ANL(エーエヌエル)
体組織の修復と、老化や生活習慣病、
がんに深く関わる
「二面性」を持つタンパク質
ANL(Angptl2、
アンジオポエチン様因子2)
とは
Angptl2(アンジオポエチン様タンパク質2)は、私たちの体内で作られる分泌タンパク質の一種です。
本来は善玉タンパク質として、組織の修復や再生といった、体を正常に保つための重要な役割を担っています。
ですが、過食や運動不足などの生活習慣の乱れによって様々な組織でAngptl2が過剰につくられてしまうと、細胞の活動に必要なエネルギーをうまく作れなくなったり、くすぶるような小さな炎症が続きます。
そのためなるべく増加させたくないANLですが、紫外線や加齢によって皮膚中のAngptl2が増えることが研究により確認されています。
ANLが人体におよぼす影響
生活習慣病の原因に
加齢や過食、運動不足などの生活習慣の乱れによって様々な組織でAngptl2が多くつくられてしまうと、細胞の活動に必要なエネルギーをうまく作れなくなったり、くすぶるような小さな炎症が続く“慢性炎症”を引き起こします。その結果、糖尿病や動脈硬化、心不全などの心血管病、生活習慣病やメタボリックシンドロームの発症・進展につながってしまいます。
また、今は症状が出ていなくても、血液中のAngptl2濃度が高い人は、
@7年後に新たに糖尿病を発症している
A10年後に心血管病新規発症リスクが高いことが報告されている
ように、将来の病気につながる“老化を加速させる”因子なのです。

がんの転移を促進させる
がん細胞自身がAngptl2を分泌し、自らの移動能力や浸潤能力を高めることで、他の臓器への転移を強力に促進します。特に、乳がんや肺がん、骨肉腫などでその働きが報告されています。

老化の促進
コラーゲンを分解し、しわが発生する
紫外線を浴びた肌や年齢肌では、Angptl2が多く作られています。
Angptl2が多い肌でどのようなことが起きているか調べるために、Angptl2が多い細胞と通常の細胞を用いて、様々な遺伝子の発現状態を調べました。その結果、Angptl2が多い細胞では、紫外線を浴びた時と同様に多くの炎症反応が起こっており、コラーゲンを分解してしまう酵素が増加していることが分かりました。
加えて、Angptl2は細胞内の活性酸素を増加する働きがあります。活性酸素はコラーゲン自体を変性させ、十分な働きができないようにしたり、分解を促進したりします。
実際にAngptl2量と皮膚のコラーゲン量の関係を調べたところ、Angptl2量が多い人ほど、コラーゲン密度が低下していることが確認されました。

メラニン産生を促す因子を産生し、
しみのもとであるメラニンを作り出す
紫外線により刺激を受けると、メラノサイト(メラニンを作り出す細胞)に信号が送られ、メラニンという色素を生成します。ターンオーバーが正常な状態であれば、メラニンはメラノサイトの周りの細胞(ケラチノサイト)と一緒に肌の表面へ押し出され、最終的に垢として排出されます。しかし、過度の紫外線、加齢、ストレスなどの様々な要因からターンオーバーが乱れると、メラニンがなかなか外に排出されず蓄積し“しみ”になってしまいます。


ANL(Angptl2)を
過剰に生成しないためには
Angpt2の過剰生成を防ぐためにまず挙げられるのは、規則正しい生活です。
食生活においては、バランスよく栄養を摂取し、過食や間食を避けるようにします。そして適度な運動を行うことを心掛けましょう。
紫外線や加齢によっても増加するため、日焼け対策やスキンケアも心掛けてください。
規則正しい生活を送ることが、見た目の若々しさを保ち、将来的な生活習慣病等への対策となっていきます。

ヒトが、生涯を
健康にすごせるために。
Angptl2は、ヒトの健康な生活に密接に関わっています。
Angptl2の過剰生成を抑制することができれば、シミ・シワなどの見た目の老化や、生活習慣病やがんといった生命に関わる病気といった、生きていく上で必ず突き当たる悩みを防ぐことができます。
私たちはAngptl2の研究をこれからも続け、ヒトが生涯を健康で過ごせるよう尽力しています。
