した原料が「乳酸発酵米」です。この天然素材を活用することで、ラメラ構造を持つ乳化粒子の作成に成功しました。(B)の一般的な乳化粒子とは異なり、水になじむ部分と油になじむ部分が両方露出しているこの乳化粒子は、パズルのピースが相手の凹凸に合わせて自分の向きを使い分けているかのようにふるまい、高い浸透力を発揮します。これにより、肌に負担をかけずに成分を深部まで送り届けることが可能になりました。

実証データ(1):有効成分の浸透深度が大幅に向上

この「ラメラ構造を持つ乳化粒子」の皮膚への浸透効果を確認するため、ラメラ構造も持つクリーム「構造あり」と一般的な「構造なし」のクリームに配合した有効成分ナイアシンアミドの浸透性を比較しました。
健常な成人男女5名を対象に、in vivo 共焦点ラマン分光装置を用いて測定した結果、図.2および図.3が示す通り、「構造あり」の乳化粒子を用いた製剤において、ナイアシンアミドのスペクトル強度が強く、より深い層まで到達していることが実証されました。

図.2

図.2:構造有無クリームでのナイアシンアミドのラマンスペクトル強度と浸透深度(A)構造ありクリーム、(B)構造なしクリーム / FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)

図.3

図.3:構造有無によるナイアシンアミドの到達深度比較(A)30分後(N=5,平均値±SD.,p<0.01)、(B)60分後(N=5,平均値±SD.,p<0.01)。構造あり製剤では30分後・60分後のいずれも有意(p<0.01)に深い浸透が認められた / FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)

実証データ(2):8週間の継続使用でシワ個数が有意に減少

次に、この高い浸透性が実際のシワ改善にどう寄与するかを確認しました。39歳〜65歳(平均年齢47.8歳)の男性10名を被験者とし、ナイアシンアミドを含有した「構造あり」「構造なし」のクリームを半顔ずつ8週間塗布する比較試験を実施しました。
図.4のデータが示す通り、「ラメラ構造を持つ乳化粒子」配合のクリームを塗布した区画では、試験前と比較してシワの個数が有意に減少しました。さらに図.5が示す通り、シワの深さや状態を評価する「シワグレード」の判定においても、構造ありクリームの方が改善度合いが高く、有意な傾向(p<0.1)が確認されています。

図.4 図.5

図.4:試験前後のシワ個数の変化(A)構造ありクリーム塗布区(N=10,平均値±SD.,**p<0.01)。構造ありクリーム塗布により有意な減少を確認 / FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)
図.5:試料間の各パラメーターの変化率比較 変化率:(試験後/試験前× 100)– 100 (D)シワグレード変化率(N=10,平均値±SD.,†p<0.1)。シワグレードの改善において、構造ありクリームの方が改善度合いが高く、有意な傾向が確認された / FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)

図.6の比較写真からも、8週間の継続使用によって目もとのシワの状態が改善し、肌が整っている様子が見て取れます。

図.6

図.6:ラメラ構造有無処方を半顔使用した8週間後の状態比較 / FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)

「効果」と「安心」の両立:原料へのこだわり

再春館製薬所は、「効果」だけでなく「安心」と「安全」も大切にしているため、原料の選定にも強いこだわりがあります。今回の技術の鍵となった「乳酸発酵米」をはじめ、石油由来の合成原料に頼りすぎず、環境に配慮し、持続的に入手可能な天然由来成分を優先して選定しています。
肌の構造に即し、肌と同化するこの浸透技術は、成分をただ届けるだけでなく、肌が本来持つ健やかさを最大限にサポートするためのアプローチです。私たちはこれからも研究を深め、お客様の健やかな肌づくりに全力を尽くしていきます。

【参照】
(1) 日本化粧品工業連合会HP 「やさしい技術解説 水と油が仲良く同居 乳化と可溶化」
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/surfactant
(2) 槌井千華・野口智子 「天然素材を用いたラメラ構造を有する乳化製剤による機能性成分の皮膚浸透性への影響」 FRAGRANCE JOURNAL 2022 No.504(Vol.50/No.6) p.41-46

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