フレイルの予防は「3つの柱」が大切！高齢者が意識したいフレイル3つの要素を解説

フレイルとは？

フレイルとは「加齢によって老い衰えた状態」のことで、「虚弱」や「老衰」「脆弱」などを意味する言葉・状態です。

またフレイルには「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の3種類があります。

ここではフレイルの原因や症状、なぜ高齢者にフレイル予防が必要なのかを解説します。

• フレイルの原因
• フレイルの症状
• なぜ高齢者にフレイル予防が必要なのか

「フレイルってどうしてなるの？」「フレイルになると、どんな風になるの？」とお考えの方はぜひ参考にしてください。

フレイルの原因

フレイルには3つの種類があるため、原因も多岐にわたります。

ただ、それらの原因を大きく分けると以下の3つに分けることができるでしょう。

1. 栄養不足
2. 運動不足
3. 社会参加の不足

年齢を重ねて「食が細くなる」「サッパリしたものだけを食べる」など、偏った栄養バランスの食事を摂取していると、筋肉量の減少や、体の機能が低下しやすくなります。

また、「ソファーに座ったまま長時間テレビを観て一日が終わる」「昔のように運動やどこかへの買い物などアクティブになることができない」といった運動不足の状況がある場合、体の健康を維持するために必要な筋肉量が減少します。

このような状態はフレイルの原因になることもあります。

ほかにも、社会参加（人との交流）が減ると家でじっとしている時間が多くなって運動量も減少するため、体や心の健康が損なわれてフレイルを引き起こす可能性もあるでしょう。

「栄養」「運動」「社会参加」は、私たちにとって体と心の健康を守るためにもとても大切な要素であるため、どれか1つでも不足していると感じる場合は注意が必要です。

フレイルの症状

フレイルによって起こる症状は次のものが挙げられます。

1. 意図しない体重減少がある
2. ここ2週間、わけもなく疲れているような気がする
3. 同年齢の人と比べて歩く速度が遅い気がする
4. 立ち上がったり歩いたりすることが億劫に感じている
5. さきイカやたくあんくらいの固いものを食べにくいと感じている
6. 汁物やお茶でむせることが増えたように感じている
7. 最近、外出する機会が減った

またここに記載している以外にも、フレイルによって起こる症状があります。

「該当する症状があった」「他にはどんな症状があるのか知りたい」という方は、様々な項目からフレイルかをチェックすることができるフレイルチェックを試してみてください。

フレイルチェックリストとは？5つのチェック法でフレイル対策をしよう！

なぜ高齢者にフレイル予防が必要なのか

高齢者にフレイル予防が必要な理由として、フレイルの原因となる「栄養不足」「運動不足」「社会不足」の3つに該当する方が多いことが挙げられます。

また、高齢者の方がフレイルを発症し、症状が悪化した場合「転倒」や「怪我」などから寝たきりになる要介護リスクが高まる可能性もあります。

何歳になってもハツラツとした毎日を送るためにも、フレイル予防が必要なのです。

フレイル予防に大切な「3つの柱」とは？

フレイル予防に大切な3つの要素を「3つの柱」と呼びます。

1. 柱1.栄養（食・口腔）
2. 柱2.運動
3. 柱3.社会参加

この3つが不足すると、フレイルを発症する原因となる可能性が高まります。

ここではそれぞれの柱について解説していきます。

栄養（食・口腔）

フレイル予防の柱1つ目は「栄養（食・口腔）」です。

フレイルを予防するためには、栄養バランスの良い食事を摂取することが大切です。

筋肉の構成に必要なタンパク質や、筋肉と骨の健康を保ち、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、そして骨の材料になるカルシウムをバランス良く摂取しましょう。

食事の次は「口腔」です。

オーラルフレイルと呼ばれる状態は、「噛む」「飲み込む」「話す」などの口腔機能が加齢などによって衰えると固いものが噛みにくくなったり、食べこぼしなどの原因になります。

また、噛む力が衰えて柔らかいものばかり食べていると、噛むために必要な筋力が更に低下する原因となり、食欲の低下による全身の機能低下を招くリスクもあるのです。

このような状態を予防するためには、口腔機能が低下しないよう口周辺の筋肉を強化・維持させるトレーニングやマッサージ、食事を普段からよく噛むなどの対策が必要です。

運動

フレイル予防の柱2つ目は「運動」です。

栄養バランスの良い食事を摂取しながら、適度な運動をすることによって、筋肉や骨の量が減少することを防ぎ、身体的フレイルを予防することができます。

フレイル予防には複数の運動がおすすめです。

心肺機能を高めるウォーキングや水泳などの有酸素運動、筋肉の柔軟性を向上させ筋力を維持する筋力トレーニング、そして歩行速度を高めるバランス訓練が効果的です。

また「自分で運動メニューを決めることは難しい」という方には「フレイル体操」のようにフレイルを予防できる運動を音楽に合わせて行う方法もあります。

地域によっては「フレイル体操」をYouTubeで公開している場合もありますので「地域名とフレイル体操」で、ぜひ探してみてください。

社会参加

フレイル予防の柱3つ目は「社会参加」です。

社会参加は、人との交流を行うことによって「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」を予防し、適度に身体を動かすことによって「身体的フレイル」も予防できます。

年齢を重ねると外出することを億劫に感じたり、外出をしてもすぐに疲れてしまうから控えていたりする方もいるでしょう。

しかし、社会参加から離れることはフレイルの大きな原因になる可能性もあります。

まずは地域が運営しているフレイル体操への参加やボランティア、友人や家族との散歩など実現しやすい目標から始めてみてください。

高齢者が意識したいフレイルの3つの要素

次は高齢者がフレイル予防をする際に意識しておくべきフレイル3つの要素を解説します。

1. 早期の発見が進行を防ぐために不可欠
2. 「最近外出していないな...」はフレイルリスクを高める
3. フレイルはサルコペニアなど別の症状を引き起こす可能性がある

それぞれ詳しく見ていきます。

1.早期の発見が進行を防ぐために不可欠

高齢者がフレイルを予防するためには早期のな発見が大切です。

進行すると要介護リスクが高まるフレイルは「最近いつもと違うな」と感じたそのときからセルフチェックや、かかりつけの医師に相談して予防を行いましょう。

また自分自身では変化を感じられない可能性もあるため、ご家族や、老人ホームの施設を利用されている方で「あれ？」と思った場合も同様です。

2.「最近外出していないな...」はフレイルリスクを高める

「そういえば最近外出してないな」「外出することが面倒だ」と感じている方は、外出以外で気になる点はないか、最近の日常を振り返ってみましょう。

人との交流が減少することは社会的フレイルや精神・心理的フレイルの原因となります。

季節によっては外出せず、家にいたいと思う場合もありますが、お家の近所を散歩したりスーパーへ買い物したりとアクティブに行動できるよう意識すると良いでしょう。

3.フレイル予防は専門家の意見を参考にすることも大切

フレイル予防には「食事」や「運動」「社会参加」などが必要不可欠です。

ただし「タンパク質が良いと聞いたからお肉を沢山食べよう」「運動しないといけないと聞いたので張り切ってジョギングをしよう」など、自己判断で行うことは控えましょう。

フレイルの予防方法は人それぞれであり、ご自身の状態に適した方法から始めるべきです。

自己判断で行うと、体調不良や、怪我を招いたりする可能性もあるため、まずはかかりつけの病院にいる医師などの専門家に相談して無理をしない範囲で予防を始めましょう。

まとめ

本記事ではフレイル予防の3つの柱について解説しました。

「栄養」「運動」「社会参加」はフレイルだけではなく、健康な体と心を維持し、何歳になっても元気でいるためにも大切です。

「私は好きなものを沢山食べて元気だから問題ない」「私は若い頃から健康だったのでフレイルなんて大丈夫だよ」と安易に考えず、元気なうちからフレイル予防を開始しましょう。