再春館製薬所 研究開発部

週周リズム

人間特有で、最も影響のあるリズム

週周リズムとは

週周リズム(英語: Circaseptan rhythm)とは、約7日間を周期とする生物学的リズムのことです。ラテン語の「circa(約)」と「septem(7)」を組み合わせた言葉で、時間生物学の権威であるフランツ・ハルバーグ博士によって提唱されました。

毎日の生活を考えると、1日のリズムである「サーカディアンリズム」が重要視されますが、私たちが着目しているのでは、人間特有のリズムである週周リズムです。
動植物は日照時間や季節の気温などでリズムが決まりますが、私たち人間の社会では、1週間を基準にするリズムが多く存在します。会社や学校なども、1週間を基準にして運営されていますよね。このように、私たち人間にとって、週周リズムは重要視しなければならないリズムです。

"人間に深く関わる"週周リズム

週周リズムが関係する「睡眠の質」

健康な生活を送るには、日周リズムを整えることは大事な事です。
では、平日と休日の過ごし方はどうでしょうか?平日と休日の生活習慣に違いが出ると、週周リズムが崩れてしまい、体調や気分に影響が出てしまいます。
現象としてよく知られているのは、「社会的時差ボケ」です。
社会的時差ボケとは、平日の睡眠時間と休日の睡眠時間の中央値の差により、実際の時間と体内のリズムにズレが起こることです。例えば、平日の睡眠時間は0時〜6時(中央値3時)、休日の睡眠時間は2時〜12時(中央値7時)としましょう。この場合、社会的時差ボケは4時間になります。分かりやすく言えば、「4時間の時差がある国に毎週旅行している」ということになります。海外旅行をした時のような時差ボケにより、日中の眠気、集中力の低下、体が怠いなどの症状が起こります。

社会的時差ボケイメージ

深部体温のリズムと週周リズムの深い関係

睡眠の質の低下には、ストレス、カフェインの摂取などさまざまな原因があるとされていますが、その原因の1つとして「深部体温」の変化があげられます。
人間には、「体の内部の温度」と「体の表面の温度」の2種類の体温があり、深部体温は前者のことを指します。深部温度は、36〜37度前後の範囲で上下があります。こちらも特有のリズムがあり、行動している日中は温度は上がりますが、睡眠中は温度が下がります。

私たちは「深部体温のリズムが週周リズムの乱れに関係するのではないか」と考え、活動と休息のリズムをそろえ規則正しい生活をした場合と、土日の活動開始を遅くして社会的時差ボケを起こした場合の1週間の深部体温の変化を比べてみました。
その結果、活動と休息のリズムが毎日同じ場合は深部体温の変化リズムが一定で、活動期の初期から体温上昇が起きることが確認されました。しかし、社会的時差ボケ状態になると、深部体温の変化リズムにズレが生じることがわかりました。月曜日の活動時の初期に体温上昇の遅れがみられ、かつ、そのリズムのズレが水曜日から金曜日にかけてようやく回復してくることも確認されました。
この研究により、「休日の過ごし方で生じた週周リズムの乱れにより深部体温のリズムのズレが引き起こされる」ということが確認されました。その結果、日中の様々な不調につながると考えられます。

規則正しい生活時と社会的時差ボケ時の深部体温のリズム

深部体温のリズムを整える対策方法

深部体温のリズムを整えることと週周リズムを整えることが密接に関係していることはお分かりいただけたでしょうか。
深部体温のリズムを整えると、健康・美容においてもプラスの効果が出てきます。

リズムを整えるためには、朝はおかゆなどの温かいものを摂取するようにしましょう。朝は深部体温を上げることが大事です。1番のオススメは「おかゆ」です。おかゆは体を温めるだけではなく、朝から栄養をしっかり摂ることもできます。また、雑穀米にすると食物繊維もしっかり摂ることができるのでお腹に優しくなります。さらに卵やお肉、豆類を入れてタンパク質も一緒に摂るのもおすすめです。

漢方の考え方の1つとして「気血水」があります。私たち人間の体は「気(エネルギー)」「血(栄養)」「水(免疫)」の3つで構成されています。この3つのバランスが保たれることで、私たちの体は健康な状態を保つことができます。朝温かいおかゆを食べることは、「気血水」の「気」を整えることにも繋がると考えています。可能であれば起床と就寝の時間をそろえるなど平日と休日の生活リズムを一定にし、社会的時差ボケを起こさないようにすることが一番です。ただ、実践が難しい方もいらっしゃるので「朝食におかゆ」から始めてみてはいかがでしょうか。

社会的時差ボケ時の体脂肪率グラフ