コラーゲンが不足すると
When there is a lack of collagen
コラーゲンは美容だけでなく、私たちが健康に暮らしていく上で欠かせない役割をいくつも持っています。
ではコラーゲンが不足するとどうなるのでしょうか。
コラーゲンが不足すると、肌のシワやたるみといった美容面だけでなく、体の様々な部分に不調が現れ、健康にも大きな影響を及ぼします。
コラーゲンは、体を構成するタンパク質の約30%を占め、細胞と細胞をつなぎとめる「体の支柱(スカフォールド)」の役割を担っているため、この支柱がもろくなってしまうと、全身の組織がその構造や機能を正常に保てなくなってしまうのです。
以下に、コラーゲン不足によって引き起こされる主な症状を場所ごとに解説します。
肌の変化
肌の変化は見た目に現れるため、最も実感しやすい変化です。
真皮の約70%を占めるコラーゲンが減少・劣化すると、肌の土台が崩れ、さまざまな老化サインとして現れます。
- シワ・たるみ
- 肌のハリを支える構造が弱くなることで、皮膚が重力に負けて垂れ下がり(たるみ)、表情の癖などが元に戻らず溝として定着してしまいます(シワ)。
- 乾燥・キメの乱れ
- コラーゲンはヒアルロン酸などの保水成分を支える役割も担っています。土台が崩れると、肌が水分を保つ力も弱まり、乾燥しやすくなります。
- 弾力の低下
- 肌を押したときに、跳ね返すような弾力が失われます。

髪・爪・歯への影響
コラーゲンは美容効果が注目されるため肌に意識がいきがちですが、皮膚の一部である頭皮や、爪の形成にも関わっています。
- 髪
- 髪にツヤやハリがなくなったり、髪の毛が細くなったり、切れ毛が増えたりします。頭皮のコラーゲンが不足すると、毛根をしっかり支えられなくなります。
- 爪
- 爪がもろくなって割れやすくなったり、表面に縦線が入りやすくなったりします。
- 歯茎の衰え
- 歯を支える歯茎や歯根膜もコラーゲンでできています。不足すると歯茎が下がり、歯周病の進行を早めたり、歯がぐらついたりする原因になります。

関節・骨・血管への影響
コラーゲン不足は健康そのものに深刻な影響を及ぼします。
- 関節の痛み
- 関節の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている「軟骨」の主成分はコラーゲンです。これがすり減ると、骨同士が直接こすれて痛みや炎症を引き起こし、「変形性関節症」などの原因となります。
- 骨がもろくなる
- 骨はカルシウムだけでできているわけではありません。コラーゲンが鉄筋のように骨のしなやかな骨組みを作り、その周りをカルシウムがコンクリートのように固めています。コラーゲンが不足すると、骨はしなやかさを失い、衝撃にもろく、骨折しやすい状態(骨粗鬆症の一因)になります。
- 血管の劣化
- 血管の壁の弾力性もコラーゲンによって保たれています。不足すると、血管が硬くもろくなり、動脈硬化のリスクが高まったり、些細な衝撃で内出血(あざ)ができやすくなったりします。

その他の影響
- 傷の治りが遅くなる
- 怪我をした際、新しい皮膚組織を作るための「足場」としてコラーゲンが使われます。不足していると、この修復プロセスが遅れがちになります。
- 眼精疲労
- 目の角膜や、ピント調節を行う毛様体の主成分もコラーゲンです。不足すると、目の機能が低下し、疲れやすくなることがあります。

コラーゲン不足になる原因
コラーゲン不足は、見た目の問題だけでなく、健康的な生活を送る上での様々なリスクにつながることがわかっていただけたと思います。
それでは、コラーゲン不足になる主な原因は何なのでしょうか?
加齢による減少
コラーゲンを生み出す力は、20代後半から徐々に衰え始めます。
40代時点では20代と比べ、男性は約20%、女性は約25%減少し、60代になると男女共に約半分にまで減少すると言われています。
古くなったコラーゲンを分解するスピードに、新しいコラーゲンを作るスピードが追いつかなくなり、質・量ともに低下していきます。これが、シワやたるみの大きな原因となります。
年齢と性別が皮膚の厚さ、
皮膚のコラーゲン密度に与える影響
*British Journal of Dermatology (1975) 93, 639.
紫外線による破壊
紫外線(特にUV-A波)は、肌の奥深く(真皮)まで到達し、コラーゲン線維を断ち切ったり、変性させたりする酵素を活性化させます。これにより、コラーゲンは破壊され、肌の弾力が失われます。これを「光老化」と呼びます。

生活習慣の乱れ
喫煙、睡眠不足、過度なストレスなどは、体内のコラーゲンを破壊したり、質を低下させたりします。
また、偏食などの食生活の乱れは、深刻なコラーゲン不足を生み出します。
栄養不足
コラーゲンの材料となるタンパク質や、合成を助けるビタミンC、鉄分が不足すると、新しいコラーゲンを効率よく作れません。

糖化による変性
糖化とは、体内の余分な糖が体温でタンパク質と結びつくことでタンパク質が変性・劣化し、AGEsという名の老化物質を生み出す現象です。コラーゲンがAGEs化したり、AGEsとコラーゲンが結びついたりすることで、コラーゲン本来の力が失われます。

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