私らしく。

こころめぐり・からだめぐり#02

早坂信哉さん
chizuさん

心と体を上向きにする新習慣。「温活・家事」編

column 心のおやつ| # # #

心のおやつ

漢方・養生では、体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の三要素で成り立っていると考えられており、これら三要素が体をめぐっているのが理想的な健康状態と言われています。そんな「めぐり」を促す、日々の生活に取り入れたい新習慣をご提案。「歩活・腸活」編に続き、今回は“温活”と“家事”がテーマです。心身に良い影響を与える正しい入浴法について早坂信哉さん、毎日の家事に新鮮味を加えるルーティンについてchizuさんに伺いました。

早坂信哉さん

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はやさか・しんや 東京都市大学人間科学部教授、医師、医学博士。温泉・入浴の専門家として、25年にわたって4万人の入浴を医学的に調査・研究してきた。

chizuさん

ちず 1955年、九州生まれ。文化服装学院卒業後、スタイリストとして活躍。食まわり、インテリアのスタイリングのほか、店舗・商品開発などにも携わる。著書に『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)がある。

免疫力も幸福度もアップ
正しい入浴で心身を養生

世界でも屈指の長寿を誇る日本。実は、入浴習慣が長寿に貢献することが明らかになっています。

「2019年に千葉大学がおこなった研究では、毎日入浴習慣がある人は、週に0〜2回の人に比べ、将来的な要介護リスクが29%減少することが分かってきています。別の研究では、入浴の温熱作用により血流がアップし、脳卒中や心疾患のリスクが減少するという結果も」(早坂信哉さん)

毎日湯船に入る人の方が主観的な幸福度が高いとも言われ、入浴は漢方で言う「心養生」の一つと言えます。それだけでなく、筋肉や関節の痛みやむくみの軽減、湯気が粘膜をうるおし、免疫力を向上させる作用など、入浴の効果はさまざま。

東京都市大学教授の早坂信哉さん

「芯から温まり、血流を上げるには、40度の湯に10〜15分ほどつかる全身浴がおすすめ。季節によって湯温は調節し、汗ばんだら上がります。立ちくらみ防止のため、湯船から上がる動作はゆっくりと。1回の入浴で約800mℓの水分が失われるので、入浴前後にコップ2杯ほどの水分補給をしましょう。ミネラルを含む麦茶もいいですね。もし湯船につかる時間がないときは、太い血管が通っている首筋をシャワーで集中的に温めたり、手足などの末端を40〜42度の湯に10分ほどつけることで、血流を促すことができます」

年齢を問わず気をつけたいのはヒートショックです。冬季はあらかじめ浴室や脱衣所を暖めておくなど、体感温度の急激な変化を避けるようにしましょう。

家事や所持品を見直し
日々の生活に新たな発見を

暮らしや家事は、毎日同じことの繰り返し。ときどき、そのやり方やルーティンを振り返り、普段見落としていることに目を向けるなどして、新鮮味を加えたいものです。たとえばこんな習慣を加えてみては、と暮らしをテーマにしたスタイリングで長年活躍しているchizuさんが、教えてくれました。

スタイリストのchizuさん

「せっかくだから、家事という側面よりも、やれば自分が〝気持ちいい〟〝すがすがしい〟〝無心になれる〟と感じられるような習慣を加えたいですよね。ぜひ、家の中で眠っているものにも目を向けて新たに活用したり、よみがえらせたりしてみてください。新しい発見や楽しみが見つかるかもしれませんよ」

ほうきで掃除をする
【ほうきで掃除をする】サッシやレール、部屋の四隅など、掃除機で取りきれないホコリが実は気になっていませんか? ほうきならピタリと入り込み、ささっときれいに。「たまにこうして隅々まできれいにすることで、気分も清らかになります。ちなみにホコリを"払う" "掃き出す"行動は古くから"邪気払い"につながると言われ、縁起のいい行為なんです」(chizuさん)
ハンカチをアイロンがけする
【ハンカチをアイロンがけする】アイロンがけは面倒、と多くの人が感じているかもしれません。そこで「"面倒な家事"から"無心になれる、いい時間"と発想を変えてみては」とchizuさん。「プレスしてきれいに仕上げると本当に気持ちがいいもの。まずはハンカチだけでも。最初に四隅をピシッと決め、次に四辺をまっすぐにすると形もきれいに仕上がります」
食器のくもりをとってよみがえらせる
【食器のくもりをとってよみがえらせる】食器棚の奥に眠っている食器たち。くもりを落として、もう一度使い道を考えてみましょう。塩素系・酸素系などの漂白剤もありますが、chizuさんはナチュラルな重曹をおすすめ。「重曹は油汚れなど、酸性の汚れを分解します。数分つけ置きし、スポンジでこすって長年のくすみ汚れを落とせば、クリアな輝きに気分もすっきり」
カードや写真を飾る
【カードや写真を飾る】旅先や展覧会で購入したカード、友人からもらった絵葉書や手紙など、せっかくの思い出も、ついしまい込みがち。「お気に入りを壁にコラージュして飾ってみては。そのときどきで貼り替えることで、マイブームを楽しんだり、自分の好みにも気づいたりできます。あれこれ考えながら貼っていくのは楽しい作業。あっという間に時間がたちます」

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