私らしく。 by 再春館製薬所

武井啓江さん
バイタリティの源は、工夫を凝らす愉しさ

story ストーリー| # # #

ストーリー

東京から大分県国東(くにさき)半島に移住し、海と野山に囲まれて毎日を過ごす武井啓江さん。
おおらかな自然に培われた暮らしの「ひと手間」を 教えていただきます。

武井さんの「欠かせない習慣」に
みる、SDGsの楽しい実践

田舎暮らしを体験できる民宿『ノルブリンカ』を主宰する武井啓江さんは、東京から国東半島に移住して6年目。自ら手を入れた古民家に中学生のお嬢さんと2人で暮らしています。かつてはキャリアウーマンとして東京でバリバリ働いていた武井さんですが、時間やお金にとらわれる生活に疑問を感じるようになったといいます。

「“自分らしく”生きたい、そんな思いを抱いたときに経験したのが、沖縄の離島での簡素な暮らしでした。日々、自然の恵みに生かされていると実感できたことで、これまでの暮らしで見つけられなかった真の幸福を発見しました」

料理は和食中心で、食器は古布で汚れを拭う。排水を汚したくないので洗剤は不使用。手肌も荒れなくなったそう。
料理は和食中心で、食器は古布で汚れを拭う。排水を汚したくないので洗剤は不使用。
手肌も荒れなくなったそう。
週に2回、自宅アトリエで子どもたちのための図工教室を開催。想像力と、「ないものはつくる」精神を育んでいます。
週に2回、自宅アトリエで子どもたちのための図工教室を開催。
想像力と、「ないものはつくる」精神を育んでいます。
毎年欠かせない味噌づくり。自ら育てた青大豆で仕込みます。よけいなものを加えないので、自然の風味を味わえます。
毎年欠かせない味噌づくり。自ら育てた青大豆で仕込みます。
よけいなものを加えないので、自然の風味を味わえます。
収穫した野菜は、適した方法で保存。新聞紙に包み、葉ものは冷蔵庫、しょうがやいも類はリビングに置くと長持ち。
収穫した野菜は、適した方法で保存。
新聞紙に包み、葉ものは冷蔵庫、しょうがやいも類はリビングに置くと長持ち。

その後、東京に戻り出産・子育てを経験。武井さんが国東への移住を決意したのは、自然に寄りそい、お金をかけずともいきいきと暮らす自分の姿を娘に見てほしかったからといいます。

開花や鳥の声が苗の植えどきを
教える、自然のカレンダー

「ないものはつくる」をモットーに、畑仕事や山仕事を自分らしいペースで愉しんでいる武井さん。田舎の暮らしは休むひまもないというけれど、息をつく間もないような都会のせわしなさとは異なる日々の暮らしの忙しさの中に、豊かさや充足感を味わっています。その暮らしは、豊かな自然と地域の知恵、生活を愉しくするアイデアにあふれていました。

“藤の花が咲いたときが夏野菜の植えどき”など、この地域には豊かな知恵が受け継がれています。野菜ごとの作業工程を一覧にした自作の農作業カレンダーには、そんな知恵が生きています。
“藤の花が咲いたときが夏野菜の植えどき”など、この地域には豊かな知恵が受け継がれています。野菜ごとの作業工程を一覧にした自作の農作業カレンダーには、そんな知恵が生きています。
自宅前の畑には、カレンダーをもとに作付けされた季節ごとの野菜が。
自宅前の畑には、カレンダーをもとに作付けされた季節ごとの野菜が。
駿河湾を見晴らす海辺は、仕事帰りに立ち寄ってのんびりすることも多い、お気に入りの場所。
自宅から5分ほどでアクセスできるのどかな砂浜。姫島を望むこの風景がお気に入り。流木やシーグラスを拾ったり、ただのんびり過ごしたり。そんな時間も大切な生活の一部。
畑から出たマメのさややゴマの枝は薪ストーブのたきつけにし、自然の恵みを最後まで使いきります。
畑から出たマメのさややゴマの枝は薪ストーブのたきつけにし、自然の恵みを最後まで使いきります。

「“陸の孤島”と呼ばれるここ、国東は、自給自足ができるほどの豊かな自然と、物々交換が当たり前という人と人との濃密なつながりが息づいています。私にとって、自分次第でいかようにも愉しめる懐の深さが魅力なんです」

お金より、便利さより。
いきいき愉しく暮らす秘訣

自分で手を入れた快適な家。畑で育てた野菜やご近所から分けてもらう魚や海藻。足りないものや必要なものは手づくりして。それをもたらす自然と、健康な心と体があればそれだけで幸せというのが武井さんの気づきです。

縁あって出会ったという築90年の日本家屋。山と畑、田んぼと神社に囲まれた環境で、夜は満天の星を楽しめる。

「お金があれば何でも買えるけれど、私はそれを味気なく思うんです。お金がないから工夫を凝らし、手を動かす。そのプロセスにわくわくし続けているのだと思います」

自然に生かされていると感謝する瞬間こそ、武井さんのバイタリティの源のようです。

Norbulingka

  • 自然素材にこだわったソーイングブランドとしてスタート。2016年からは大分県の“陸の孤島”こと国東半島で、田舎の暮らしを体験できる宿泊施設として機能する。移住者支援にも積極的。

    大分県国東市国見町岐部1918
    Tel:0978-83-0162

    Norbulingka(ノルブリンカ)

更新

武井啓江さん

  • instagram

たけい・ひろこ 東京都生まれ。東京での暮らしにもの足りなさを感じ、沖縄の離島での生活を経て、 2016年に国東半島に移住。『ノルブリンカ』運営の傍ら、地域支援サポーターとして地元にも貢献。