健康のために、または、なりたい自分になるために、
いつもダイエットを意識しているという人もいるのではないでしょうか。
ダイエットを成功させるためには、無理は禁物です。
短期的に努力や我慢して痩せようとすると失敗しやすく、結果が出てもリバウンドする可能性が高くなります。
健康的に痩せるために最も重要なのは「継続的な生活習慣の改善」です。
なぜ太るのか、何を食べてどのような生活をすれば痩せ、そのままキープできるのかなど、自分の体質に合った方法を知ることから始めましょう。
太る原因や肥満のタイプを漢方の考え方を取り入れて解説します。
肥満になる原因
そもそも、私たちはなぜ太ってしまうのでしょうか。
とくに30代に入ると、多くの女性は太りやすくなり、痩せにくくなります。その大きな原因は、基礎代謝の低下にあります。20代は多少食べすぎても基礎代謝が高く、体内でどんどんエネルギーとして消費されていたのが、加齢によって代謝が落ち、エネルギーを充分に消費できなくなるのです。
代謝しきれなかった余分な栄養は老廃物として身体にたまります。老廃物はしだいに体脂肪として蓄積され、血中の中性脂肪として体内に定着して、エネルギーとして使われにくく、排出もされにくくなります。このような状態が続くと、やがて肥満や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病へ進行することもあります。
つまり太る原因は、体内で使うエネルギー以上にたくさん食べたり飲んだりしてしまうことから起こります。
しかし、実は肥満にもさまざまなタイプがあり、とくに改善すべきポイントは人それぞれの体質によって違っています。
肥満のタイプ診断
漢方の考え方では、肥満は、原因や症状によって4つのタイプに分類できます。
自分がどのタイプに当てはまるのか診断してみましょう。チェックの数が多いタイプを確認してください。
①むくみ型
- 顔がむくみやすい
- 全身がだるく、重たい
- 気が短く、せっかち
②消化渋滞型
- 食欲旺盛で、脂肪の多い肉類が好き
- 口の中に苦みを感じることが多い
- のどがよく渇く
- 口臭がきつい
- 尿の量が少なく、赤みがかっている
- 便が固い
③食欲不振型
- 食欲があまりない
- 口の中が甘く感じることが多い
- お腹が張っていて、脇腹に縛られたような激しい痛みがある
- 重いだるさがある
④冷え性型
- 寒がりで手足がよく冷える
- 腰やひざがだるい
- むくみやすい
- イライラが続く
- 朝に下痢をしやすい
<タイプ別>ダイエット向きの食材・おすすめレシピ
4つのタイプは、同じ肥満でも原因や症状が違います。それぞれに合わせた食生活をとり入れる必要があります。漢方の考え方に基づいた、タイプ別の肥満に効く食材と、簡単なおすすめレシピを見ていきましょう。
また、解説の中では、人間の身体を構成する「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの要素が出てきます。これは、漢方の基本となる考え方です。詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
①むくみ型
体内の「水」が滞っているせいで、余分な水分がたまってむくみが生じているタイプです。とくに顔のむくみが目立ちます。ダイエットには、「水」をめぐらせる効果のある食材や、体内の余分な熱をとって水を排出する食材が効きます。
■効く食べ物
- トウガン
- キュウリ
- セロリ
- 昆布
- アサリ
- ミョウガ
- 小豆
- 鴨肉
- 酢 など
■おすすめレシピ
トウガンの煮物(28kcal / 1人分)
材料(2人分)
- トウガン
- 100g
- 干しエビ
- 5g
- 薄口しょうゆ
- 大さじ1
- 水溶きかたくり粉
- 適量
作り方
- 干しエビを水(分量外)で戻します。戻し汁はとっておきます。
- トウガンの種とワタをとり、皮をむいて3cm角くらいに切ります。
- 干しエビの戻し汁と水を合わせて300mlにします。薄口しょうゆも加えて鍋に入れ、煮立たせてトウガンを加えます。
- 弱火で15分ほど煮て、味をしみ込ませます。
- トウガンに味がしみてきたら、水溶きかたくり粉でとろみをつけます。
トウガンは体内の余分な熱をとり、利尿効果もあるのでむくみを解消してくれます。
②消化渋滞型
食欲旺盛で、脂肪の多い肉類などをよく食べる場合は、体内の血の流れが滞っているのかもしれません。全身に栄養を十分に送ることができず、内臓の働きが低下するため、代謝が悪くなり、肥満につながります。脂肪の多い食べ物を控え、かわりに「気」のめぐりを高め、血の停滞をとりのぞく食材を日ごろの食事にとり入れましょう。
■効く食べ物
- ダイコン
- タケノコ
- ビワ など
■おすすめレシピ
タケノコの土佐煮(14kcal / 1人分)
材料(2人分)
- ゆでタケノコ
- 40g
- だし
- 200ml
- 薄口しょうゆ
- 小さじ1
- 削り節
- 大さじ1
作り方
- タケノコを一口大に切ります。
- 薄口しょうゆとだしを入れた鍋にタケノコを加えます。汁気がなくなるまで煮ます。
- タケノコの煮汁を切って、削り節を加えて全体にまぶします。
「気」のめぐりを高めるタケノコに加えて、胃腸の働きを補う削り節を一緒にとり入れましょう。
③食欲不振型
食欲がなく、あまり食べないのに太ってしまう場合は、「気」のめぐりの滞りが原因で老廃物がうまく排出できずに体内にたまり、身体のバランスが崩れていると考えられます。体内の老廃物を排出し、消化をうながす食べ物を積極的にとり入れましょう。
■効く食べ物
- タマネギ
- サケ
- コンニャク
- タケノコ
- ダイコン
- パパイヤ
- キウイ
- ネーブル など
■おすすめレシピ
コンニャクのピリ辛煮(108kcal / 1人分)
材料(2人分)
- コンニャク
- 40g
- 赤トウガラシ
- 1本
- 割り下
- 大さじ1
- (つくりやすい分量)
- しょうゆ 150ml
砂糖 75g
酒 75ml
水 250ml
上記を混ぜて火にかける - 三温糖、薄口しょうゆ
- 各少々
- サラダ油
- 大さじ1
作り方
- コンニャクをめん棒などで叩いてやわらかくします。両面に浅い格子状の切り目を入れ、1.5cm角に切り、熱湯でゆでます。
- フライパンに油を引いて、コンニャクを炒めます。
- 割り下と水大さじ2(分量外)を加えて、種をとって半分に切ったトウガラシも加え、味見をします。
- 味が足りなければ、三温糖と薄口しょうゆで味を調え、煎りあげます。
消化を促進するコンニャクにトウガラシを加えることで、「気」のめぐりを改善する効果があります。
④冷え性型
冷えは、多くの不調の原因になります。肥満も例外ではありません。身体が冷えると、血のめぐりが悪くなってしまいます。内臓もうまく機能しなくなるので、代謝が滞り、肥満につながります。内臓を温めて、機能を活発にする食材や、スパイス類をうまくとり入れて、冷えを改善していきましょう。冷え性を改善する方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
■効く食べ物
- ショウガ
- ニンニク
- コショウ
- トウガラシ など
■おすすめレシピ
キャベツのショウガあえ(14kcal / 1人分)
材料(2人分)
- キャベツ
- 2~3枚
- ショウガ
- 10g
- 塩、薄口しょうゆ
- 各少々
作り方
- キャベツを太めの千切りにして、塩をふって軽くもみます。約10分おいて水気を切ります。
- ショウガをできるだけ細く切ります。
- キャベツとショウガをまぜます。
- 塩と薄口しょうゆで味を調えます。
ショウガとキャベツの相乗効果で、冷えと肥満を同時に解消します。
ダイエットに効果的な食習慣と注意点
ダイエットの効果を高めるためには、何を食べるかということだけでなく、どのように食べるかにも気をつけてみましょう。頭では分かっていても、食習慣を変えるのはなかなか難しいことです。自分にできそうなことから少しずつ意識できるとよいですね。
ダイエットに効果的な食習慣と注意点について、簡潔にまとめます。
1日3食規則正しく食べる
摂取カロリーを減らしたいと思うあまり、朝食や昼食を抜く方法はあまりおすすめできません。
身体は、飢えの危機を感じると脂肪を溜め込もうとするからです。
1日3食、できるだけ同じ時間に食事をとるようにすれば、身体に安定して栄養を届けられます。体内時計のリズムも整うので、なるべく規則正しい食生活を心がけましょう。
野菜から食べるようにする
同じ内容の食事でも、食べる順番を変えるだけでダイエットの効果が期待できることはご存知でしょうか。
食事によって血糖値が急激に上がると、身体は脂肪を多く蓄えようとします。そのため、米やパンなど炭水化物を含む食材から手をつけ始めるのは望ましくありません。食物繊維には血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があるので、まずは野菜から食べ始めるのがおすすめです。
寝る3時間前に夕食を済ます
ダイエットを成功させるためには、できる限り夜遅くに食事をとるのはやめましょう。
特に22時以降は、何も食べないように気をつけます。また、腸をしっかり休ませることを考えれば、寝る3時間前には食事を済ませておくことが理想的です。
とはいえ、生活リズムによっては、食べる時間を自由に調整できないこともあるでしょう。どうしても時間が遅くなるのであれば、夕方に間食をとり、夜ご飯はなるべくヘルシーな内容にするようにしましょう。
よく噛んでゆっくり食べる
よく噛んでゆっくり食べると、満腹中枢が刺激され、少量でも満腹感を得やすくなります。さらに、よく噛むことで消費カロリーが増え、胃腸への負担も軽くなります。
主食、主菜、副菜をとり入れる
この食材がダイエットに効果的! と謳うダイエットの類は、食材を変えては度々ブームを巻き起こします。確かに、ここまでご紹介してきた通り、ダイエットに効果的な食べ物は存在しますが、重要なのは、バランスよく栄養をとることです。
必要な栄養素が不足すると、身体はうまく機能しなくなります。主食、主菜、副菜をとり入れた栄養バランスの取れた食事を意識するとよいでしょう。
極端な食事制限はしない
極端な食事制限は、短期的な効果はあるかもしれませんが、長期的に見れば、健康的に痩せる方法ではありません。身体に必要な栄養が足りなくなると、筋肉量が落ち、基礎代謝が低下してしまいます。
そうすると、結果的にはエネルギーが消費されない、痩せにくい身体になってしまうのです。
水分を摂る
水をしっかり飲むと、腸内環境が整い、肌荒れの改善も期待できます。水を飲むことは手軽でお金もかからない方法なので、生活習慣にない人はぜひ試してみてください。具体的には、起床後にコップ1杯程度の水を飲みます。その後、17時頃までは、1~2時間ごとにマグカップ半分程度の白湯か常温水を飲みましょう。
17時以降、就寝までの時間帯は、食事と入浴時を除き基本的に水分を控えます。
過度の飲酒を避ける
適量を超えるアルコールの摂取は、胃腸に負担をかけてしまいます。
そもそも、お酒を飲むのは夜が多いですよね。食事を避けるべき時間帯にお酒やおつまみを口にしてしまうのは、もちろんダイエットにはよくありません。それでもお酒が飲みたいときは、飲む量を少なめにして、おつまみにヘルシーなものを選ぶように気をつけるとよいでしょう。
塩分を多く含む食べ物を控える
ダイエットのために糖分を控えた方がよいことは知っていても、塩分を控えるというのは疑問に思う人もいるかもしれません。実は、塩分をとりすぎると「むくみ」の原因になります。痩せるためには、塩分も控えるように意識しましょう。
ダイエットを成功させるために、生活習慣で見直すこと
ダイエットを成功させるためには、食生活の改善だけでは十分とは言えません。
生活習慣全体を見直し、痩せやすく健康的な身体を目指していきましょう。
適度な運動
ダイエットといえば、食事と運動を意識することが大切です。
消費カロリーを増やし、基礎代謝を高めるためには筋肉をつけなければいけません。ウォーキングやジョギング、ストレッチといった運動を継続して生活に取り入れるように意識しましょう。
十分な睡眠
実は、ダイエットの効果を高めるためには十分な睡眠をとることも大切です。良質な睡眠は、筋肉の発達や脂肪の分解をうながしてくれます。
まとめ
健康的に痩せるためには、規則正しい生活習慣や栄養バランスのよい食事が欠かせません。
さらに太りやすい4つのタイプに合わせた食材をとれば、ダイエットの効果を感じられるはずです。
(参考文献)
「再春館製薬所が教えるおうち漢方」新星出版社,2014年3月
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