再春館製薬所 研究開発部

HSP
(ヒートショックプロテイン)

美と健康を支える善玉タンパク質

HSP
(ヒートショックプロテイン)とは

細胞が熱などのストレスにさらされた際に、細胞を守るために作り出されるタンパク質の一群です。私たちの体は、どこかの働きが悪くなっても元に戻そうとする力が働きます。このような働きは、「自己回復力」や「根本力」と表現されることもあります。タンパク質の品質管理を行う「HSP」は、人間が本来持つ「根本力」を担うタンパク質だと考えることができます。

発見されたのは1960年代。「HSP:Heat Shock Protein」は、その名の通り、最初は「熱ショック(Heat Shock)」、つまり細胞中で熱によって増えるタンパク質として発見されました。
その後、様々な研究からHSPにはHSP32、HSP47、HSP70など様々な種類があることが明らかになり、HSPファミリーと呼ばれるようになりました。 さらにある種のHSPは、サーモトレランス(熱耐性)効果を持つ事が分かり、これまで注目されてきたのです。

HSP(ヒートショックプロテイン)によるサーモトレランス(熱耐性)効果

HSPの種類

HSPは、その分子量の大きさによって「HSP47」「HSP70」のように分類され、それぞれが異なる得意分野を持っています。
主な分野としては、「シワ・たるみの予防・改善」「シミの予防」「バリア機能の向上」などの美肌・アンチエイジング効果、「免疫力の向上」「疲労回復・筋肉痛の軽減」「生活習慣病の予防」などの健康効果です。
ここでは、再春館製薬所研究開発部が研究を行っているものも含め、いくつかのHSPの種類をご紹介します。

種類 主な存在場所 主要な機能 役割の詳細
HSP32
  • 細胞質
  • 活性酸素のバランス調整(酸化ストレス防御)
体のサビつき(酸化ストレス)を防ぐため、細胞を掃除する役割を持ちます。 毒素を分解し、強力な抗酸化成分を生み出して、細胞をダメージや炎症から守ります。
HSP47
  • 小胞体
  • コラーゲンの品質管理
肌のハリや骨を作る、コラーゲンを組み立てる役割を持ちます。 コラーゲンが壊れないよう、分泌前にねじれた構造を正しく整える作業を専門に行います。
HSP60
  • ミトコンドリア
  • エネルギー産生機能の維持
細胞のエネルギー工場である、ミトコンドリアの機能維持を行っています。エネルギーを作るために必要なタンパク質を正常な形に整え、活動停止を防ぎます。
HSP70
  • 細胞質
  • 小胞体
  • 汎用的なストレス防御
ストレスで壊れそうなタンパク質を直す、「細胞の救急隊員」の役割です。 熱などで変形したタンパク質に貼りつき、元通りに直して、細胞が死ぬのを防ぎます。
HSP90
  • 細胞質
  • シグナル伝達の制御
細胞の成長や指令を出す、「重要タンパク質のサポーター」を担います。 成長ホルモンなどの司令塔となるタンパク質を安定化させ、細胞の活動をスムーズに進めるのを助けます。

HSP70の詳細な働き

シワ・シミを防ぐHSP70

HSP70 (Heat Shock Protein 70)は、様々なストレスから細胞を守る役割を持つタンパク質です。
私たちは、「肌を守るタンパクを増やせばシワを防いでくれるのでは?」と考え、HSP70の働きを調べました。
その結果、HSP70は炎症やDNAの傷など「紫外線ダメージ」から肌を守ることが分かりました。

次に、シミの原因となるメラニンに対する効果について研究を進めました。その結果、HSP70が増えるとメラニンが減ること、つまりHSP70がシミを減らすことを見いだしました。

さらに私たちは、年齢肌のもう一つの悩みである「シワ」について研究を進めました。その結果、コラーゲンの生産工場である線維芽細胞をHSP70が保護し、さらにコラーゲンの分解酵素を減少させる働きをすることが明らかになり、HSP70を増やすことでシワまで防げることが分かりました。

HSP70は、世界で初めてシワとシミの両方を防ぐことが明らかになったタンパク質なのです。

HSPが不足する原因

ヒートショックプロテイン(HSP)は、細胞を保護する重要なタンパク質ですが、その産生量は常に一定ではなく、いくつかの要因によって不足することがあります。

加齢

最も大きな要因は加齢です。HSPを産生する能力は20代頃をピークに、年齢を重ねるとともに自然に低下していくことが知られています。

運動不足など

HSPは、熱(入浴やサウナ)、運動といった適度なストレスに応答して産生が誘導されます。本質的には体にとって必要なタイミングで作られることが大切ですが、運動を全くしない場合、HSPの産生量は減少してしまいます。

過度なストレス

適度なストレスはHSPを増やしますが、心身への過剰なストレスが長期間続くと、細胞の修復能力が追いつかなくなり、HSPの産生が低下したり、消耗したりすることがあります。

HSP不足で生じること

HSPは私たちの健康と若々しさを維持するために不可欠なタンパク質であるため、上記のような原因で不足してしまうと、様々な影響が心身に現れます。

皮膚の老化促進

シワ・たるみ
コラーゲンの正常な合成を助けるHSP47などが不足すると、肌のハリや弾力が失われ、シワやたるみの原因となります。
シミ・くすみ
紫外線などのダメージを修復するHSP70が不足すると、細胞のダメージが蓄積し、シミやくすみができやすくなります。

疲労の蓄積と回復遅延

細胞の修復機能が低下するため、運動後の筋肉痛が長引いたり、日々の疲れが抜けにくくなったりします。

免疫機能の低下

HSPには免疫細胞を活性化させる働きがあります。そのため、HSPが不足すると免疫システム全体の機能が低下し、感染症にかかりやすくなるなど、病気への抵抗力が弱まる可能性があります。

各種疾患リスクの上昇

細胞レベルでのダメージが修復されずに蓄積していくことは、生活習慣病をはじめとする様々な疾患の発症リスクを高める一因になると考えられています。

HSPを増やすには

HSPは加齢や環境によって減少する傾向がありますが、体に「マイルドなストレス」をかけることで意図的に増やすことができます。

入浴

最も手軽で効果的な方法の一つです。

湯温
40℃〜42℃
入浴時間
42℃なら10分、40℃なら20分が目安
ポイント
体の芯の温度(深部体温)を38℃程度まで上げることが目標です。入浴後は体を冷やさないように保温し、水分補給をしっかり行いましょう。

入浴イメージ

運動

少し汗ばむ程度の中強度の運動が効果的です。

ややきついと感じる程度のウォーキングやジョギングを30分程度。
注意点
散歩のように楽すぎる運動では増えにくく、逆に過度なトレーニングはHSPを減少させてしまうことがあります。

運動イメージ

サウナ

サウナによる熱ストレスもHSPを増やすのに有効です。

サウナイメージ

スキンケア

減少したHSPを補い、肌に備わっているダメージ修復・防御機能を高め、健やかな肌を保ちます。

スキンケアイメージ

これらの習慣を生活に取り入れることで、HSPの量を高め、若々しく健康な体を維持することが期待できます。
また、HSPはストレスを受けた後すぐには増えず、入浴においては数日経った後に量が多くなるという報告もあるため、継続して行うことが必要です。

健康に、若々しく
生涯を過ごすために。

HSPの減少を防ぎ、増やしていくことはヒトの根本的な力を高め、自己回復力の向上につながります。
私たちはこれまでもHSPを増加させる独自原料を見つけ出し、製品の効果を高めてきました。
引き続きHSPに関する研究を続け、ヒトが健康的に、若々しく生涯を過ごせるよう、尽力していきます。

HSP(ヒートショックプロテイン)研究イメージ