私らしく。

こころめぐり・からだめぐり#01

須永美歌子さん
栗生隆子さん

心と体を上向きにする新習慣。「歩活・腸活」編

column 心のおやつ| # # #

心のおやつ

漢方・養生では、体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の三要素で成り立っていると考えられており、これら三要素が体をめぐっているのが理想的な健康状態と言われています。今回はそんな「めぐり」を促す、日々の生活に取り入れたい新習慣をご提案します。テーマは、“歩活”と“腸活”。毎日の「歩く」をもっと効果的にする方法を須永美歌子さんに、腸を整える発酵食について栗生隆子さんに伺いました。

須永美歌子さん

すなが・みかこ 医学博士。女性の身体的特性を考慮したコンディショニングやトレーニングの研究をおこなっている。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)などがある。

栗生隆子さん

  • twitter

くりゅう・たかこ 14歳で患った腸疾患を発酵食で完治。以来、発酵食の魅力を伝える執筆や講演活動、レシピ提案を精力的におこなう。著書に『不調知らずの体になる ここからはじめる発酵食』(家の光協会)などがある。

短時間でも生活の質向上
インターバル速歩のすすめ

「めぐり」のよい体を目指すために、ぜひ注目したいのが〝歩活〟です。〝歩く〟ことは私たちにとって最も身近な運動ですが、果たしてどのような効果があるのでしょう。

「〝歩く〟は、腕・胸・背中・脚と全身の筋肉をバランスよく使える運動ですから、短時間でも効果的。気分転換やストレス解消、リラックス効果など、精神面への作用も期待できます。続けることで心肺機能が高まり、血行促進効果も」(須永美歌子さん)

日本体育大学教授の須永美歌子さん

さらに運動量を上げたい方には、1日15分の「インターバル速歩」もおすすめです。

「『インターバル速歩』は、『さっさか歩き』(「ややきつい」と感じるペースの速歩)3分と『ゆっくり歩き』3分を交互に繰り返すこと。1日わずか15分で筋力・持久力の向上、脂肪燃焼、血圧低下、生活習慣病予防などの効果が期待できると言われています。体力の向上に伴い、睡眠や生活全般の質の向上も望めます」

《STEP1》つま先立ちで背伸び、体幹に力を入れる(画像右)
《STEP1》つま先立ちで背伸び、体幹に力を入れる(画像右)
肩幅に脚を開いてつま先立ちに。両腕を上げ、肋骨から上を引き上げます。グラグラしたら体幹に力を入れて踏ん張り、まっすぐの姿勢をキープ。そのまま腕を下ろします。
《STEP2》後ろ足を蹴り出し、歩幅は1足分広く(画像中)
《STEP2》後ろ足を蹴り出し、歩幅は1足分広く(画像中)
歩行時はまっすぐな姿勢をキープして。「さっさか歩き」では、後ろ足で地面をしっかりと蹴り出し、前足は通常の歩行より1足分、前に踏み出します。着地はかかとから。
《STEP3》腕は後ろに引き、肩甲骨周りを意識(画像左)
《STEP3》腕は後ろに引き、肩甲骨周りを意識(画像左)
「ややきつい」と感じるペースで歩くには腕の使い方が重要です。腕は前に振るのではなく、後ろに引いて胸を開きます。肘の後ろに太鼓を置いてそれを叩くイメージです。

「インターバル速歩」で運動効果を上げるポイントは、正しい姿勢。上半身を引き上げる意識で体幹をまっすぐに、肩の力を抜き、胸を開きます。「さっさか歩き」はいつもより1足分、大股を意識し、腕は後ろにしっかりと引いて歩きます。

「『インターバル速歩』は短時間でも運動効果が高いうえ、飽きずに長く続けられるという研究結果が得られています。慣れてきたら、自然公園や郊外の自然の中を歩くのもおすすめ。運動強度が上がり、気分転換にもなりますよ」

通勤や買い物など毎日の〝歩く〟シーンで、姿勢や歩幅、腕の振りを少し意識するだけでかまいません。気軽で効率的な「歩活」で、めぐりのよい体を目指しましょう。

「最大の免疫器官」整える
発酵食で始める腸活

「腸は最大の免疫器官」と言われるように、腸には体内の免疫を司る細胞の多くが存在しています。

「腸内環境が整うことで自律神経の働きが安定し、血液のめぐりもよくなり、体調全般が整います」と言うのは、発酵生活研究家の栗生隆子さん。自身の腸疾患が発酵食で完治した経験から、その効果を実感しています。

発酵生活研究家の栗生隆子さん

「発酵食が腸活にいいのは、麹菌や乳酸菌など発酵食に含まれる多種多様な菌が、腸内に棲む菌を活性化してくれるから。私も発酵食を始めてさまざまな不調が改善され、1カ月ほどで自然と笑顔が増えていきました。うれしいことに肌もきれいになり、気持ちも前向きになっていったのです」

そうした経験から、「自然界の一部である人間は、自然に育まれた菌に生かされていることを実感する」という栗生さん。発酵食を味方にすると、体も暮らしも自ずと自然に調和していくと言います。

おいしくて続けられる
発酵食レシピ紹介

「発酵生活は私にとっては予防。免疫力が高まったことで、病気になってから薬に頼るのではなく、自分の体を自分で守れるようになりました」

そんなポジティブな連鎖をかなえてくれる代表的な発酵食が、味噌や醤油など、麹菌を含む日本古来の調味料。紹介するレシピは保存がきくうえ、幅広いアレンジが可能です。「おいしい、調子がいい、だから続けられることも発酵生活のポイント」と栗生さん。普段の食事に取り入れて、無理なく続けてみませんか。

優しい甘さが特徴、旨味がアップの万能調味料
甘麹味噌

【材料とつくり方】ボウルに味噌150g、濃縮甘酒250gを入れよく混ぜ合わせる。容器に入れ冷蔵庫で1カ月保存可能。

●粒感の残る濃縮甘酒を使用。こんにゃくやナスの田楽に、豚キムチや麻婆豆腐のうま味調味料として。

おつまみに、ごはんのお供に、アレンジの幅がうれしい
塩麹納豆

【材料とつくり方】納豆120g(市販の納豆2~3パック分)、せん切りのにんじん30g、炒りごま大さじ1、細切り昆布少々、塩麹小さじ2、醤油小さじ1をすべて混ぜ合わせる。すぐに食べられるが、2~3日後から味が熟成してくる。冷蔵庫で1週間保存可能。

●ごはんにのせたり、マグロと和えておつまみにも。とろろとアボカドと混ぜた、ねばねば丼もおいしい。

更新