春といえばぐっすり眠れるイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、実は1年の中でも熟睡するのが難しいシーズン。職場のポジションの変化や子どもの進学、引越しなど生活環境が変わることによるストレスが心身にかかりやすいうえ、日や時間帯による寒暖差も大きいため、自律神経が乱れて眠りに落ちにくくなります。
また、花粉症を発症する方も多く、鼻の不快感や服用している薬の関係で不眠に陥ってしまうケースも多く見受けられます。

ところで、そもそも理想の睡眠とはどういったものだと思いますか? アメリカ国立睡眠財団が推奨している成人の睡眠時間は7〜9時間。そして、時間以上にQOLや健康感に関わるとも言われるのが睡眠の質(熟睡度)です。日中、心も体も意欲的に行動できていて情緒が安定した状態を保てている自覚があれば、熟睡できている可能性が高いと考えられます。逆にちょっとしたことで怒りを感じたり、お肌や体の不調を抱えているなら睡眠の量や質が満たされていないせいかもしれません。

ではなぜ私たちは“眠りの充実”に気をとめるべきなのでしょうか。実はしっかり眠れていると、生活習慣病や糖尿病、肥満、メンタル疾患など、心身に起こるほぼ全ての疾患のリスクが軽減されることがわかっています。
また、脳の働きが向上するため、仕事のパフォーマンスのアップや学力向上、認知症の予防にも有効です。さらに、寝入りばなに熟睡すると成長ホルモンがしっかりと分泌されるため、美肌効果が期待できます。情緒が安定して良好な人間関係を築きやすくなったり、社会性が高まるといったメリットも! とくに30代後半〜50代の女性は、ホルモンバランスの変化や忙しさから睡眠不足に陥りがち。この春は今一度、ご自身の眠りについて見直してみてはいかがでしょうか?

朝は日課があるのに、夜はルーティンを持たない方が多いかもしれません。実は就寝までの時間割りを作り毎日こなすことで、眠りに落ちやすい状況を作ることができます。
また、脳を鎮めるためや睡眠時間を確保するために“やらないことリスト”を作るのも有効です。とくに21時以降は心拍数が上がるような運動や飲酒は控えたいもの。そして23時以降はスマホやPCはなるべく見ないようにしましょう。ブルーライトの刺激は安眠を妨げると言われています。

夕食後に試していただきたいのが足ツボマッサージ。足裏のかかとの中央の凹みにある失眠のツボを刺激します。ただ、指では刺激しづらい場所なので、床にゴルフボールを置き、かかとの中央でコロコロと転がすようにするのがおすすめ。テレビなどを観ながらでもトライできます。

就寝1時間半〜1時間前に38〜40度のぬるめのお湯に浸かると、快眠が後押しされることがわかっています。浸かる時間は20分が理想です。また、入浴を境にスマホやPCをオフにするのもぜひお試しください。前述の通りブルーライトは寝付きに影響します。

寝返り上手は熟睡上手と言われますが、スムーズに寝返りを打つためにはパジャマが必須。寝具との相性を考慮して作られているため、体を動かしても摩擦が加わりにくいのです。吸放湿性に優れているのもポイント。木綿や絹など天然素材を選ぶとより快適です。

足首が冷えると眠りにつきにくくなるので、お風呂から上がったらレッグウォーマーなどを履いて保温しましょう。さらにレッグウォーマーの上からドライヤーの温風を1分ほど当てると(10cm以上離して)よく温められます。ちなみに就寝中の靴下はNG。人は眠りにつくときに手足から放熱して深部体温を下げることによって休息モードに入ります。足先は出しておくことがポイントです。

ベッドに入る前に毎日、同じことをしてみましょう。それが習慣化するとスムーズに眠りにつくためのスイッチになります。とくにおすすめなのは筋弛緩運動や、4秒かけて息を吸い、6秒かけて息を吐く呼吸法。副交感神経を優位にする効果が期待できます。

人の体内時計やホルモン分泌の仕組みを考慮すると夜の12時〜朝の6時は眠っているのがベスト。熟睡しやすく、心と体に無理がない睡眠リズムを作れる時間帯でもあります。12時〜6時を軸にし、さらに前後に1時間以上プラスする形で睡眠時間を確保できたら理想です。