健康の基本に必要な
少し意外なもの
おや臼井さん、今日はちょっとお疲れ気味ですか?
——実は、昨日久しぶりにカラオケに行って、ちょっとはしゃぎすぎてしまって(笑)。二日酔いと、睡眠不足気味です。益軒さんに叱られそうー。
たまにはいいんじゃないですか? 益軒さんも、「楽を失はざるは養生の本也」と言ってますよ。「楽しみを失わないことは養生の根本である」という意味です。
——へぇー。益軒さんもそんなことを言うんですね。「ひたすら節制を心がけるように説く頭の堅い人」というイメージでしたけど。
こうも言っています。「古の君子は、礼楽(れいがく)をこのんで行なひ、射御(しゃぎょ)を学び、力を労働し、詠歌舞踏して血脈を養ひ......かくのごとくつねに行へば、鍼灸薬を用ずして病なし(昔の君子は、好んで礼楽をおこない、弓と乗馬とを学んで運動し、詠歌・舞踏をして血管を養い......こうしたことをたえず心がけていれば、鍼・灸・薬を用いずとも病気にかからないだろう)」
すなわち、趣味を楽しむことや、ポジティブに毎日を過ごすことが、心身の健康につながる、というのです。
——益軒さん、いいこと言いますね! 確かに、好きなものを我慢したり、仕事ばっかりの毎日だと、病気になってしまいそう。楽しみな予定があると、張りが出ます。
まさに、私たちの会社が目指しているのも「明日が楽しみになるような毎日を応援する」ということですから、益軒さんの教えとは非常に相通じるものがあると感じます。
——間地さんは何か趣味があるんですか? いつもお忙しそうですが。
新しい価値をつくろうと思うと、仕事も趣味みたいなもの。アートやエンタメを楽しむことも仕事につながると思っているので、積極的に時間をとっています。
でも、これから趣味にしようかなと思っていることがあるんです。それは、土いじり。
——野菜づくりとか? 実益を兼ねた趣味、いいですね。何かきっかけがあったんですか?
妻の実家が柿農家で、私も休みの日に手伝ったりしているんですが、これが楽しいんですよ!
もちろん、摘果などの地道な作業、台風への備えや鳥や虫との戦いなど、私たちの想像をはるかに超える苦労やこだわりがあるのでしょうが、そのかいあって立派な作物が実る喜びは、格別なものです。
「体の中の水のめぐり」を
イメージしてみよう
畑仕事を手伝いながら改めて感じたのは、土の中にいる、無数の多種多様な微生物たちの働きのありがたさです。健康な土ほど数多くの微生物が存在していて、病気に強い、おいしい作物をつくることができるのです。
私たちの体も、一緒ですよね。
——ああー、おなかの中には腸内細菌がたくさんいて、その種類や数が多いほど健康って言われますよね。
そのとおり。目に見えないところで小さな微生物たちが一生懸命働いてくれるおかげで、私たちは元気でいられるのです。
この「目に見えないものの力」をイメージする能力を養っておくことは、健康を守る上でとても大切です。
——目に見えないものの力をイメージって、どういうことですか?
例えば、この暑い季節にイメージしてほしいのが、体の中の「水のめぐり」です。
よく、「熱中症を防ぐためにこまめに水分をとりなさい」と言われますよね。でもそれは汗をかいている人に向けた言葉。エアコンの効いた家でのんびりしている人が水分をたくさんとると、体調を崩す原因になることもあるのです。
——なるほど。やたらと水を飲めばいいってわけではないんですね。
自分がいる場所や行動によって、体の中の水の循環を想像してみることが大切ということ?
ええ。体の中の「水のめぐり」をイメージして、ためこまないように気をつけたいものです。
さらに、冷たい飲み物をとると内臓が冷え、熱を逃さないようにするために汗腺が閉じるので、汗の量が減ります。その結果、体の中に水がたまって、むくみや冷えにつながることもあるのです。
——冷たいものをとりすぎないようにしないといけませんね。私も、コンビニでお水を買う時は、常温のものを選ぶようにしています。
夏に体を冷やすことは、冬の「冷え」にもつながるので、要注意です。
——えっ、そうなんですか! 夏の過ごし方で冬にも影響があるんですね。
でもでも、暑かった一日の終わりの冷たいビールだけは、やめられないです!
同感です。夕方の一杯のためにも、日中にできるだけ汗をかくように心がけましょう!
更新