漢方は、「中医学」を基に、日本の環境やそこに住む人の体質に合わせて発展した日本の伝統医学です。症状ひとつだけを見るのではなく、体全体を総合的に見直す漢方では、『痛みが出たら抑える』という西洋医学の考え方と違い、『痛みの根本を見直す』医学です。痛みの原因がどこから来ているのかを探るために、症状だけを見るのではなく、生活習慣や体質を訊くことからはじめ、患者の体全体を診察します。
わたしたちの体には自らもとに戻ろうとする力、「自己回復力」を持っています。例えば、軽い切り傷なら特に何もしなくても、かさぶたができて治っていくように、自ら健康になろうとする力が働きます。漢方はこの自己回復力を活かす治し方が一つの特徴です。
しかし、年齢を重ねると、「昔よりも傷が治りにくくなっている」と感じることはありませんか?加齢や環境の変化が原因で体のバランスが崩れると、自己回復力は低下してしまうのです。
そこで、その自己回復力を手助けするのが、植物や鉱物などの「自然がもつ力」です。私たちは、何千年という歴史の中で、身近にある自然の力を「生薬」として取り入れ、健康に役立ててきました。
漢方薬は、自然界に存在する植物、鉱物などの生薬を組み合わせることで構成されています。それぞれが持つ薬効を生かすだけでなく、相乗作用をさせたり、さらには、生薬の毒性を軽減させたりと、その組み合わせは無数にあります。
西洋薬の多くは一つの有効成分で作られており、一つの症状に対して効果を発揮させるのが特徴ですが、漢方薬は複数の有効成分を含んだ生薬で構成されているため、様々な症状に効果が期待できます。また、生薬の力が体全体に作用することで、原因が特定できない痛みや、体質に伴う悩みにも期待ができるのが大きな特徴です。