森と川

自然とのつながり

「人間も自然の一部である」という漢方の考え方に基づき、自然の恵みを人の力に活かす。そして、持続的な循環を生み出し、自然との共存を目指す——そんな私たちの理念をかたちにした拠点「再春館ヒルトップ」の成り立ちをはじめ、美しい自然への感謝と循環型の社会の実現に向けたさまざまな取り組みをご紹介します。

再春館ヒルトップのはじまり

熊本、高遊原(たかゆうばる)。周囲には豊かな森が広がり、阿蘇山を望むこの地に「再春館ヒルトップ」はあります。私たちは自然からの恵みを、人の力に役立てる漢方の会社として、人と自然が共生できるような製品づくりを行いたい。そんな想いから、この場所にたどり着きました。そのため、ヒルトップの建設計画は、高遊原に住む動物や植物の生態系を調べることからスタートします。

再春館ヒルトップ外観

ウサギや鳥、昆虫や植物。たくさんの住人がいるこの自然を、できるだけ残し、育んでいきたい。あとから来た私たちは、動物や植物の住み心地を損ねないことを一番に考え、元々ある木々をできるだけ残せるような設計を模索。そして完成したこの場所の名称は、ピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターが、自然保護活動に尽力した場所—英国・湖水地方に広がる丘陵地「ヒルトップ」から名付けました。

  • 花と蝶

    自然を守り、育てていけるように。ヒルトップの敷地内にはたくさんの花壇や花畑があり、四季の景色が広がっています。

  • イチョウの林

    【イチョウの林】道路工事で行き場のなくなったイチョウを引き取り、植えています。やさしい木漏れ日が降りそそぐ、心がやすらぐ場所です。

  • 感謝の鐘

    【感謝の鐘】自然へ、地域へ。この場所でものづくりができることへの感謝の想いを込めています。

  • つむぎ商館

    【つむぎ商館】小高い丘の上で自然に溶け込むように立てた本社屋。お客様との絆をつむぐ場所として「つむぎ商館」と名付けました。

  • 薬彩工園

    【薬彩工園】豊かな自然に囲まれて再春館製薬所の製品づくりは行われています。壁面は太陽光パネル。

  • 歓迎館

    【歓迎館】1年を通じて四季の花々が咲き誇るこの場所で、来社するお客様をお出迎えします。

  • わんぱく保育園

    【わんぱく保育園】敷地内にある社員専用の保育園。自然の中を駆け回り元気にすくすくと育ってほしい。両親も安心して預けることができます。

現在、私たちはこの「再春館ヒルトップ」に工場やオフィスなどの施設を置き、動物や植物の生態系を保護しつつ、水源となる森や花畑、池や小川など自然環境を育成しています。すべては、この自然を次世代につないでいけるように。そんな想いを込めた、私たちの取り組みをここからご紹介します。

自然との共生に向けた活動

  • 自然の循環が
    生まれる場所

    総面積29万m²
    敷地の7割が緑地・草地

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    東京ドーム6個分の広さにおよぶ「再春館ヒルトップ」は元々あった自然を出来るだけ残しながら、植物がいきいきと育つ環境をつくっていきたいと考え、動植物の生態系の調査を調べることから開発をスタートしました。人の手を加えることで豊かな自然を、次の世代につないでいくことも、大切な役目だと思っています。

  • 電力自給率
    100%

    敷地内に約3万枚の
    ソーラーパネルを設置

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    13年の年月をかけて、ソーラーパネルを建物の屋根や屋上などに張り巡らせました。敷地内で使用する年間電気量(電力自給率)100%を達成しており、年間3,356tのCO2削減につなげています(※2022年1月末時点)。

  • 漢方薬の搾りかすは
    土に還す

    エキス抽出後の原料は、
    土へ生まれ変わります

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    生薬を煎じてエキスを抽出したあとの原料のかすも無駄にせず、肥料として敷地内の畑にまき、野菜を栽培しています。社員食堂では、その野菜を使ったメニューが登場します。

  • 資源は捨てずに
    リサイクル

    工場資材の
    リサイクル率99%超

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    製造の際に出る資材のリサイクルはもちろん、オフィス部門の不要物も、可燃、プラスチック、金属、ビニール、古紙などを分別するように徹底。リサイクル率をゼロに近づける工夫を日々模索しています。

  • 地下水は
    必要な分だけ

    年間採取量
    12万m³(t)

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    熊本県は豊富な地下水に恵まれています。地上に降った雨は、地層の間をゆっくりと流れ、長い歳月をかけて磨かれミネラル成分などがバランスよく溶け込みます。地下水が湧き出るまで5年から20年、私たちの製品づくりには、「阿蘇の伏流水」と呼ばれる地下水を地下200mから汲み上げて使っています。

  • 製品づくりで
    年間に使う水

    3,000m³(t)

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    製品づくりに欠かせない、阿蘇の伏流水はもちろんのこと、容器の洗浄水や製造を行った大きな釜の洗浄にも必要です。使った水は社内で魚が棲めるくらいきれいに洗浄して再利用もしています。

  • 雨水が浸透する
    敷地の環境

    年間17万m³を涵養。
    その量は年間採取量の1.6倍

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    「再春館ヒルトップ」が位置する熊本県の益城町は、地下深いところの「地下水プール」へ水を運ぶ最良の場所です。年間の降水量も豊富で、製造や生活につかうために汲み上げた水よりも、多い水を還していることになります。

  • 廃水(再生水)の
    トイレ利用率100%

    社員1,000人が1年で
    使用する3,500tの水

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    製品づくりに使った後の水は、トイレの水洗に利用しています。一度使い終わった水を活用することで、トイレの水問題を解決しています。

  • 緑地を守り温室効果
    ガスを削減する

    年間のCO2排出量
    2,125t

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    約1,000人の社員が業務を行っている「再春館ヒルトップ」では、敷地の7割以上を締める緑地で、CO2を回収する事ができたらと考えています。そのために、樹木や草花、芝地を減らさないこと、そして木の伐採もなるべく行わないこと。そんな小さな活動を大切にしています。※表面の数字は、2022年度省エネ法定期報告書より

  • 四季を感じる丘

    敷地内には
    40種を超える木々が

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    「再春館ヒルトップ」をつくる上で、四季折々の自然の風景を楽しめることを大切にしてきました。春には、桜のトンネルをはじめ、8種約220本の桜を長く楽しむことができます。

  • 「桜チャリティー」

    3,000本以上の桜の木を、
    地域に寄付・植樹

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    地元・熊本への恩返しとして、1990年代から始めた「桜チャリティー」という活動で、阿蘇の大地で幼木から5〜10年かけて育てた桜を地域に植樹しています。これまで熊本県下に寄付・植樹してきた本数は、3,000本を超えています。

  • 植栽のプロが
    働いています

    敷地内の緑を
    次代につなぐために

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    再春館ヒルトップには「美花隊(びかたい)」という植栽を専門に行う社員が働いています。ありのままの自然を放置すれば病気などで枯れてしまうかもしれない木々も、計画的にパトロールすることで、美しい姿で次の世代につなげられるように守っています。

  • 地域の草木を
    病気から守る

    幹線道路の整備・植栽の
    ボランティアを行っています

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    熊本を訪れる方が、豊かな自然を感じられるように。敷地内に限らず、幹線道路の木々に日差しが当たるようにしたり、病気にならないようにしたりと、整備や植栽を自治体と協定を結び、毎年定期的に行っています。

  • 「木のふる里キャンペーン」

    切り倒される木を、
    敷地内に移植しました

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    再春館ヒルトップの竣工とともに、九州にお住いの一般家庭から、ご事情によって切らざるをえなくなった庭木を引き取る「木のふる里キャンペーン」を行いました。中には高さ20mのクスノキもあり、植え付けから20年を超えて、今ではヒルトップのシンボルツリーとなっています。

  • 雑木はチップにして
    敷地内に散布

    間伐した木を、
    土を守るチップにアップサイクル

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    人と自然が共に生きる場所として、継続的に雑木林に手を入れて、健康な林づくりを行っています。下草を刈り、余分な枝やツルを払い、時にはやむなく木を伐ることもありましたが、チップにして敷地内に散布。土壌の改良に役立てています。

  • 天窓のあるオフィスで
    電気を節約

    明るさも太陽から
    いただきます

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    私たちのオフィスは天窓がいくつもあり、晴れた日であれば、さんさんと明るい日差しが降り注ぎます。また、自然光の明るさを計算し、電気の力と併せて木漏れ日のような優しさを感じることができます。

  • 生ごみは
    コンポストで堆肥化

    コンポスト施設で堆肥にして、
    敷地内の畑の肥料に

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    私たちの社員食堂では、食べ残さないことがルールになっています。それでも卵の殻、魚の骨、オレンジの皮など生ごみとして出るものは、敷地内のコンポスト施設で肥料にして、敷地内につくった畑で野菜を育てるための土づくりに役立っています。

  • 生ごみの収集車が
    来ない会社

    堆肥で野菜を育て、
    社員食堂で提供し循環させる

    詳しくはこちら

    野菜の皮で出汁をひき、ブロッコリーのかたい芯は味噌漬けに、出汁をとった後の昆布も佃煮に。食材の恵みを余すところなくつかっているヒルトップの社員食堂には、生ごみの収集車がくることはありません。最後は肥料として土に還り、野菜の栄養として循環していきます。

  • 社員食堂の廃油は
    燃料へ

    社員食堂の揚げ油は、
    燃料として再生

    詳しくはこちら

    再春館製薬所は社内で社員食堂を運営しています。1,000人もの社員が利用する食堂から出た、揚げ油の廃油を廃棄するのではなく、バイオディーゼル燃料として精製してくれる企業へ引き取ってもらっています。いつか精製された燃料で社員の送迎バスが運行できたらと考えています。

  • 地域と連携して
    原料を栽培

    休耕地を再生して
    原料を生産しています

    詳しくはこちら

    化粧品に配合する原料は世界中から集まっています。その中の熊本で民間伝承的に栽培されていた不知火菊という品種は、農家で花びらを煎じて飲まれていたものを研究し、製品の配合にまでに至りました。栽培量もわずかだったので、地域と連携して休耕地を栽培地にするなど、自社管理栽培もおこなっています。

  • 社員食堂の床に
    間伐材

    間伐材を利用することは
    森林の保護につながります

    詳しくはこちら

    杉や樫の木などの木材になる途中、木を大きくするために間引かれた木材を圧縮して作られた間伐材は、丈夫な床材として重宝されています。ヒルトップでは、社員食堂の床を間伐材にして、捨てられるものを工夫して使うこと、「もったいない精神」で活動もおこなっています。

私たちの環境保全活動

  • 再春館ヒルトップの外観

    2001年に「再春館ヒルトップ」が誕生して以来、太陽光エネルギーの導入、限りない産業廃棄物削減と再資源化、そして敷地内の緑化維持などへの取り組みが実を結び、2003年に環境ISO14001の認証を取得。そして、次へのステップとして、2015年には環境方針に準拠した活動として自己宣言を行いました。これからも全社員で継続的な活動・改善に取り組んでいきます。

  • 再春館「太陽の畑」(太陽光発電設備)

    再春館「太陽の畑」(太陽光発電設備)

    本社建物の壁面から屋上、広く周辺地域にも及ぶ太陽光発電設備をつくりました。再春館「太陽の畑」と名付けたこの発電設備では、年間使用電力の100%にあたる電気をつくり出すことができます。CO2の排出量削減など、国際的に地球環境保全の動きが高まる中、再春館ヒルトップへ工場を移転した2001年に始まり、13年をかけて完成しました。「自然に負担をかけることのないように、使う電気は自分たちで100%つくりたい」と思い描いた取り組みが実現しました。

  • 集光器「ひまわり」

    集光器「ひまわり」

    虫眼鏡のようなレンズで太陽の光を集めて屋内に灯をともす「ひまわり」という集光器を工場の屋根に設置しています。天窓から外光を取り入れるのと同じ発想で、窓のない廊下や更衣室も昼間なら十分な明るさが得られます。

  • 地下水が生まれ、還す場所

    地下水が湧き上がる様子

    製品の製造に使う水は地下を流れる阿蘇の伏流水を使い、トイレや散水においては製造後に洗浄した水と雨水を組み合わせて、最後まで有効に活用しています。緑地や草地から地面に浸透した雨水は長い年月をかけて熊本の豊かな土壌に磨かれて、再び地下水として育まれています。水の循環が生まれる場所、再春館ヒルトップも自然の一員として、その役割を果たしています。

  • 風を感じて、呼吸する窓「スウィンドウ」

    風を感じて、呼吸する窓「スウィンドウ」

    エアコンに頼らない空調を自然の力を借りて実現しています。オフィスの高い位置に、風の強弱でゆらゆらと動き、開閉を自動調節する窓を取り付けました。スウィングする窓で「スウィンドウ」。オフィスで働く人や機械から発する暖気はまるで建物が呼吸するかのように、自然とその窓から抜け出ていき、快適さを保ってくれます。

  • 自然を守ること、木のふる里になることにも力を尽くしました。

    ものづくりの丘

    「再春館ヒルトップ」は自然と一体になった、ものづくりの丘を目指しました。その豊かな自然の中に立ち並ぶ樹木の一部は竣工時に、九州にお住まいのご家庭から移植した木々です。ご事情により切り倒さざるをえなくなった庭木を「木のふる里キャンペーン」として、新聞紙面などで呼びかけ引き取りました。移植して20年を超えた樹齢200年のクスノキは、今では、この丘のシンボルとなっています。

  • 夜間の電力で氷をつくり、昼間の負荷を削減「氷蓄熱装置」

    昼間の負荷を削減「氷蓄熱装置」

    再春館製薬所の工場では電力消費の少ない夜間電力をつくって氷をつくり、昼間にその氷を溶かして冷房などの空調に利用する氷蓄熱空調システムを導入しています。夏の冷房による電力負荷を氷蓄熱空調システムとは、電力消費の少ない夜間電力を用いて製氷し、それを解かして冷房などに利用するもの。夏の冷房負荷による偏った電力需要を平準化することであり、電力プラントの抑制、空調設備の小型化が図れます。

  • 環境に配慮した商品の包装

    環境に配慮した商品の包装

    資源のムダを少しでもなくすために、容器や梱包の改良を重ねています。

    残糸タオル

    ガラス製品の容器を保護するタオルは、タオル工場から出た残り糸を原料としています。

    能書兼用スリーブ

    商品の外箱となるスリーブは裏面部分を能書とし、余計な紙を使わない工夫をしています。

    密封パウチ

    クリーンルームからそのままお届けするための密封パウチは、製品を取り出した後再利用ができるようにチャックをつけています。保存容器としてご利用ください。

  • 社員一人ひとりが取り組む、身近な活動

    使わない場所の不要な電気は消す、紙一枚でもむやみに捨てない。毎日の仕事や生活の中で感じた「もったいない」の気持ちを行動に移す。私たちの環境への取り組みは、そんな身近なところから始まっています。

  • 阿蘇、天草の自然を未来の子どもたちにつなぐ「一本の木」財団

    「一本の木」財団

    再春館「一本の木」財団は、熊本の豊かな自然を未来に引継ぎたいという想いのもと、公益事業として、子供たちが自然にふれあって自然の大切さを学ぶ「環境教育活動事業」、自然環境の保護保全への理解を深めるための「普及・啓発事業」、自然保護活動を行っている団体等を支援する「助成事業」、地域緑化等のために樹木の寄贈や管理を行う「環境保全活動・環境整備事業」を行っています。熊本で、同じ想いを持つ人々との輪を広げ、人と自然がともに仲良く暮らしていける社会をつくることを目標に事業を推進しています。

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株式会社 再春館製薬所
環境方針

理念

  • 再春館製薬所の理念の基本は漢方思想である。「人間も自然の一部」という漢方理念を大切にしています。これからも自然の恵みを、人がよりよく生きる力とする製品づくりをつづけていきます。
  • 再春館製薬所のものづくりに不可欠な自然を、地球環境を守り育むため、全社員が力を尽くし、再春館ヒルトップが自然と環境を守りつづけるという約束の場所でありつづけるよう、積極的に活動・改善に取り組んでいきます

環境方針

  1. 事業活動や生産活動が環境に与える影響を的確に捉え、環境目的と環境目標を定め、環境保全活動及び汚染予防活動を推進し、その継続的な改善を図っていきます。
  2. 環境関連の法律、規制、協定等を遵守するとともに、必要に応じて自主管理基準を定め環境保全に努めます。
  3. 事業活動において、資源とエネルギーの削減と有効利用を図るとともに、さらなる廃棄物の削減及び再資源化を推進し、地球環境の維持・向上に努めます。
  4. 環境方針を文書化し、全従業員に周知徹底します。また、環境方針及び環境マネジメントシステムに則り、全社員を挙げ環境保全活動を推進するとともに、継続的な改善を図り、協力会社に対しても理解と努力を求めていきます。
  5. 地域社会とのコミュニケーションを図り、協調しながら環境維持に取り組んでいきます。
  6. この環境方針は、一般の方々が入手・閲覧可能なものにします。

株式会社 再春館製薬所
代表取締役CEO 西川 正明

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