私らしく。 by 再春館製薬所

要一郎さんのほんのり脱力術#06

麻生要一郎さん
健康に自信がついた、20年ぶりの病院と健診

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連載

頑張りすぎもよくないのにな——。頭ではわかっていても、つい欲張ったり、肩に力が入ったりしがちですよね。心にほんの少しの余裕があれば、自分にも周囲にも優しくできるのかもしれません。おだやかなまなざしで日々の生活を楽しんでいらっしゃる人気の料理家・執筆家・麻生要一郎さんに、脱力のヒントを教えていただきます。

料理家・執筆家の麻生要一郎と申します。
皆さんの忙しい日々に、ほんの少し力が抜けるようなエッセイを毎月お届けしていきたいと思っています。

今回は、健康診断の結果と健康術についての話です。

この連載第4回の終わりの方にも記した通り、もろもろの検査を受けるため20年ぶりに病院へ出かけた。前日21時以降は何も食べないとの言いつけを守り、通常より早めに軽い夕食を済ませる。

すっきり目覚め、いつもの朝ならコーヒーを入れるところだけれど、それも我慢。
水を2杯だけ飲んで、どきどきしながら病院へ向かった。

周囲からもそろそろお年頃、ちゃんと検査を受けておいた方がいいと、心配されていた。
そんなことはもちろんわかっている。でも介護が落ち着くまで……、この本を世に送り出さなくては……、新しい家が完成するまでは……と、孤軍奮闘で走り続けた。

検査をして、すぐに入院もあるかもしれない。重大な病気が見つかった時のことも想定して、前夜に友人である担当の医師にその際の手順を伝えておいた。

血液検査、CT、他にもいろいろな検査をしてもらう。ここへ行って、次はあっちへ行ってと、アトラクション感覚もあり、ちょっと楽しい。

そして午後のメインイベントは、胃カメラと大腸カメラ。どちらも人生で初めてのこと。
先に内視鏡の受付に到着していた友人は、1時間前から下剤を飲み続けているらしく、つらそうである。

担当の看護師さんが「麻生さん、まず2杯いっちゃいましょうか?」と言う。
そんなに一気に? とも思いながら、何事も早く済ませた方が気も楽である。飲ませ上手な看護師さんのおかげで、クイっと、かけつけ2杯を飲み干す。その様子を見た友人が目を丸くしながら、トイレへ駆け込んでいった。

その数日前に、家族のような友人のささやんが、胃カメラの時に鎮静剤を使わないと話していた。せっかくだからきちんと見届けたいという、彼の考えに共感した。

順番が回ってきた時に、鎮静剤は使わなくて大丈夫かと再度確認される。腫瘍が発見されるかもしれない、ならばその発見の瞬間も見逃すまい。
とは言ったものの、最初にカメラが食道を通過するあたりが苦しく、一瞬後悔したが、看護師さんに息を整えましょうねと背中をさすられ、涙を浮かべながら胃カメラを乗り越えた。

大腸検査では、映像をちゃんと確認することができた。食べ物も気をつけ、適度な運動も心がけている、そのかいあって胃も腸もきれいだと褒められるほど、何も問題がなかった。

他の数値も、日常生活で気をつければよい程度。ホッとひと安心。うきうきと会計を済ませて、友人とマネージャーの大ちゃんと仕事を終えた担当医と、病院近くのおいしいとんかつ屋で遅い昼食を食べた。

すっかり健康に自信がつき、続けているピラティスとパーソナルトレーニングに加え、毎週水泳に出かけることに。曜日と時間を決めて、ささやんと一緒に約1時間。
週1という無理のないペースが、長く続けるコツだと思う。

移動も時間と気持ちの余裕を持って、歩く。1日1万歩目標、でもこれも義務化すると続かない。余裕がある日限定。
電車もタクシーも乗るし、誰かの車で送迎してもらうことも大歓迎。原稿仕事や料理の撮影の日だと、ほとんど歩かないなんてこともざらにある。昨日は暖かな1日でうれしくなって、携帯の歩数計は1万5千歩を超えた。

無理なく、マイペースにコツコツが、健康のポイント!
皆さんも、自分にとっての無理のない健康術を見つけて続けてみてくださいね。

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麻生要一郎さん

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あそう・よういちろう 1977年、茨城県水戸市生まれ。日々無理なくつくれる手軽なレシピの提案やエッセイを執筆。広いキッチンのあるスタジオでは、気の置けない友人たちを招いて食卓を囲んでいる。著書に『僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22』(オレンジページ)などがある。