コーラは、漢方をベースにした
滋養強壮ドリンクだった
コーラというと人工的なイメージがありますが、もともとはハーブやスパイスなど天然の原料を使った飲み物でした。
「そもそも、コカ・コーラはアメリカの薬剤師、ジョン・S・ペンバートン博士が南北戦争で疲弊した庶民を元気づけようと、自身が学んだ漢方の知識をベースに考案したもの。滋養強壮を目的とした、健康的な飲み物でした」というのは、『伊良コーラ』の代表・"コーラ小林"さん。小林さんがかつてのコーラの味わいをよみがえらせるべく手がけた『伊良コーラ』は、スパイスや柑橘類をブレンドした、爽やかなクラフトコーラです。
100年前のオリジナルレシピを目にしたことで、コーラが手づくりできることを知り、コーラづくりに励むことに。数年を費やした現在のレシピには、種々の天然素材と、和漢方職人だった祖父の知恵が息づいているといいます。
カワセミのシンボルに込められた「意味」
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『伊良コーラ』のはじまりは2018年7月。当時はフードトラックで提供していました。シンボルのカワセミをあしらった車は「カワセミ号」と呼ばれ、コーラファンに親しまれてきました。
自分にとって不利な環境である水中に飛び込んで魚を捕らえるカワセミは、「コーラは体に良くない」「大量生産品」という既成概念を打ち破る『伊良コーラ』のチャレンジを代弁しています。
祖父から受け継いだ
漢方の理念が息づく
小林さんの祖父、伊東良太郎さんは下落合で「伊良葯工」という工房を構える和漢方の職人でした。小林さん自身、幼い頃は風邪薬の存在を知らず、風をひいたら金粉に覆われた粒状の生薬を飲む環境で育ったそう。成長するにつれ、漢方とは縁遠くなりましたが、コーラづくりをきっかけに、再びその理念に触れることに。
「コーラづくりを始めて数年がたった頃、祖父が他界しました。遺品の整理をしていたら、漢方製剤用の道具や手書きのノートが出てきたんです。オリジナルのコーラは、漢方と同じ考えにもとづいて開発された飲みものでした。ということは、自分のレシピにも祖父の手法を活かせるのでは。そう考えました」
祖父にならって火入れの工程や煮込む順番を工夫したら、驚くほど奥深い味わいに。さまざまな植物性素材を掛け合わせることで、1+1=2以上の相乗効果を生む漢方の奥深さに改めて気づかされました。
現在は、おなじみの漢方素材、高麗人参を長野県で調達してレシピに加えようと試行錯誤するなど、さらなる素材研究に励んでいます。あえてメイド・イン・ジャパンにこだわるのは、コーラを通じて日本ならではの食材や文化、職人技を世界に発信していきたいから。そしていずれはアジアを代表するドリンクとして、世界で「コカ、ペプシ、イヨシ」と称される存在になりたいといいます。
「コーラを飲んで楽しい気持ちになる、そんなポジティブな経験を世界中に発信していきたいですね」
西洋的なアイコンの「コーラ」が、実は漢方にルーツがあるという驚きの事実。その発想や原料をもとに開発されたクラフトコーラは、「身体に良い飲み物」という本来の役割に加え、職人の想いまでも込められたものなんだね!
伊良コーラ総本店下落合
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東京都新宿区高田馬場3-44-2
info@iyoshicola.com
営業時間:11:00~17:00
土曜・日曜・祝日のみ営業
https://iyoshicola.com
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