紫蘭

紫蘭（シラン）は、日本、台湾、中国に自生するラン科の植物で、丈夫で育てやすい地生ランの一種です。庭や鉢植えで親しまれ、春の終わりから初夏にかけて美しい花を咲かせます。
花は名前の通り紫紅色の花が一般的ですが、白花の「白花紫蘭（シロバナシラン）」や、葉に白い縁取りが入る「覆輪紫蘭（フクリンシラン）」などの園芸品種もあります。
花の形はラン特有の形で、通常1本の茎から3〜7輪ほどの花を咲かせます。

紫蘭の効能は、その根っこにある球根（正確には偽球茎 - ぎきゅうけい）にあります。これを乾燥させたものは、「白及（ビャクキュウ）」という生薬（しょうやく）として、古くから漢方で利用されてきました。
白及には消腫・生肌（しょうしゅ・せいき）作用があり、腫れを鎮め、新しい皮膚の再生を促す作用を指します。白及の粘液質が患部を保護し、うるおいを保ちながら組織の修復を助けます。

大規模栽培を行っている地域が
無かったため、栽培計画の構想から開始

紫蘭は非常に丈夫であり、日本の気候によくあうため、日本全国で咲いている花です。しかし、国内で大規模に栽培を行われておらず、すぐに商品開発に必要な数量を調達することが難しい状態でした。
そこで私たちは、国内での栽培計画を立てました。
適切な紫蘭の育て方、育てるのに最適な環境を持った土地、生薬栽培に詳しい生産者などを一つ一つ確認・検証を行っていきました。
計画開始から5年が過ぎたころ、辿り着いたのは奈良県でした。

生薬栽培の先進地である奈良県で栽培を開始

奈良県は水はけのよい安定した土壌で、水も柔らかいなど、地形や気候風土などの環境要因に恵まれた土地です。
そのため飛鳥時代から生薬栽培を行っており、奈良県産の生薬は「大和薬種」と呼ばれ、特に効能の高い「トウキ、ボタン、シャクヤク」は「大和三種」と呼ばれており、重宝されています。

江戸時代から続く生薬栽培の老舗の手で、
栽培前例の無い紫蘭の生産に成功

栽培をお願いしたのは、江戸時代から生薬栽培を行っている「福田商店」様です。
全国各地への生薬栽培の技術継承も行っており、農家や行政、メーカーからの信頼も厚く、前例の無い紫蘭栽培をお願いするには最適でした。

紫蘭は丈夫ではあるものの茎が折れやすく、収穫までには5年の歳月がかかります。この栽培前例の無い紫蘭を、福田商店様はこれまで培ってきたノウハウで、農薬を一切使用せず、苗植えから収穫まで全て手作業で行うことで栽培を実現しました。