坂本 彩香 監修
ブロバスケットボールチーム 熊本ヴォルターズ トレーナー
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校アスレティックトレーニング専攻 学士を卒業。
「BOC-ATC (米国アスレティックトレーナー資格認定委員会公認アスレティックトレーナー)」という、
アメリカでは准医療従事者として認定され国家資格の立ち位置にあり、日本国内での保有者はわずかしかいない資格を取得。
現在は熊本ヴォルターズのトレーナーとして、選手のサポートに従事。
「女性が筋肉をつけるためにおすすめのサプリってある?」とお考えの方へ。気軽にライフスタイルへ取り入れて筋肉をサポートしてくれるサプリは魅力的ですよね。当記事では、女性が筋肉をつけるためのサプリメントのおすすめ成分を解説します。
「女性は男性よりも筋肉量が少ない」「筋肉がつきにくい」と聞いたことはありませんか?
そういった話が本当なのか、解説します。
女性は男性よりも筋肉がつきにくいというのは本当です。
女性の筋肉量は、男性と比べると上半身は約50%、下半身は約70%と言われています。
理由として、女性と男性では骨格やホルモンが異なるという点が考えられるでしょう。
ではなぜ、女性は筋肉がつきにくいのかを詳しく解説します。
まず、筋肉をつけるためには、テストステロンというホルモンが重要な役目を果たします。
そしてテストステロンは男性ホルモンの1つです。
女性の体内で分泌されるテストステロンの量は男性の10〜15分の1程度とされており、男性の方がテストステロン分泌量は多いということがわかっています。
加えて、女性の体内で分泌される女性ホルモンの1つ、エストロゲンにはテストステロンの分泌を抑える働きがあるとされていることから、女性は筋肉が発達しにくいのです。
男性と比べて筋肉がつきにくい女性がどうやって効率良く筋肉をつけるか、そう考えた方におすすめの方法がサプリメントの活用です。
サプリメントは、小さな粒状でライフスタイルに取り入れやすい健康食品であるため、忙しい毎日を過ごす女性でも気軽に筋肉をつくるサポートをしてくれます。
おすすめの理由①必要な栄養素をピンポイントで摂取できる
おすすめの理由②1日数粒を摂取するだけなので、手間がかからない
それぞれ見ていきましょう。
筋肉をつけるためには、タンパク質を含むさまざまな栄養素が必要となります。
しかし食事で摂取する場合、必要な栄養素をピンポイントで摂取することは難しいです。
筋肉はつけたいけれどなるべく余計な成分は摂取したくない、このような女性が抱えるお悩みをサポートしてくれる存在がサプリメントなのです。
サプリメントは、ピンポイントで体が必要とする栄養素を摂取できます。
体に必要な栄養素を摂取するためには、バランスの良い食生活が必要です。
しかし、仕事や家事など毎日忙しく活動する女性にとって、3食それぞれ栄養素を意識したメニューを組むのはとてもたいへんですよね。
サプリメントであれば、1日のスキマ時間を活用して手軽に摂取できます。
これにより、時間を節約しながら栄養補給できる点もサプリメントの魅力です。
筋肉をつけるためには、栄養バランスの良い食事と運動が必要不可欠です。
しかし「わかっていても、なかなか忙しくてそこまで意識できない」という方も多く、効率良く筋肉をつけるためのサポートとしてサプリメントの摂取を検討する方もいます。
では、摂取するサプリメントにはどのような成分が含まれていると良いのでしょうか。
ここでは女性が筋肉をつけるために飲むべきおすすめサプリメントの成分を解説します。
それぞれ見ていきます。
タンパク質は、筋肉をつくる材料の1つであり、積極的に摂取したい成分です。
日本人の食事摂取量基準によると、一日に必要なタンパク質の推奨量は18歳〜64歳の男性で65g、65歳以上の男性で60g、女性の場合は18歳以上で50gとされています。
数字で見るとイメージがわかない方も多いと思いますので、下に「肉」「豆」「卵・乳製品」「野菜・芋・キノコ」のタンパク質量をまとめた表を記載します。
①肉
食品 |
タンパク質量 |
---|---|
豚ひれ・焼き 100g |
39.3g |
鶏むね(皮なし)・焼き 100g |
38.8g |
豚もも・焼き 100g |
30.2g |
牛もも・ゆで 100g |
30.0g |
牛かた・ゆで 100g |
27.9g |
鶏ひき肉・焼き 100g |
27.5g |
鶏もも(皮つき)・焼き 100g |
26.3g |
牛ひき肉・焼き 100g |
25.9g |
豚ひき肉・焼き 100g |
25.7g |
鶏もも(皮なし)・からあげ 100g |
25.4g |
焼き鳥缶詰 100g |
18.4g |
鶏ささみ・ソテー 40g |
14.4g |
鶏レバー・生 60g |
11.3g |
ビーフジャーキー 20g |
11.0g |
②魚
食品 |
タンパク質量 |
---|---|
ごまさば・焼き 100g |
31.1g |
まあじ皮つき・焼き 100g |
25.9g |
さけ・焼き 100g |
29.1g |
くろまぐろ・焼き 100g |
29.0g |
くろまぐろ・水煮 100g |
27.2g |
ぶり・焼き 100g |
26.2g |
びんなが・刺身 100g |
26.0g |
かつお・刺身 100g |
25.8g |
さけ・水煮 100g |
25.5g |
くろまぐろ・刺身 100g |
24.8g |
まがれい・焼き 100g |
23.4g |
うるめいわし丸干し 50g |
22.5g |
さば水煮缶詰 100g |
20.9g |
さば味噌煮缶詰 100g |
16.3g |
するめ 20g |
13.8g |
あさり水煮缶 40g |
8.1g |
③豆
食品 |
タンパク質量 |
---|---|
がんもどき 100g |
15.3g |
生揚げ 80g |
8.6g |
凍り豆腐・乾 17g |
8.6g |
納豆 50g |
8.3g |
焼き豆腐 1/3丁(100g) |
7.8g |
きなこ 20g |
7.3g |
豆乳 200g |
7.2g |
木綿豆腐 1/3丁(100g) |
7.0g |
絹ごし豆腐 1/3丁(100g) |
5.3g |
油揚げ・油抜き焼き 20g |
5.0g |
塩豆(えんどう) 20g |
4.7g |
湯葉(湯戻し)30g |
4.7g |
大豆・ゆで 30g |
4.4g |
④卵・乳製品
食品 |
タンパク質量 |
---|---|
低脂肪牛乳 200g |
7.6g |
目玉焼き 50g |
7.4g |
普通牛乳 200g |
6.6g |
ゆで卵 50g |
6.3g |
カマンベールチーズ 30g |
5.7g |
プロセスチーズ 20g |
4.5g |
パルメザンチーズ 10g |
4.4g |
ヨーグルト(脱脂加糖) 100g |
4.3g |
卵黄 16g |
2.6g |
⑤野菜・芋・キノコ
食品 | タンパク質量 |
---|---|
らっかせい・ゆで 50g |
6.0g |
えだまめ・ゆで 50g |
5.8g |
そらまめ・ゆで 50g |
5.3g |
ブロッコリー・焼き 50g |
5.0g |
グリンピース・ゆで 50g |
4.2g |
じゃがいも・電子レンジ調理 150g |
2.8g |
アボカド 1/2個(100g) |
2.1g |
ココナッツミルク 100g |
1.9g |
さといも・水煮 100g |
1.5g |
エリンギ・焼き 30g |
1.3g |
ぶなしめじ・素揚げ 30g |
1.2g |
生しいたけ原木栽培・油いため 30g |
1.1g |
5つの中で、もっともタンパク質量が高いのは肉、つづいて魚となっています。
一日で50gのタンパク質を摂取するためには、これらの食品をバランス良く毎日の食事やサプリメントで取り入れることが大切です。
必須アミノ酸(BCAA)とは、9つの必須アミノ酸のうち「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」のことを言います。
必須アミノ酸(BCAA)は筋合成の促進や、分解の抑制、筋肉の修復による疲労回復などが期待できます。
筋肉と言えばタンパク質という印象を持つ方もいますが、タンパク質は主にアミノ酸で構成されているため、必須アミノ酸を積極的に摂取することも重要なのです。
HMBとは、必須アミノ酸の1つであるロイシンから体内で生成される成分です。
筋肉の合成を促進し、筋肉の分解を抑えることをサポートします。
ロイシンは通常の食事でも補えると考えられていますが、摂取したロイシンのうち、HMBに変換されるのはわずか5%程度と少ないため、積極的に摂取したい成分となります。
HMBは、筋合成に必要な原料となる必須アミノ酸と上手に組み合わせることで、効率良く体内へ必要な成分を届けられます。
クレアチンは、筋肉を収縮させるエネルギーを作り出す能力を高める成分です。
主に筋トレなどの運動パフォーマンスを向上させる成分として知られています。
筋肉をつけるためにウォーキングや軽い運動、筋トレを行う際は、クレアチンを摂取することによって年代を問わず筋肉量の増加に役立つとされています。
ビタミンC・D・K・B群は、筋肉をつけるだけでなく、年齢によって変化する女性の体調などを整えるためにも役立つ栄養素です。
では、それぞれにはどのような特徴があるのか、下の表で見てみましょう。
栄養素 |
特徴 |
---|---|
ビタミンB群 |
・食べ物からエネルギーを生成するために必要な栄養素 |
ビタミンC |
・筋肉の材料となるコラーゲンをつくる |
ビタミンD |
・筋肉のタンパク質合成を促す |
ビタミンK |
・カルシウムを骨と結びつける |
カルシウム |
・強い歯や骨をつくる |
いずれの栄養素も、筋肉、そして私たちの健康を維持するために役立つとされています。
亜鉛は、アミノ酸からのタンパク質の再合成やDNAの合成など、年齢を問わず私たちの身体機能や生命維持に重要な役割を果たしています。
一方、鉄は全身酸素を運搬する役割を担っており、貧血予防や、鉄欠乏による筋力低下、疲労感を防ぐ役割を果たしているのです。
いずれの成分も筋肉の維持や向上、そして健康を維持するために大切な成分です。
筋肉をつけたい女性の中には次のような思いをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ここでは「ダイエットはしたい、でも筋肉はつけたい」「筋肉はつけたいけれど筋トレは未経験」など、さまざまな場合別で飲むべきサプリメント成分を解説します。
筋肉をつけつつ、ダイエットや体脂肪は減らしたい場合、次の成分がおすすめです。
ホエイプロテインは、牛乳から乳脂肪とカゼインというタンパク質を取り除いた液体(乳清)から作られたプロテインのことを言います。
また、ホエイプロテインには、次の種類があります。
ホエイプロテインの種類 |
特徴 |
---|---|
WPC |
・必須アミノ酸を含んでおり、消化吸収が速い |
WPI |
・糖質や脂質はカットされている |
ホエイプロテインは、飲料タイプやパウダータイプ、プロテインバー、そしてサプリメントの錠剤タイプと種類もさまざまで、ライフスタイルに取り入れやすい点も魅力です。
一方、カルニチンは脂肪の燃焼をサポートしてくれます。
またカルニチンには肥満抑制や心血管疾患、老化、糖尿病などさまざまな疾患との関係性が研究されており、ダイエットだけでなく健康維持にも役立つと考えられています。
筋トレ初心者の場合、まずはEAA(BCAA)がおすすめです。
EAAとは「Essential Amino Acids」の略で「必須アミノ酸の9種類」を指しています。
必須アミノ酸のうち「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」をBCAAと呼びます。
EAAは、筋合成の促進や分解の抑制、筋肉の修復による疲労回復などさまざまなサポートをしてくれる成分で、筋肉をつけたいのであれば積極的に摂取したい成分です。
筋肉肥大や筋肉量、筋力の維持にはHMBがおすすめです。
上記で解説した必須アミノ酸(BCAA)と同じく筋合成の促進と分解の抑制に役立ちます。
必須アミノ酸(BCAA)と上手に組み合わせて効率良くバルクアップにつなげましょう。
ここまで、サプリメントが筋肉をつけたい女性におすすめであることを解説しました。
次は、筋肉をつけたい女性がサプリメントを飲むベストタイミングについて解説します。
サプリメントを摂取するタイミングにルールはありませんが、体や筋肉への吸収率を考慮するなら、食後がおすすめです。
食事の栄養とサプリメントの栄養を組み合わせると、栄養成分の作用を高められます。
また筋トレの最中や前後もサプリメント摂取のベストタイミングです。
摂取タイミング |
おすすめのサプリ |
詳細 |
---|---|---|
筋トレ前 |
・EAA(BCAA) |
・筋トレ1~2時間前の摂取を推奨 |
筋トレ中 |
・EAA(BCAA) |
血中アミノ酸濃度の維持に役立つため、パフォーマンスの向上が期待できる |
筋トレ後 |
・クレアチン |
トレーニング後30分~45分以内は筋合成がもっとも活発 |
筋トレを行わない日は食後に、筋トレした日は食後と筋トレ最中や前後など、ライフスタイルに合わせて臨機応変に取り入れてみましょう。
サプリメントやプロテインは、筋肉をつけるサポート的な役割を持っています。
そのため、飲むだけで筋肉がつくというサプリメントはないと言えるでしょう。
サプリメントが持つ効果を最大限に発揮させるためには、栄養バランスの良い食事を摂取したり、適度な筋トレなどの運動を行ったりすることが大切です。
近年、サプリは比較的安価で購入できるため「そんなにサプリが良いのであれば、ぜひ取り入れてみようかな」と考える方もいるでしょう。
これまでに解説したとおり、女性がサプリメントを摂取することはメリットも大きいです。
しかし、サプリを摂取する際は次の点に注意が必要です。
それぞれ解説していきます。
サプリメントにはそれぞれ1日の摂取量があります。
数回飲みすぎたからといって重篤な健康被害が起こる可能性は低いですが、下痢や発疹などの症状が出たり、肝臓へ負担をかけやすくなったりするため、注意が必要です。
よくある質問に「摂取量より多く飲めば効果も高いのではないか」というものがあります。
結論として記載されている一日の摂取量より多く摂取しても、効果が増すわけではありませんし、体に負担をかけてしまうことになります。
サプリは継続して摂取することが大切ですので、決められた摂取量を守ってくださいね。
サプリメントは薬ではないため、そこまで副作用を気にしないという方もいるでしょう。
しかし、一度に摂取量の上限を超える錠数を摂取するなど、適切ではない摂取方法によって何らかの副作用が起こる可能性もあります。
また正しい摂取方法であっても、体質など何らかの原因によって異常を感じる場合もあります。
その場合はすぐに摂取を中止して医師に相談してください。
サプリは小さな粒でさまざまな栄養素が摂取できるため、たいへん便利です。
しかし、次の理由からサプリだけで必要な栄養をすべて摂取しようとしてはいけません。
筋肉をつけるためには、毎日の食事バランスも見直すこと、適度に体を動かすことが最も大切なことであり「サプリはサポートとして活用する」意識で取り入れましょう。
当記事では、女性が筋肉をつけるためにおすすめのサプリメント成分や、摂取するベストタイミング、注意点を解説しました。
サプリメントは、忙しい毎日の中でも継続しやすいため「手軽に筋肉の成長をサポートしてくれるものが欲しい」という方はぜひトライしてみましょう。
ただし、適切な摂取方法を守らないと体調不良を引き起こす恐れもあるため、活用するサプリメントの説明をしっかり読み、効率良く筋肉のサポートにつなげていきましょう。
坂本 彩香 監修
ブロバスケットボールチーム 熊本ヴォルターズ トレーナー
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校アスレティックトレーニング専攻 学士を卒業。
「BOC-ATC (米国アスレティックトレーナー資格認定委員会公認アスレティックトレーナー)」という、
アメリカでは准医療従事者として認定され国家資格の立ち位置にあり、日本国内での保有者はわずかしかいない資格を取得。
現在は熊本ヴォルターズのトレーナーとして、選手のサポートに従事。