武井さんの「欠かせない習慣」に
みる、SDGsの楽しい実践
田舎暮らしを体験できる民宿『ノルブリンカ』を主宰する武井啓江さんは、東京から国東半島に移住して6年目。自ら手を入れた古民家に中学生のお嬢さんと2人で暮らしています。かつてはキャリアウーマンとして東京でバリバリ働いていた武井さんですが、時間やお金にとらわれる生活に疑問を感じるようになったといいます。
「“自分らしく”生きたい、そんな思いを抱いたときに経験したのが、沖縄の離島での簡素な暮らしでした。日々、自然の恵みに生かされていると実感できたことで、これまでの暮らしで見つけられなかった真の幸福を発見しました」
その後、東京に戻り出産・子育てを経験。武井さんが国東への移住を決意したのは、自然に寄りそい、お金をかけずともいきいきと暮らす自分の姿を娘に見てほしかったからといいます。
開花や鳥の声が苗の植えどきを
教える、自然のカレンダー
「ないものはつくる」をモットーに、畑仕事や山仕事を自分らしいペースで愉しんでいる武井さん。田舎の暮らしは休むひまもないというけれど、息をつく間もないような都会のせわしなさとは異なる日々の暮らしの忙しさの中に、豊かさや充足感を味わっています。その暮らしは、豊かな自然と地域の知恵、生活を愉しくするアイデアにあふれていました。
「“陸の孤島”と呼ばれるここ、国東は、自給自足ができるほどの豊かな自然と、物々交換が当たり前という人と人との濃密なつながりが息づいています。私にとって、自分次第でいかようにも愉しめる懐の深さが魅力なんです」
お金より、便利さより。
いきいき愉しく暮らす秘訣
自分で手を入れた快適な家。畑で育てた野菜やご近所から分けてもらう魚や海藻。足りないものや必要なものは手づくりして。それをもたらす自然と、健康な心と体があればそれだけで幸せというのが武井さんの気づきです。
「お金があれば何でも買えるけれど、私はそれを味気なく思うんです。お金がないから工夫を凝らし、手を動かす。そのプロセスにわくわくし続けているのだと思います」
自然に生かされていると感謝する瞬間こそ、武井さんのバイタリティの源のようです。
Norbulingka
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自然素材にこだわったソーイングブランドとしてスタート。2016年からは大分県の“陸の孤島”こと国東半島で、田舎の暮らしを体験できる宿泊施設として機能する。移住者支援にも積極的。
大分県国東市国見町岐部1918
Tel:0978-83-0162
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