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肌荒れの原因は乾燥だけではない? 漢方の視点から血の不足を補う食べ物を紹介

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肌に不調を抱えていると、鏡を見るたび憂うつになり、気分が落ちてしまいますよね。
肌荒れの原因として真っ先に思いつくのは乾燥で、「保湿が大切」という意識は多くの人がもっているのではないでしょうか。もちろんその通り、保湿を中心としたスキンケアは、健やかな美肌を維持するために必要不可欠です。
しかしながら、漢方の視点から見ると、肌荒れの原因は乾燥以外にもあると考えられます。スキンケアだけでなく、体の内側から美肌に導く食生活の重要性について考えてみましょう。

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肌荒れの食養生

漢方では、肌荒れの原因は乾燥だけでなく「血の不足」にもあると考えます。
血が不足することで肌のうるおいが失われ、渇いてカサカサになるのです。乾燥が続くと肌荒れやかゆみを引き起こし、その状態が続けば、次第にシワになっていきます。シミ・ソバカス・くすみは血が滞っていることが原因と考えます。血は全身に酸素や栄養を運ぶ働きをするので、停滞すると顔色がくすみ、目の下のクマも目立つようになります。またメラニン色素が沈着しやすくなり、シミやソバカスも増えていきます。

ここでいう血(けつ)とは、西洋医学における血液と似ています。
漢方では、人間の体は(き)・(けつ)・(すい)によって成り立っていると考えます。気とは人間の体を動かす根源エネルギーで、血は全身に酸素や栄養を運ぶ赤い液体、水は鼻水や尿などの透明な液体をさします。
それぞれの役割は、車に例えると分かりやすくなります。「気」は運転手、「血」はガソリン、「水」は機械の熱を冷ますラジエーター(エンジンの冷却装置)の水に当たります。ガソリンがなければ車は動かず、ラジエーターの水がなければ熱をもって故障し、運転手が暴走すると車は事故に遭ってしまいます。

このように「気・血・水」のうち、どれか一つでも不足したり、滞ったりすると、不調や病気の原因となってしまいます。そして、肌の不調に大きく関わっているのが、このうちの血(けつ)の不足や停滞なのです。

肌荒れへの対処においても、西洋医学と漢方ではアプローチが大きく異なります。
西洋医学が得意なのは、表に出ている症状そのものへの対処(薬などによる対症療法)です。もちろん、それが大きな助けになることもあります。
一方、漢方が得意とするのは、不調の根本的な原因をとり除こうとする方法です。漢方では、食べ物や生薬など自然のエネルギーを体内にとり入れることで、自己回復力(人が持っている自ら健康になろうとする力)を高めて不調に打ち勝つことを目指します。食べ物の力をとり入れて元気になることを「食養生」と呼び、この食養生が、肌荒れにも高い効果を発揮するのです。肌荒れという不調の裏にある、血の不足や停滞という根本的な問題を、食べ物の持つ力によって解消していきましょう。

肌荒れの改善が期待できる栄養素と食べ物

私たちの身体は、食べた物によってつくられています。肌荒れを改善して美しい肌を手に入れたいのであれば、美肌のもととなる栄養素をとらなければいけません。特に女性の身体には、月経周期にともなうホルモンバランスの変化が原因で、どうしても肌荒れやニキビが発生しやすい時期があります。肌荒れ改善のための食養生では、ホルモンバランスの乱れを食事で補うように意識してみましょう。月経周期にあわせて食べる物を選べば、より高い効果が期待できます。

月経開始日からの7日間
貧血や冷え、免疫力の低下が起こり、肌荒れやニキビ、口元のただれが起きやすくなるので、皮膚の粘膜を正常に保つ食材をとります。
次の月経がはじまる前の7日間
水や脂を体にため込みやすいため、むくみやニキビが起こります。皮脂バランスを整える食材を積極的にとります。

それでは、どのような栄養素を何の食べ物からとれば良いのか、具体的に解説したいと思います。

ビタミンA:皮膚の粘膜を強化する食べ物

ビタミンAは、皮膚の粘膜を強化して、肌にうるおいを与えます。免疫力が低下して皮膚の粘膜が弱りやすい、月経開始日からの7日間には、重点的にとりたい栄養素です。また、うるおいが不足して乾燥肌に悩んでいる人は、日頃から意識的にとると良いでしょう。ビタミンA(ベータカロチン)は緑黄色野菜に多く含まれています。油と一緒にとることで吸収率が上がり、比較的熱にも強いので、炒めて食べるのがおすすめです。使う油は、サラダ油よりもゴマ油やオリーブオイルが適しています。

【ビタミンAを多く含む食材例】

ニンジン、カボチャ、コマツナ、ホウレンソウ、ニラ、レバー、卵黄など

ビタミンB群:皮脂バランスを整える食べ物

ビタミンB群は、美肌をつくるために必要なエネルギーを生み出します。特にビタミンB2やB6には、皮脂のバランスを整え、肌の再生(ターンオーバー)をうながす効果があります。水や脂を体にため込みやすい、月経がはじまる前の7日間に重点的にとりたい栄養素です。ビタミンB群は水洗いで失われやすく、熱にも弱いので食べ方に気をつけましょう。生のままで食べるか、蒸すなどの調理法がおすすめです。

【ビタミンB群を多く含む食材例】

ビタミンB2
豚レバー、ウナギ、納豆、卵、牛乳など
ビタミンB6
カツオ、イカ、タコ、豆類、ニンニク、バナナなど

ビタミンC:免疫力を高めストレスを緩和する食べ物

ビタミンCは、美肌をつくるための代表的な栄養素です。免疫力を高めストレスを緩和する効果があり、肌へのダメージを防ぎます。ハリ・弾力のある美肌に欠かせないコラーゲンの生成を促進する効果もあるので、まさに毎日とりたい「美肌のもと」となる栄養素といえるでしょう。ビタミンCには抗酸化作用があり、老化を加速させる活性酸素をとり除いて、メラニンの生成も抑制します。シミ予防などのアンチエイジングや美白といった多方面に効果の高い、美肌の強い味方です。ビタミンCもビタミンB群と同様に水に溶けやすい性質があります。野菜や果物に多く含まれているので、新鮮なうちに生のまま食べるのが一番です。

【ビタミンCを多く含む食材例】

ピーマン、コマツナ、ゴーヤ、トマト、ニラ、柑橘類、キウイフルーツ、イチゴなど

ビタミンE:ホルモンバランスを整える食べ物

ビタミンEは、ホルモンバランスを整える効果のある栄養素です。月経前後や妊娠・更年期などホルモンバランスが崩れやすいときは、特に意識してとると効果があります。ビタミンEは、ビタミンCと同様に抗酸化作用を持っており、代表的なアンチエイジングの栄養素として知られています。血行・新陳代謝の促進にも効果的で、肌のターンオーバーをうながす力があるので美肌のためには欠かせません。油に溶けやすく、また一緒にとることで吸収率が上がるので炒め料理などがおすすめです。

【ビタミンEを多く含む食材例】

ナッツ類(アーモンドやクルミなど)、大豆、ゴマ、ブロッコリー、ホウレンソウなど

肌荒れに効くおすすめレシピ

肌に不調を感じているときは、しっかり血をつくり、めぐらせる効果のあるものを食べましょう。肌荒れに効く、おすすめレシピをご紹介します。食材の組み合わせや調理法を工夫すれば、より効果を高められますよ。

袋煮(108kcal / 1人分)

材料(2人分)

正方形の油揚げ
1枚
ミックスベジタブル
大さじ2
1個
割り下
大さじ3

(つくりやすい分量)

  • しょうゆ 150ml
  • 砂糖 75g
  • 酒 75ml
  • 水 250ml

上記を混ぜて火にかける

砂糖
大さじ1

作り方

  1. 油揚げを半分に切って袋を広げます。ミックスベジタブルに卵を溶いてまぜ、油揚げの中に入れます。
  2. 爪楊枝で、袋を留めます。
  3. 鍋に割り下と砂糖、水150ml(分量外)を加えて煮立てて、2を入れます。
  4. 落としぶたをして、弱火で5分半ほど煮ます。火を止めて裏返し、4分ほどおきます。
  5. 鍋から出して爪楊枝を外し、三角形に切ります。

油揚げの原料は、ビタミンEを豊富に含む大豆です。内臓機能を高める効果を持つ卵を入れて、より血をつくりやすくします。

とりすぎに注意! 肌荒れの原因になりやすい食べ物

ここまで、肌荒れの改善に効果的な食べ物をじっくりご紹介してきましたが、肌荒れを改善・予防するためには、逆に肌荒れの原因になりやすい食べ物を控えることも大切です。食べすぎてはいけないものと、その理由を解説します。

脂質の多い食べ物

美肌のためにまず避けた方が良いのは、脂っぽい食べ物です。フライや天ぷらといった揚げ物やスナック菓子は、脂質をたっぷり含んでいます。脂質をとりすぎると皮脂が過剰に分泌され、バランスが崩れてしまいます。そして皮脂バランスの乱れが、肌荒れやニキビの原因となるのです。さらに脂質の多い食べ物には肌を老化させる酸化作用もあるので、食べすぎは美肌の大敵といえます。
また、脂質と同様に、糖質のとりすぎも肌荒れやニキビの原因になります。例えば一般的に市販されているチョコレートは、脂質も糖質も非常に多く含んでいるので、大量に食べることは避けた方が良いでしょう。ただし、脂質も糖質も、本来は身体にとって必要な栄養素です。徹底的に排除するのではなく、あくまで過剰に摂取することを避け、日常的に摂取する量を控えると良いでしょう。

カフェイン・香辛料などの刺激物を含む食べ物

健やかな肌を維持するためには、刺激物を含む食べ物もあまりおすすめできません。カフェインや香辛料などの刺激物は、消化器官を刺激して、胃腸に大きな負担をかけます。胃腸がダメージを受けて弱ると、肌に不調が生じます。実は、胃腸をはじめとする消化器官の健やかさと肌の美しさは、表裏一体の関係にあるといえるほど密接に結びついているのです。美は内側からとはよくいいますが、実際に美肌のためには、胃腸にやさしい食生活を心掛けることが重要なポイントです。アルコールなども同様に、とりすぎると消化器官に負担をかけてしまうので、日常的な過剰摂取には気をつけましょう。

ファーストフードやインスタント食品

時間や体力に余裕がないと、つい手を伸ばしてしまうのがファーストフードやインスタント食品ですよね。しかしこれらも、やはり食べすぎると肌荒れの原因になる食べ物です。脂質と糖質を多く含み、胃腸に負担をかける商品が非常に多く見られます。ただし、外食やコンビニでの買い物も、選ぶ商品しだいで美肌のもととなる栄養素を手軽にとれるかしこい方法です。入っている食材や調理法をチェックして、そのときに体が必要としているものを選べると良いですね。

食生活改善にプラスして心掛けたい生活習慣

肌荒れの改善には、食生活の見直しが効果的です。血をつくり、めぐらせる食べ物をしっかりとりましょう。そして、血をめぐらせるには、漢方の考え方における「」も重要な役割を果たしています。睡眠や運動が気を充実させ、血をめぐらせるエネルギーとなるのです。
質の良い睡眠をとるには、寝る前にパソコンやスマホを触らないことや、お酒を控えめにすることが大切です。質の高い睡眠をとると、成長ホルモンが分泌され、コラーゲンが増えて、血の流れがうながされるともいわれています。夜更かしは改めましょう。運動は、本格的なものでなくても良いので、できるだけ継続的に行いましょう。軽いウォーキングや、ストレッチなどがおすすめです。

まとめ

肌荒れの原因は、乾燥だけではありません。漢方の考え方では、特に血をつくり、めぐらせることが重要とされています。造血作用・血行促進効果の高い食べ物を積極的にとりましょう。月経周期にともなうホルモンバランスの乱れは多くの女性を悩ませる問題ですが、体のリズムを把握して、食べ物で補う意識をもつと効果的です。身体をいたわり、健やかな美肌を手に入れたいですね。

(参考文献)
「再春館製薬所が教えるおうち漢方」新星出版社,2014年3月

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