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「お勝手口」図書室
弊社会長・西川通子が、ひとりの女性としての胸の内を綴ったコラムです。
家事の合間にお勝手口で、お馴染みのご近所と、ちょっと立ち話、世間話。
そんな気楽な気持ちでお読みください。
2020年 2月号
45年
昨年、私は喜寿の節目を迎えました。そしてドモホルンリンクルも、節目と言うには中途半端ですが、四十五歳の誕生日を迎えました。ドモホルンリンクルとともに歩んだ半世紀に近い年月を振り返ってみると、様々なことが浮かんでまいります。
「亡くなった主人のところへ早く行きたい。あの世で会ったとき、なんだその顔は?年とったなぁって言われたくないから、毎日お手当て頑張っています」。当時四十代だった私は、大先輩であるお客様のお言葉に強く打たれ、お心にかなうようドモホルンリンクルを磨きあげていこうと決心しました。
「商品は素晴らしいのに、なんで自信を持たないの?押し売りみたいな情けない売り方をするの?!」。一時、志を見失って、売り上げばかりを追い求める商いをしていた私を、厳しい口調で叱ってくださったお客様もいらっしゃいました。そのお言葉は、私を血迷いから覚まし、正しい商いの道へ引き戻してくださったものとして、心の奥底深く大切に置かせていただいております。
「大丈夫!ドモホルンリンクルはなにより安全だし、最高の基礎化粧品よ!私のこの肌がなによりの証拠でしょ?負けないで!」。週刊誌でドモホルンリンクルの品質にあらぬ疑念をかけられたとき。これで多くのご縁を失うかもと、不安で心細くなっていた私を、お電話やお手紙で励ましてくださったお客様が数多くいらっしゃったことも忘れることはできません。
「ありがとう!本当にありがとう!」。大きな地震、強い台風の被害にあわれたお客様のところに、居ても立ってもおられぬ気持ちでドモホルンリンクルをお届けしたとき。顔も満足に洗えぬような最中にご迷惑だったかも…という気掛かりを晴らしてくださったお言葉、その明るい響きも耳を離れることはなく。また、熊本が大地震に見舞われた際、数え切れぬほどのご心配とお見舞いを頂戴したことを思い出すと、今も深く頭を垂れる想いばかりが胸にいたします。
まだまだ浮かんでくることは多々ございますが。ふと気がついたのは、そのどれもこれもが、お客様より賜ったお言葉やお心遣いばかり、ということでございました。
商いをしたい。これぞといわれる物をつくり、良いものをつくってくれたと、お喜びいただきたい。そして、お客様お一人おひとりと、売り買いだけに終わらぬご縁を結びたい。四十五年前に抱いた願いは時に揺らいでも、そのたびしかと据え直して、今も背骨のようにこの身を貫いてある――そうと感じたとき、こみあげるように湧いてくるものがございました。
願いを胸に歩んできてよかった。
命あるかぎり、このまま真っ直ぐに進んで行こう…。
今日まで私を導き、ドモホルンリンクルを育ててくださったのは、まぎれもなく、四十五年の間に出会ったすべてのお客様。それはこれからも決してかわることはありません、ならば。年の始めのご挨拶には不似合いな言葉しか思いつきませんが、かわらぬ願いのありったけを託しお贈りしたいと思いました。筆の留めに置かせていただきます。
今日までありがとうございました。
今日からも、なにとぞよろしくお願い申し上げます。