
ドモホルンリンクルの発売開始から今年で50年。その長い歴史の中で、多くのお客様に認知していただける基礎化粧品へと成長できたと感じており、それはテレビCMによるところが大きいのは間違いありません。
商品の紹介やその効果を伝えるだけでなく、企業としての姿勢や大切にしている想いなどを、時代の変化に合わせて表現し続けてきたドモホルンリンクルのテレビCM。
今回は2023年1月よりオンエアされているシリーズについて、実際に制作を担当したブランドコミュニケーション部の安岡に、それぞれのCMに込めた思いや狙い、さらにどういった意図のもと、プロジェクトが進んでいったのかなどを聞いていきます。

2016年入社。
入社以来、ドモホルンリンクルCM制作すべての担当を務める。ドモホルンリンクルの魅力をたくさんの人に知ってもらい、1人でも多くの方に手に取っていただきたいという想いで日々お仕事をさせていただいています。
(※2024年3月時点)
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CMを通じてお客様に「伝えたいこと」
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安岡
まずはお客様にブランドとして伝えたいことをまとめて、それをもとにCMを担当するクリエイティブチームと何度もディスカッションを重ねていきます。
時には議論の中で「もっとお客様に伝えるべき大切なことが他にあるのでは?」という結論にいたり、企画から練り直す、なんてこともありつつ、そんな工程を繰り返しながら、徐々にCMの方向性が出来上がっていきます。
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安岡
私たちの研究成果の結晶とも言える製品が、お客様のお悩みにどう応えられるのか。製品に対してどのような印象を持っていただきたいのか。それを考え抜いた結果として「伝えるべき大切なこと」が見つけ出されていきます。
それと同時に、もちろんビジネス的な観点も必要なので、想いの部分と数字の部分の最適なバランスを持つ表現が求められますね。

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安岡
表現自体は企画ごとに変わっていきますが、ずっと変わることのない“根っこ”の部分には『ブランド指針』と呼んでいる大きな方針があるので、それに則った表現を守り続けています。
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安岡
今回のシリーズには、これまで以上にたくさんの想いやこだわりが詰め込まれていて、ここですべては語り切れないくらいですが(笑)、その中でも特に重要なのは、多くの人が抱いているドモホルンリンクルのブランドイメージに変化を生みたいということです。
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安岡
ドモホルンリンクルは最新の研究に基づいて、常に進化し続けている化粧品なのですが、ずっと昔からある商品ということもあり、古くからのイメージをそのまま持ち続けているお客様もたくさんいらっしゃいます。
したがって例えば「昔からずっと変わらない基礎化粧品」「自分より上の世代が使うもの」といった、事実とは少し異なる印象を持つ方も多く、そういった部分を変えていきたいという強い思いがありました。
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安岡
またこれまでのCMで表現してきた世界観やトーンによって、企業としての「誠実さ」や「真面目さ」といった部分はきちんと伝わっているようなのですが、一方で製品の強みや、それを使うことで得られるメリットなどは伝わり切っていないという課題もあります。
そこで今回は、長く大切にしてきた再春館製薬所らしさは受け継ぎながらも、上記の課題をいかに解決するか、といったあたりに主眼を置いたクリエイティブを目指しました。
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安岡
「漢方発想×サイエンスによって、人間に備わる肌本来の力を引き出し悩みを生みにくい肌をつくる」というコンセプトを、直接的な言葉だけでなく、映像や音楽がつくり出す全体の雰囲気でも伝えるという手法をとりました。
また今回は、ドモホルンリンクルのCMでよくある「女性が登場して、化粧品を使ってお手当てをする」といったシーンはなく、熊本の大自然をはじめ、各地の自然あふれるロケーションで撮影を行っています。
そこには、製品が持つ直接的な肌への効果だけでなく、より根本の部分にある「自然の恵みを身体に取り入れる」という考え方までも含めて伝えたいという意図がありました。
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ブランドアンバサダー
高良健吾氏によるナレーション
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安岡
はい。熊本県出身の高良さんに2024年2月よりドモホルンリンクル初のブランドアンバサダーに就任いただき、CMのナレーションも担当してくださりました。
幼少期の高良さんはご家族の都合でいわゆる「転勤族」だったそうですが、中学校〜高校の多感な時期を熊本で過ごされたとのこと。今でも熊本という土地に非常に強い思い入れを持たれていて、親善大使などのお仕事も積極的にされているそうです。熊本の企業としてうれしい限りです。

工園見学に来られた際の1枚。真剣に研究開発員の話を聞く表情が印象的です。
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安岡
本当に誠実な方で、お仕事に対してもとても真摯に向き合っている印象を受けました。
記憶に残っているのは、ナレーションの収録に際して、事前に自分なりに考えていろいろと練習されてきていたようで、メモが書かれた台本を持って臨まれていたことです。
また会社に初めていらっしゃった際に、社員でウェルカムメッセージを書いて控室に置いていたんです。
それを見た高良さんは「ぜひ持って帰りたい」とおっしゃってくださって、急遽、持ち運べるサイズのボードに手直してお渡ししました。

社員からのメッセージを受け取った際の様子。すぐ後ろに安岡の姿も見えます。
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安岡
あと私たちの商品をプレゼントした後、事務所の方からお礼のお手紙をいただきました。
するとその文末に、直筆のメッセージが書かれていました。そんなところからも、とても誠実なお人柄を感じます。
CMの紹介【1】
「まだお使いになったことのない方へ」篇

2023年1月オンエア
曲:「オリジナル」
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安岡
これが今回のシリーズの第1弾としてつくったものになります。
ここでのポイントは、「お使いになっているお客様は23万人(※1)」「2人に1人が10年以上続けてのご使用(※2)」「継続率は94%(※3)」といったような事実を伝えているだけで、奇をてらったような表現はしていないということです。
(※1)2022年4月実績/3回以上購入者(自社調べ)使用感や香りの嗜好性等によるもの
(※2)2022年4月実績/180日以内購入者の割合(自社調べ)使用感や香りの嗜好性等によるもの
(※3)2022年4月実績/360日以内に3回以上購入者(自社調べ)使用感や香りの嗜好性等によるもの
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安岡
先ほども話した通り、ドモホルンリンクルというブランドに対するイメージとして「誠実さ」や「真面目さ」といった部分は、以前から大事にしてきました。
しかしこれも先ほど申し上げた通り、製品の強みが伝わり切っていないという課題は残っていました。
そこで大変ありがたいことに、たくさんの会員様に商品をお使いいただいているということ、またその多くの方が長く使い続けられているといった事実を知ってもらうということが、何よりも製品の強みだ!と思いました。
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安岡
CMの一般的な手法のひとつには、芸能人や著名人の方に出演してもらって「私、ずっと使っています!」と話してもらったり、その方の魅力に対する憧れの気持ちを引き出したりするものがあります。
しかしドモホルンリンクルのCMで、ここ数十年特定のイメージキャラクターを起用してこなかったのは、一人ひとりのお客様とのつながりや結びつきを大切にし、そのすべての方たちと、これからも長いお付き合いをしたいという思いがあるからです。
ずっと大切にしてきたその考え方を受け継ぎ、最終的にドモホルンリンクルらしい上質さや自然の力などの空気感を、映像と音楽によって醸し出すという表現に至りました。
CMの紹介【2】
「事実」篇

2023年5月オンエア
曲:「オリジナル」
作曲者:「川井憲次」
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安岡
この「事実」篇とその後に続く「誤解」篇、そして「スキンケアに詳しい方へ」篇は、すべて作曲家の川井憲次さんによる同じ音楽が使われています。
その狙いとして、複数のCMを連動させてシリーズ化することで、ブランディングの強化に結びつけたいという思いがありました。
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安岡
私たちからのオーダーは抽象的なもので、「『漢方』や『自然の力』を感じさせるようなものに」といったくらいでした。それらのキーワードから、神秘的で厳か、壮大なイメージを共有し、あとはお任せした感じです。
はっきりと聴き取るのは難しいかも知れませんが、あの曲にはきちんとした意味を持つ歌詞があって、ドモホルンリンクルが持つ世界観を歌にすることで出来上がった曲なんですよ。
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安岡
いえ、実は「事実」篇にのみ使う想定でつくっていただいたんです。
結果的に非常によい曲ができたこともあり、先述の通り、ブランドCMとしての総合力を高めるためにも「同じ曲を使ったシリーズ的に展開しては?」と提案をいただき、3つに使用することとなりました。
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安岡
この映像にも、実際にお手当てをしているシーンはありません。
その上で、肌を慈しんでいる様子にフォーカスが当たるということと、自然の力を感じられるということには注意を払いました。
結果的に、雄大な海を背景に、出演者の方が肌に手を当てるような演出になっています。

お手当てシーンを撮ることなく、肌を慈しむイメージを伝えています。
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安岡
このCMは、新しいお客様に向けた「きっかけとなる」ための役割を担わせたいという狙いがありました。
その実現のために「自然の力で年齢を重ねる肌に先回りケアをする」「それが可能なのは、タンパク質に着目しているから」「製薬所が研究したエイジングケアを体感してください」という投げかけをするナレーションになっています。
CMの紹介【3】
「誤解」篇

2023年9月オンエア
曲:「オリジナル」
作曲者:「川井憲次」
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安岡
これは、私たちが普段お客様とのコミュニケーションを図る中で、「きちんと伝えられていないな」「事実とは違う認識を持たれているな」と感じることがあり、その問題を解決することを主たる目的としてつくったものになります。
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安岡
そうですね。
そういった誤った認識に対する気づきを与えることと、シリーズ全体を通して狙っていた「ブランドイメージを刷新し、強化する」という大きな目的を大切にした表現になっています。
CMの紹介【4】
「スキンケアに詳しい方へ 」篇

2023年10月オンエア
曲:「オリジナル」
作曲者:「川井憲次」
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安岡
このCMには基礎化粧品として独自のポジションにあるということや、効果に対する自信、そして自然の力を肌に活かしていることをを伝えたいという思いが込められています。
内容自体は「自らの商品の効果に自信がある」ことを表明しているので、そのままだと少し押し付けがましいというか、圧が強く感じる方もいると思います。
そこで熊本の美しい自然の映像と、音楽によって厳かな雰囲気をつくり出すことで、厚かましく感じることのないように注意しました。

流れる川の上に原料が見える印象的なシーン。合成ではなく、実際に撮影しています。
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安岡
そうなんです。やはり化粧品のCMなので、人が登場して商品を使ってお手当てしたり、イメージシーンを撮るというのが一般的な手法になります。
しかしお伝えした通り、製品がもたらす効果のみならず、自然の恵みを感じてもらえるような表現こそが、私たちが大切にするべきこと。
そこで思い切って人を起用せず、熊本の豊かな自然だけを被写体として採用しました。
おわりに
いかがでしたか? 普段はあまり知ることのできないCM制作の裏側、そしてそれぞれの映像や言葉、音楽に込められた思いを少しでもお伝えできれば幸いです。
それを知った上で改めてCMを見てみると、また違った印象が生まれるかもしれません。
長きにわたって大切に培ってきた世界観を受け継ぎながら、時代に合わせた表現や、現状の課題を解決するための新しいアプローチも試みる。
そんな難しい挑戦を続ける安岡をはじめとしたCM制作チームの今後の活躍にも注目したいですね。

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