蜂屋柿

蜂屋柿（はちやがき）とは、岐阜県美濃加茂市蜂屋町を原産とする、非常に大玉の渋柿の品種です。釣鐘のように縦長で、ずっしりとした重みがあるのが特徴です。

生のままでは強い渋み（タンニン）があって食べることはできませんが、これを伝統的な製法で干し柿にすることで、驚くほど濃厚で上品な甘さに変わります。この蜂屋柿から作られる最高級の干し柿「堂上蜂屋柿（どうじょうはちやがき）」は、古くから時の権力者への献上品として珍重されてきました。

蜂屋柿から抽出できる蜂屋柿エキスには、抗酸化物質であるβ-カロテンとタンニンが豊富に含まれています。肌の老化の大きな原因は、紫外線やストレスによって発生する「活性酸素」による体のサビですが、こちらに対して大きな効果を発揮します。
また、β-カロテンから変換されるビタミンAが、肌の生まれ変わり（ターンオーバー）を正常に保ち、キメの整ったなめらかな肌へと導くため、美肌効果も期待できます。
驚くことにこの効果は柿に共通する効果ではなく、「蜂屋柿」の皮でのみ認められた効果でした。

蜂屋柿は、その名の通り岐阜県美濃加茂市蜂屋町が発祥の地です。
この土地で生まれた在来種であり、1000年以上も前からこの地で栽培されてきたという、非常に長い歴史を持っています。
美濃加茂市周辺の自然環境は、年間を通じて温暖で、日照時間も長く、適度な降雨があるため、柿の栽培そのものに適しています。特に木曽川沿いは盆地であり、盆地特有の昼夜の寒暖差が大きいことも、柿が糖度を高く蓄える上で非常に適しているといえます。

蜂屋柿は、生産者の深い愛情と、代々受け継がれてきた伝統技術によって育まれています。
特に干し柿にする工程では、職人が一つひとつ丁寧に皮を剥いていきます。
この最後の最後まで手間暇を惜しまない姿勢こそが、最高級の干し柿『堂上蜂屋柿』として今に受け継がれているのだと、強く感じることができました。