自己回復力でシワを防ぐ

第2話 HSP70でシワ予防

注目のHSP70(ヒートショックプロテイン70)

第1話では、コラーゲンの「生産と分解のバランス」が崩れることでシワができることを説明しましたが、理解していただけたでしょうか?

今回は、シワ研究における最新の結果、「自己回復タンパク(ヒートショックプロテイン)によるシワ予防」について説明します。

シワを増やさないように、日頃からケアをしている方や、実際の年齢よりも若く見られたい方は、ぜひ今回の内容を参考にして、日々のケアに活かしていただければと思います。


線維芽細胞を守る
HSP70

線維芽細胞を守るHSP70

HSP70は「自らの力で」私たちの肌を守ってくれるタンパク質です。(詳しい説明はこちら)

私たちは、このような働きを持つHSP70が「シワ」を防いでくれるのではと期待し、慶應大学との共同研究を行ってきました。 そこで、第1話で紹介したコラーゲンの生産と分解に対するHSP70 の働きを調べてみました。

まず、コラーゲンの生産工場である線維芽細胞をHSP70が保護するか実験しました。 その結果、こちらのグラフのように、紫外線によって増える線維芽細胞の細胞死が、HSP70を増やした細胞では、あまり起こらないことが分かりました。 この結果からHSP70は「線維芽細胞を守ること」でコラーゲンを生産する力を維持することが分かりました。

コラーゲンを守る
HSP70

コラーゲンを守るHSP70

次に、HSP70がコラーゲンの「分解」に影響をあたえるか検討しました。

肌を支えるコラーゲンやエラスチンは、コラゲナーゼやエラスターゼなどの分解酵素によって壊されてしまいます。 そこでこれらの分解酵素に対するHSP70の効果を調べてみると、 HSP70を増やした細胞では、 代表的なコラーゲン分解酵素であるMMP2の量が約半分に減ることが分かりました。
また、紫外線によって増えるMMP9やエラスターゼなどの分解酵素もHSP70によって減少することも明らかになりました。



HSP70の働き

これらの結果から、 HSP70は分解酵素を減らすことでコラーゲンの生産と分解のバランスを整え、肌のコラーゲンを守ってくれることが分かりました。
このような働きから、HSP70は肌のハリを保ってくれることが期待できます。


HSP70の働き

HSP70を増やして
シワ対策

今回の研究から、HSP70を増やすことでシワを防いでいく仕組みが明らかになりました。それではいったい、どのようにしてHSP70を増やせば良いのでしょうか?

最も効果的な方法として、肌を温めることが考えられます。
HSPは、「Heat Shock Protein」という名前の通り、肌を温めることで増えることが知られています。

そのため、お風呂や蒸しタオルなどで肌を温めることでシワができにくい健康的な肌になることが期待できるのです。
もしかすると日本人に肌がきれいな人が多いのも、お風呂に浸かる習慣があるからかもしれませんね。

また、これまでに私たちはHSP70を増やす原料の探索を行ってきました。(詳しい説明はこちら)
今回の研究から、これらの原料にはシワを防ぐ働きが秘められている可能性があります。

これから、ぜひ皆さんもHSP70に注目したシワ対策ケアを試してみてはいかがでしょうか?


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