生命の根源力!?HSPの働き

第1話 HSP(ヒートショックプロテイン)って何?

注目されるHSP(ヒートショックプロテイン)

しおれたレタスを50度のお湯にしばらく浸けていると、シャキッとよみがえってくることをご存知ですか?これと似た現象が、肌にもあります。 それは、「HSP(ヒートショックプロテイン)」です。自らの力で私たちの肌を守ってくれるタンパク質であることから、私たち再春館製薬所では「ブレーキタンパク」とも呼んでいます。

実はこのHSPにはたくさんの種類があり、私たちは、その中でもいくつかの代表的なHSPに注目しています。

今回は、この「HSP」がどのように見つかってきたのか? また、どのような働きをしているのか? などについて紹介したいと思います。


どうやって見つかったの?

HSPによるサーモトレランス効果

まず始めに、このHSPは、どのように見つかってきたのでしょうか?

発見されたのは1960年代。
「HSP:Heat Shock Protein」は、その名の通り細胞中で熱によって増えるタンパク質として発見されました。

その後、様々な研究からHSPにはたくさんの種類があることが明らかになり、HSPファミリーと呼ばれるようになりました。 さらにある種のHSPは、サーモトレランス(熱耐性)効果を持つ事が分かり、これまで注目されてきたのです。

こちらのイラストをご覧ください。通常は25℃で培養する酵母を、一気に50℃の環境に移すとほとんど死んでしまいます。 しかし、いったん37℃に移すことでHSPを増やした酵母では、50℃に移動すると、細胞死がほとんど起こらないことが分かりました。
このように熱ストレスに対して、細胞を強くする働きがサーモトレランス(熱耐性)効果です。

また近年は、熱ストレスだけでなく、様々なストレスに対しても、HSPは細胞を強くすること、すなわち、私たちの体を守ってくれることが明らかになってきました。


HSPによるサーモトレランス効果

HSPファミリーはタンパク質の「品質管理役」!?

HSPの働き

様々なストレスから、体を守ってくれるHSPファミリー。
それではいったい、どのような働きで守ってくれるのでしょうか?

これまでの数十年に渡る研究のおかげで、HSPファミリーは、タンパク質の「品質管理役」を担っていることが分かってきました。

こちらのイラストをご覧ください。
通常、タンパク質がきちんと働くには、「正しい立体構造」を保つことが重要です。
しかし、紫外線や物理的刺激などの様々なストレスによって、タンパク質はその立体構造が崩壊し、うまく働けなくなってしまいます。そんな時、HSPファミリーはタンパク質を元の構造に戻してくれるのです。

また、どうしても戻せない場合は、他のタンパク質の邪魔をしないように、壊れたタンパク質を壊す手助けもしてくれます。

私たちの体は、どこかの働きが悪くなっても元に戻そうとする力が働きます。
このような働きは、「自己回復力」や「根本力」と表現されることもありますね。
タンパク質の品質管理を行う「HSP」は、人間が本来持つ「根本力」を担うタンパク質だと考えることができます。


HSPの働き

私たちの体を守ってくれるHSP

タンパク質の品質管理役として働くHSP。
このHSPには、HSP32、HSP47、HSP70など様々な種類があることが知られています。
私たちは、その中でも代表的な「HSP70」に注目して研究を行ってきました。

HSP70は細胞を守る働きが強く、心臓や消化器、肺など、様々な臓器を守ることが報告されていました。

そこで私たちは、このHSP70が肌も守っているのではないかと考え、熊本大学と共同研究を進めてきました。
そして数年間にわたる研究の結果、HSP70が肌においてシミやシワを防いでくれることを明らかにしたのです。


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