フレイルサイクルを図で解説！断ち切るための5つの方法を解説！

フレイルサイクルとは？わかりやすく図で解説！

フレイルとは「frailty（フレイルティー）」の日本語訳です。

病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態を指します。

そして、フレイルサイクルは「フレイルの要因が重なって、悪循環に陥った状態」です。

一例として、加齢や病気などによって足の筋肉量が減ると歩行機能に支障が生じたり、ちょっとした買い物や運動で疲れやすくなったりして活動量が減ります。

次に、活動量が減ると1日に消費するエネルギー量が減るため、食欲がなくなります。

そして、食欲がなくなると体に必要な栄養が不足し、低栄養状態となってさらに筋力低下が進む、という流れを本記事で解説するフレイルサイクルと呼ぶのです。

フレイルサイクルは筋力低下以外にも食欲不振から始まるものなど、個々で異なります。

ただし、1度フレイルサイクルに陥ると個人で抜けだすことは難しく、医師による治療や専門家からのアドバイスが必要となるでしょう。

厚生労働省が公開している「フレイルサイクルの図」

「文章で説明されてもよくわからないよ」という方に向けて、ここでは厚生労働省が公開しているフレイルサイクルの図を見ていきます。

加齢などを原因として筋力や筋肉量が減少すると活動量が減り、エネルギーの消費量が低下します。

この状態のままでは「食欲がわかない」と食事の摂取量が減り、筋肉を構成するタンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養状態を起こす可能性が高くなるのです。

また、低栄養状態が続くと体重が減少し、さらに筋力や筋肉量が減少します。

このような悪循環をフレイルサイクルと呼び、転倒や骨折、あるいは慢性疾患の悪化をきっかけとして要介護状態になる可能性が高くなるのです。

フレイルサイクルとサルコペニアに関連性はある？

フレイルサイクルにも記載されているサルコペニアは、主に加齢が由来して起こる筋肉量の低下や減少による身体機能の低下を起こした状態です。

加齢以外の要因には「運動不足」や「不規則な生活習慣」「疾患」なども挙げられます。

そしてフレイルとサルコペニアの関連性は「フレイルサイクル」でも解説したとおり、次の点が挙げられます。

• サルコペニアで筋肉量の低下や筋力減少が起こる
• 活動量が減り、エネルギー消費量が低下する
• エネルギー消費量が低下すると食欲がわかず、食事の摂取量が減る
• 食事の摂取量が減ったことにより、筋肉を構成するタンパク質をはじめとした栄養不足が起こり「低栄養状態」になる
• 低栄養状態が続くと、筋肉量の低下や筋力減少がさらに進む

このような悪循環を起こす可能性があるため、フレイルサイクルとサルコペニアには関連性があると言えるのです。

フレイルサイクルを断ち切る5つの支援・介入方法

フレイルサイクルを断ち切る支援・介入方法は次の5つです。

• 運動療法・栄養療法
• 持病のコントロール
• 感染症予防
• 社会参加
• 口腔対策

以下で、それぞれについて詳しく解説します。

運動療法・栄養療法

フレイルの予防には体力の維持や増加が不可欠です。

その方法として「運動療法」と「栄養療法」が挙げられます。

運動療法では、筋肉量を増やすための筋力トレーニングや、ウォーキングなどの有酸素運動、バランス能力を向上させるためのトレーニングなどが有効です。

適度な運動はフレイル予防だけでなく、認知機能の向上や心疾患の予防にもつながります。

一方、栄養療法では、筋肉を構成するタンパク質や、カルシウムの吸収促進、骨の成長促進などに必要なビタミンD、骨の材料となるカルシウムなどの栄養素を積極的に摂取します。

フレイルサイクルを断ち切るためには「食事（栄養）」と「運動」が非常に重要であり、双方を適切に行うよう支援・介入することによって、予防効果が期待できるでしょう。

フレイル予防の運動5選！期待できる効果や注意点・ポイントを解説
フレイル予防は食事から！おすすめのちょい足しレシピ12と食事のポイントを解説

持病のコントロール

フレイルの予防には、持病の適切な管理も必須です。

特に、高血圧、糖尿病、心疾患などの慢性疾患などがある場合は、フレイルを引き起こす可能性があるため、日常的な健康管理が重要となります。

健康管理には適度な運動やバランスのよい食事、そして定期的に病院を受診して個々の状態に合わせた治療や対応を受けてもらえるよう支援・介入することが大切です。

感染症予防

フレイル予防には「感染症の予防」も忘れずに行いましょう。

高齢者が感染症に罹患すると、一時的な状態の悪化が持続的な健康状態の低下を招く可能性があります。

一例として、高齢者は免疫が低下していることからインフルエンザや肺炎にかかりやすいと言われており、感染をきっかけに重症化する可能性が挙げられるでしょう。

また近年、コロナ禍によってフレイルサイクルに陥る方が増えたというデータもあります。

重症化すると入院や寝たきりなどになるリスクもあるため、ワクチンの接種や運動と栄養バランスのよい食事によって病気に負けない体を作ることもフレイル予防につながります。

ただし、高齢者の方の中には「外に出ることが億劫」「あまり食欲がない」など個々によって状態が異なるため、それぞれに適した支援・介入方法を計画する必要があります。

社会参加

社会的フレイルは、高齢になって家族や友人、知人との交流機会が減少し、社会的に脆弱な状態になることによって起こります。

交流機会が減った高齢者は、運動不足や心身的な虚弱を引き起こしやすく、このような状態が原因となってフレイルを発症する可能性もあるのです。

そのため、自治体の集まりやボランティアなど人と積極的に交流を行う場への参加を促し、フレイル予防やQOL（生活の質）向上させられるよう支援・介入することが大切です。

口腔対策

オーラルフレイルは老化の初期サインとも呼ばれ、フレイルの初期症状として現れます。

お口に関する衰えを放置して適切な予防や治療を行わなかった結果、口腔機能が低下し「物が飲み込みにくい」「むせる」「こぼす」などの症状が生じます。

オーラルフレイルになると物を食べる意欲の低下や、低栄養などの状態を引き起こしやすくなり、心身的な機能の低下が起こるリスクも考えられます。

このような状態を防ぐためには、高齢者に対して「定期的な歯科検診」や「日々の口腔ケア」「嚥下機能を高める体操」の必要性を伝え、サポートできる支援・介入が大切です。

フレイルで起こる症状は？

フレイルで起こる症状は次の5つです。

1.体重減少
2.疲労感
3.身体活動量の低下
4.握力の低下
5.歩行速度の低下

5つの症状以外にも「転倒しやすくなった」「何だか落ち込みやすくなった」というものや「最近外出する機会が減った」「尿の回数が増えた」なども症状として挙げられます。

また目に関する悩みとして「物が見えづらくなった」「視界がまぶしく感じる」などの症状が生じている場合、フレイルの1つである「アイフレイル」の症状かもしれません。

フレイルとは？簡単にわかる！症状のチェック方法や4つの予防法

まとめ

本記事ではフレイルサイクルについて断ち切る5つの支援・介入方法を解説しました。

高齢になると、なかなか外出したがらず「運動不足」や「人との交流機会不足」などの状態を引き起こす方が増えていきます。

その際、フレイルサイクルを断ち切るためにどうやって高齢者に接していくか、支援・介入していくかに対して、個々の状況に適したプランを立て実行に移すことが大切です。

フレイルは進行すると要介護リスクが高まるため、高齢者に対して早期予防・治療を促し、健康な体を維持してもらえるよう対策を考えていきましょう。