私らしく。 by 再春館製薬所

岡 清華さん
自分の道をふさぐ、ドアのカギを見つける方法

story ストーリー| # # # # #

ストーリー 「満たされない心を抱えていたからこそ、いまの活動のモチベーションにつながっています。無駄なことは一つもない」と笑う岡さん。

「考える」よりも「感じる」ことが“自分らしさ”のコツ。
心に余裕が生まれると、対人関係や物事の捉え方も前向きになるという、管理栄養士でアーユルヴェーダ・ヨガ講師の岡清華さん。
前回に続き、お話を聞きました。

自分にとっての心地よさが、
自分らしさを形づくる

子どもの頃、周囲と同じことができなかったり、満たされない気持ちをいつも抱えていたという岡清華さん。あるきっかけから心が変わり、人と関わるのが楽しく「私は私でいい」と思えるようになりました。
前回話してくれたのは、自分にとって「心地いいと感じること」を選択することで、「最大限の結果」が引き出せる、“マイペースの法則”

後編は、そうしたマイペースの法則で心に余裕が生まれることで、「道をふさぐドアに行き当たったとしても、どのカギでそのドアを開けていいかは、そんなに複雑なことではない」と思えるようになる、考え方の切り替えのコツについてうかがいます。

人生を変えた
アーユルヴェーダの生活術

「体調が整うと人に会ったときの第一印象もいい。相手の接し方も変わってきます」

それまで、どこか生きづらさを感じていた岡さんを変えた大きなきっかけが、アーユルヴェーダとの出合いでした。「未然(予防)を重要視する」「人間が本来持っている自然治癒力を活かす」世界最古の伝統医学で、その考え方は同じ東洋医学の漢方にも通じています。

「アーユルヴェーダは予防医学、心身の健康、心のあり方にも関わっている分野。その生活術を取り入れ、食と生活が整ってくると、これまで経験したことのなかった幸せな感覚に満たされるようになりました。消化を考えた食べ方、毒をためない工夫などを実践することで、おなか、体、そして心が軽くなります。すると自然と機嫌がよくなり、自分らしく笑うこともできる。周囲の人も笑顔にしたい、幸せにしたいという気持ちも出てきて、物事の捉え方も変わっていきました。そしてこの心地よさを、かつての私のように満たされない気持ちを持つ多くの人に伝えられたら、と思ったんです」

自分に合うものを選ぶことで
ストレスから解放

毎朝4時55分に起きて瞑想をするのが習慣。5時ちょうどではないところも「それが自分の体に合っているから」

「考える」よりも「感じる」こと。アーユルヴェーダを極めていく中で、「それが教義だから」「体にいいから」「みんながいいと言っているから」などの情報ではなく、自分のルーツや体に合っていること、心地いいと感じることを選ぶことこそ、心身のすこやかさにつながる、という考えに至ります。

「前回、私は玄米ではなく白米を選んでいると話しました。玄米は体にいいと言われているけれど、私は消化のいい白米を食べている方が調子がいい。それなら無理をせず、自分に合うものを選ぶのが自然です。情報だけを信じて無理を続ければストレスになり、心の余裕のなさにもつながります。生活習慣も同じ。私は毎日、日の出とともに起きて瞑想をしていますが、それが自分にとって心地いいことだから続けています」

ポジティブな言葉に置き換えると
心が穏やかに

愛犬のプルシャ。名前は「本来の自分」「純粋」というサンスクリット語から。

もともと人と接することが苦手だった、という岡さんですが、食が変わり、体調が整い、自分の機嫌がよくなると、気持ちに余裕が出たことで、徐々に変化が訪れます。
「たとえば人からネガティブなことを言われたり、何かのせいでうまくいかないことがあったとき。『~のせい』と言いたくなるのを、『おかげさまで』というポジティブな言葉に置き換えられるようになりました。人と道ですれ違ったときに肩をぶつけられ、舌打ちされても、『この人はきっと、今日何か嫌なことがあったのだろうな』と思えるようにも。

きれいごとに聞こえるかもしれないですよね。私も昔は舌打ちされたらキッとなるほうだったので、すごくわかります。その頃の私は心の余裕も体力もエネルギーもなく、ちょっとしたことで爆発したり感情があふれ出てしまっていました。その気持ちがわかるから、『きっとこの人はいま余裕がないんだな』と思えるようになり、イライラが消えていったんです」

葉を知るには根を見る。
大切なのは本質

「次々と出ては落ちる葉ではなく、根っこを見ること。そこに真実があり、葉を知ることにもつながります」

人や物事を理解しようと思ったら、目先のことだけでなく、本質を理解することが大切なのだと岡さんは気づきます。
「葉を知るには根を見る必要がある。そして道をふさぐドアに行き当たったとしても、目の前の事象だけでなく、本質を見すえることができさえすれば、どのカギで開ければいいかはそんなに複雑なことではないんだと。そう思うようになり、人と関わるのも楽しいと思えるようになったんです」

心地いいと感じることを選んでいくことで物事の捉え方が変わり、自分らしくいられるようになった岡さん。もし、考えることがたくさんありすぎて、自分にとっての心地よさがわからなくなっているときは、もう一度「感じる」という感覚を研ぎ澄ませてみて、と言います。

朝食は、焼きバナナやチャイなど消化にやさしいものが基本。「温かいチャイを飲んで、ふ~、幸せと感じるような、小さな充足感が自分らしくいるためにとても大事」

「自分が思うこと、感じたことをノートに書き出してみるのも効果的です。自分は何が好きなんだろう、どんなときに心地いいと感じるんだろう、幸せと感じるときはいつ? パッと答えは出ないかもしれないけれど、書くことで客観的な視点で向き合うことができます。もし嫌なできごとがあったら、そのノートには恨みごとや、感情的な表現を使ってもいいんです。解決策を見つけようとせず、素直に、ストレートに、自分がどう感じたかを書くことで、いまの気持ちを心の中から追い出して。モヤモヤが晴れていきますよ」

理想はそれぞれの心地よさを
認め合う社会

「みんながそれぞれの心地よさを自分で表現し、相手の心地よさも尊重できる社会が理想」

自分の心に浮かぶ気持ちを受け流さず、「書く」行為によって言語化することは、“第六感”が鈍りつつある現代人にとってとても気づきが多い、と岡さんは言います。
「自分の気持ちを文章として客観視することで、スッと解決策が見えることもあります。書く習慣があまりない方は、1日の終わりに健康日誌をつけることから始めてはどうでしょうか。食べたもの、飲んだもの、運動やセルフケアの内容、気分や体調はどうか、睡眠スケジュール、体と心の状態、そして人生の目標の中で優先順位が高いものを書きます。

これを続けると、自分の状態のいいときと悪いときの原因を見出せるようになり、悪い結果に結びつく原因を繰り返さずにすむようになりますよ」

「何が心地いいと感じるかは人それぞれ。互いに尊重し、認め合っていける世の中が理想ですよね。それが社会的な健康につながっていくと思います。みんなが何かしら、少しずつ問題を抱えていて、よりよくなりたいと思っているはず。そういう問題があるかぎり、止まれない」という岡さん。

人の基準や我慢をベースに選ぶのではなく、自分の心地よさを感じることが「自分らしさ」への第一歩。そんなふうにみんなが自分らしくいられるようになるきっかけを伝え、社会の役に立つことが、自分の道なのだと信じて進んでいます。

photo:HASHIMOTO Hirotaka

更新

岡 清華さん

  • instagram

おか・さやか 1993年、兵庫県生まれ。「一人ひとりがもっとも輝くベストな心身を知り、持続可能な人生をサポートする」をコンセプトに、2019年「MOTHER」創業。アーユルヴェーダに付随する各事業を全国で展開するかたわら、『無敵のデトックス大全―溜まっているオトナを巡らせる!』(ワニブックス)を2022年3月に上梓。