私らしく。

私を形作るもの#08

内田彩仍さん
「いま」の自分を受け入れ、何気ない日常を豊かに

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私らしい、あの人

日々の暮らしにまつわるエッセイやアパレルとのコラボレーション、その自然体の生き方に憧れを抱く方も多い内田彩仍さん。年齢を重ねていく中で、常に「いま」を受け入れ、心地よく暮らすための“心持ち”をうかがいました。

内田彩仍さん

うちだ・あやの 夫と愛猫そらと暮らし、ライフスタイルに関する著書を多数執筆。近著に『変えること変わらないこと』(主婦と生活社)がある。ファッション雑誌『リンネル』(宝島社)の公式ホームページで連載「明日もいい日になりますように」を更新中。

無理なおしゃれをやめ
自分が着たいものを着る

確かな審美眼を感じるライフスタイルやファッションで支持される、内田彩仍さん。実は近年、さまざまな心境の変化があったといいます。

「歳を重ねてよかったことは、おしゃれをするのに人目を気にしなくなったことです。ここ数年、昔好きだった服が似合わなくなってきて、無理をするのはやめようと。いまの自分が着たいものを着ればいいと思うようになりました。70代になってもカッコいい女性に憧れます」

気に入った襟付きワンピースを着て近くの公園へ。森のような散歩道で心身をリフレッシュ。

内面的には、最近はちょっとしたことが気になり、あれこれと思い悩む一面もあるそうですが、そんな自分自身もここのところポジティブに受け止められるように。

「40、50代になると、自分だけでなく、親の健康問題など、気がかりなことはたくさんあります。納得いくまで調べたり、迷ったり、いつも何かを考えている時期もありました。だからこそ自分なりの答えを早く出せるようになったし、次への糧にもなっています」

年々シンプルになってきた装いには、イヤリングやネックレスの重ねづけでアクセントを。「縦ラインをつくる長めのネックレスは、小柄な私をすっと見せてくれ、年齢にふさわしい装いに欠かせません」

前向きな言葉と笑顔で
人づきあいを心地よく

誰もが意外とその難しさを実感するのが人づきあい。内田さんは日頃からできるだけ前向きな言葉で話すようにしているのだとか。

「例えば、感謝の意を伝えるなら、『すみません』ではなく『ありがとう』と。笑顔も出し惜しみしないようにしています」

20年ほどのつきあいになるという雑貨店『チャビット』にて店主のmaiさんとおしゃべり。「私が尊敬している人です。いつも笑顔で明るく、的確にアドバイスをいただける。毎日頑張っている姿にとても刺激を受けます」
20年ほどのつきあいになるという雑貨店『チャビット』にて店主のmaiさんとおしゃべり。「私が尊敬している人です。いつも笑顔で明るく、的確にアドバイスをいただける。毎日頑張っている姿にとても刺激を受けます」
一軒家に引っ越してから庭づくりが趣味に。「春先には好きな器にすみれを植え、苔で土を隠しました」
一軒家に引っ越してから庭づくりが趣味に。「春先には好きな器にすみれを植え、苔で土を隠しました」
「気持ちがモヤモヤしたときは、とにかく庭仕事をするようにしています。無心になって作業していると、いつの間にか心のよどみがなくなっているから不思議です」
「気持ちがモヤモヤしたときは、とにかく庭仕事をするようにしています。無心になって作業していると、いつの間にか心のよどみがなくなっているから不思議です」

人の気持ちは変えられないかもしれないけれど、自分が笑顔でいることで、場の雰囲気がよくなり、もしかしたら相手の気持ちも和やかになるかもと思うそうです。

一生使えるモノを購入
最後までていねいに手入れ

日常のモノを買うときには、『一生使えるモノを』と思い迎え入れているので、ソファや椅子は布を張り替え、繕い、30年愛用しているモノも。

似合わなくなったと感じる洋服なども『誰かに引き継いでもらえたら』という想いで、洗濯・アイロン後、友人に譲ったり、リユースショップを利用したり。「穴が開いている服でも繊維として役立つなら」と市の回収ボックスに持ち込むように。

好きで購入したモノだからこそ最後までていねいに、そのモノの役目を全うさせ、責任をもってお別れをするとか。

《1日1回本を開いて心のゆとりを取り戻す》夜眠る前に手に取るのは紙の本。インテリアや庭づくりの本が目下のお気に入り。本を開くと気持ちが落ち着く。
《1日1回本を開いて心のゆとりを取り戻す》夜眠る前に手に取るのは紙の本。インテリアや庭づくりの本が目下のお気に入り。本を開くと気持ちが落ち着く。
《大きめの花器に花を生けて玄関を癒やしの場所に》「玄関はリビングの延長」と内田さん。玄関先に設えるのは大きめの花器。庭で剪定(せんてい)した旬の花や枝ものを飾っている。
《大きめの花器に花を生けて玄関を癒やしの場所に》「玄関はリビングの延長」と内田さん。玄関先に設えるのは大きめの花器。庭で剪定(せんてい)した旬の花や枝ものを飾っている。
《週末に副菜をつくり置きし、食事は「ベジファースト」で》急に血糖値を上げないために、野菜から食べるように。体のことをきちんと考えた野菜中心の副菜は、週末につくり置き。
《週末に副菜をつくり置きし、食事は「ベジファースト」で》急に血糖値を上げないために、野菜から食べるように。体のことをきちんと考えた野菜中心の副菜は、週末につくり置き。
《長く使えることを重視して買い物はとことん吟味》モノを大切にしたいから、長くつきあえることを基準に選ぶ。コーヒーメーカーも大切に手入れし、長年愛用している。
《長く使えることを重視して買い物はとことん吟味》モノを大切にしたいから、長くつきあえることを基準に選ぶ。コーヒーメーカーも大切に手入れし、長年愛用している。

「怒るのも、クヨクヨするのも、誰にでもあること、当たり前ですよね。そんなときには何かに変換できる人でいたいと思っています。これまでの経験や知識は、不安や怖さを減らしてくれ、いまを楽しむ方法もたくさん見つかりました」と話す内田さん。

いまの自分をありのままに受け入れ、明るく。その前向きで自然体な心の持ちようこそが、何気ない日常をしあわせに感じ、人生を心豊かなものにする秘訣のようです。

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