私らしく。 by 再春館製薬所

高野徳恵のかわいらしく#002

高野徳恵
新しい私に出合うには、“水を飲んでみる”ことも必要?

column 連載| # # # # #

連載

「明日が楽しみになる心持ち」について、再春館製薬所・高野徳恵が軽やかにお話しするコーナーです。長年の研究開発経験を持つ高野ならではの、人間を少し俯瞰(ふかん)した「生き物として見つめる視点」が特徴。人間だからこその迷いや複雑さをいとおしみながら、苦手な人との関わりを通して、新しい私に出合うための、明日へのヒントをおすそ分けします。

おはようございます、高野徳恵です。

私は竹を割ったような物言いをするせいか、オープンな人と思われがちですが、実は人見知りでコミュニケーション下手。思い込みが強く、人との間に壁をつくってしまうこともあります。

あれは入社1年目、苦手な先輩との関係に悩んでいた頃です。「石の上にも三年」と耐えていましたが、「この人とは合わない、無理!」と、音を上げそうになったんですね。仕事は辞めたくなかったので、わらにもすがる思いで母に相談したところ、笑い飛ばされました。

「その先輩は、徳恵だけに絡んでくるの? そりゃあ、あんたのこと好きなんよ」

え? 本当に? 思いもよらない解釈でしたが、半信半疑で母の言葉を念じ、先輩と接することにしました。時に厳しい態度で細かく指導されても、「先輩ならではの愛情表現なんだ」と自分に言い聞かせて。やがて不思議、2人の間にあった緊張感がだんだんと和らいでいったのです。

その後、先輩と仲よくなってから、当時私をどう思っていたかと聞いてみたら、「変わった生きものとしてかわいく思っていた」と言うじゃありませんか。母の見立ては大正解。私が一人でジタバタしていたなんて、恥ずかしいったら。

私はこの経験から、自分のことは知り尽くせないと思うようになりました。初めての状況や自分とは異なる考え方に遭遇した時、人は戸惑い、逃げ出したくもなります。

でも、どこかで「相手を理解したい、新しい私になりたい」という欲求も感じているはず。これは、「心」を持つ人間ならでは。素晴らしい進化と言っていいですよね。

母の口癖に、「水を飲みたい象を水辺に連れて行っても、飲むかどうかは象次第」という言葉があります。私は、人生の大先輩である母に連れられて、エイッ! と水(母の助言)を飲んだからこそ、新しい私に出合うことができたのです。

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高野徳恵

たかの・とくえ
長年ドモホルンリンクルの研究開発に携わった経験を生かし、自社工場「薬彩工園」の工園長を務める。漢方の知恵と人の思いが集まるものづくりの学び場の責任者として、製品品質、自然との共生、お客様の満足を追求し続けている。