新たに開発した乳化技術の、
人の肌への浸透効果を確認!


ラメラ構造は、肌のバリアを担う重要な構造です。
しかし、人の肌は年齢を重ねるにつれ肌の様々な機能が低下するため、肌を守るために角層が厚くなります。
角層が厚くなると、美容成分を浸透させるのが難しくなってしまいます。とはいえ、無理に角層を突破しようとすると肌に負担をかけてしまいます。
肌へのやさしさは担保しつつ、効果が期待される成分を届けたいところへ届けるために研究を進めてきました。
今回は、再春館製薬所が研究を進めてきた、ラメラ構造を持つ乳化粒子による肌に負担をかけない浸透技術について紹介します。
ラメラ構造を持つ乳化粒子の開発
乳化という言葉をご存じでしょうか?
乳化とは、私たちの日常生活でも身近な現象の1つです。
油と水を混ぜても、混ざり合わないのはご存知ですよね?界面活性剤があると、水と油が混じり合った状態で安定して、分離しにくくなります。この状態を乳化と言います。界面活性剤は図.1(A)に示すように、水になじむ部分(親水基)と油になじむ部分(親油基)の両方を持っているので、水と油を仲良く同居させることができるのです。身近な一例としては、マヨネーズがあります。マヨネーズは、酢(水)とサラダ油(油)を卵(界面活性剤)を使って混ぜて作ります。
乳化している状態では、図.1(B)のように水中の油の粒子を界面活性剤が包んでいます。この粒子のことを乳化粒子を言います。
再春館製薬所では、肌に負担をかけない浸透技術の研究として、ラメラ構造を持つ乳化粒子を作り、肌の構造に近づけることで、肌に負担をかけない浸透技術の開発を行いました。
そこで着目した原料が「乳酸発酵米」です。乳酸発酵米を使用したラメラ構造を持つ製剤の皮膚への浸透効果を確認するため、ラメラ構造を持つクリームとラメラ構造を持たないクリームの2種類を用意し、機能性成分であるナイアシンアミドのヒトの皮膚への浸透性を比較しました。(以下、ラメラ構造も持つクリームを「構造あり」、ラメラ構造を持たないクリームを「構造なし」とします)
すると、「構造あり」のクリームは、「構造なし」クリームと比べて皮膚への浸透が効率的に行われるという実験結果を得ることができました。(図.2,3)
ラメラ構造を持つ製剤には、様々な有効成分を肌に負担をかけずに効率よく浸透させてくれる可能性があり、今後、私たちの肌のケアに大きな効果を発揮してくれることが期待できます。




(A)構造ありクリーム、(B)構造なしクリーム
(A)30分後(N=5,平均値±SD.,**p<0.01)、(B)60分後(N=5,平均値±SD.,**p<0.01)
FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)
シワの減少効果
にも期待!
イキイキと年齢を重ねる上で、シワは肌の大敵!
年々シワが増えていくことを気にされている方は、多いのではないでしょうか?
ラメラ構造をもつ乳化粒子を用いた製剤は、有効成分を効率よく浸透させ、その結果、シワへの効果も期待できます。
ナイアシンアミドの浸透性の実験で使用したクリーム2種類を用いて、シワへの効果の確認も行いました。
ヒトの皮膚を用いてそれぞれのクリームを8週間塗ったところ、「構造あり」のクリームはシワの個数が減少していたという結果を得ることができました。(図.4,5,6)


(A)構造ありクリーム塗布区(N=10,平均値±SD.,**p<0.01)
(D)シワグレード変化率(N=10,平均値±SD.,†p<0.1)
FRAGRANCE JOURNALより抜粋(2)

いつまでもお客様の肌を
サポートしていきたいという
想いから原料を選んでいる
効果の期待できる化粧品には、どんな原料を使用しているのだろう?どんな成分が入っているのだろう?と興味を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
再春館製薬所は、「効果」だけではなく「安心」と「安全」も大切にしているため、原料にも強いこだわりがあります。
さらに、環境にも配慮しているため、環境に優しく、持続的に入手可能な原料を選んでいます。
また、石油由来の合成原料に頼らず、安定した原料の供給を試みています。
ラメラ構造を持つ乳化粒子は、有効成分を肌に負担をかけずに浸透させることが研究結果より示唆されたことから、今後、化粧品開発において大きな期待を膨らませています。
再春館製薬所は、さらに研究を進め、お客様の健やかな肌のサポートに全力を尽くしていきます。
【参照】
(1) 日本化粧品工業連合会HP 「やさしい技術解説 水と油が仲良く同居 乳化と可溶化」
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/surfactant
(2) 槌井千華・野口智子 「天然素材を用いたラメラ構造を有する乳化製剤による機能性成分の皮膚浸透性への影響」 FRAGRANCE JOURNAL 2022 No.504(Vol.50/No.6) p.41-46

