
3月1日より数量限定で発売される『50th記念 光対策プレミアセット』には、光対策ドレスクリームとフェイスパウダーに加えて、“筆づくりの聖地”として知られる広島県安芸郡熊野町にてつくられた『化粧筆』※が、セット商品として含まれることになりました。この記事では、化粧筆に込められた想いとこだわりを紹介させていただきます。
※『50th記念 光対策プレミアセット』に含まれる化粧筆の正式名称は「フェイスパウダーブラシ」です。本記事では取材内容に基づいて「化粧筆」と表記させていただきます。
50th記念 光対策プレミアセット
大切なお客様の肌と直接触れるものだから、徹底的にこだわったオリジナルのものを。そしていつものお化粧とは違う使用感や心地よさを楽しんでいただきたい。そう考えて、化粧筆の製造においては、熊野地域でも最も長い歴史を持つ『株式会社 越智製作所』と手を組むことで、ドモホルンリンクルのフェイスパウダー専用の1本がつくられました。
今回読んでいただくのは、越智製作所の製造現場における指揮と総括を担う道本氏と、光対策プレミアセットの企画を担当した再春館製薬所の槌井による対談です。
生み出す商品は違えど、ものづくりへの誇りや情熱という点で同じものを感じたと話したふたりは、どのような気持ちでこのプロジェクトへ取り組み、お客様にどんな風に感じていただきたいのか。想いと想いが交差するふたりの対話が始まります。
取材日:2023年11月22日

1994年の入社以来29年間、越智製作所の技術・開発に従事。現在は技術管理部の部長として、日々職人を育成している。また、長年培った技術と知識を活かし、数多くの革新的な製品を開発した実績がある。

2013 年入社。研究開発部で製品や処方の開発、製剤の浸透技術研究に従事。「お客様にもっと喜んでいただきたい、肌を好きになっていただきたい」という想いで、ドモホルンリンクルを磨き続けています。
Theme1.
決め手となったのは、情熱、そして愛。
まず、越智製作所の簡単な紹介からお願いします。
-
越智製作所
道本氏私たち越智製作所は、昭和10年創業の国内ではじめてつくられた化粧筆の専門メーカーです。
化粧筆というものは「持ち手となる軸があって、その先に毛束がある」という大きな構造で言うと、絵筆や書道筆と変わりません。しかし何と言っても、肌に直接あたるものなので、柔らかさや滑らかさが重要であり、そのために毛の選定や毛の量、形状、そして製造工程などに、どこまでもこだわりを持ってものづくりを行ってきました。

この道29年の道本氏は、「元パティシエ」という少し変わった経歴の持ち主。
-
再春館製薬所
槌井今回、私たちが化粧筆をつくるにあたって、もっとも細かく打ち合わせさせていただいたのも、“肌当たりの良さ”でした。
お客様の大切な肌に触れるものだからこそ、「どんなツールを使うのか」ということは非常に重要です。
『光対策プレミアセット』には、光対策ドレスクリーム、フェイスパウダーに加えて、『化粧筆』が同梱されていて、フェイスパウダーに付属するパフと化粧筆のどちらを使うかでお化粧の仕上がりが違ってきます。その時の肌の状態や、お化粧をどのように仕上げたいかに合わせてツールを選べる楽しさを提供したいと考えて、化粧筆の開発に至りました。

研究開発部・製品チームの槌井は、化粧筆の開発に初期段階から携わりました。
化粧筆の製造委託先はどのように決まったのでしょうか。
-
再春館製薬所
槌井選定にあたって、まず越智製作所さんを含む10数社の筆メーカーにお声がけさせていただきました。
そして各メーカーにまったく同じ情報を提供し、出来上がった試作品を、どの会社がつくったのかを伏せた状態で、弊社の上役も含めてテストを行いました。
その結果、その場にいた全員が、越智製作所さんの筆を選んだんですよ。
-
越智製作所
道本氏え、それは知らなかった!(笑)
-
再春館製薬所
槌井実はそうだったんです(笑)。ただし決め手となったのは、そのテストの結果だけではありません。
私も何度かこの製造現場に訪問させていただきましたが、道本さんをはじめ案内をしてくださるすべての担当者の方が、いつも手に筆を持ち、それを愛おしそうに触りながら、丁寧に、時に熱く筆のことを語られていて、皆さんの筆に対する情熱や愛をとても強く感じられました。それが最終的に御社と一緒にものづくりをしたいと思ったいちばんの理由です。

「筆のことを語り出すと止まりません」と自ら暴露した道本氏。
-
再春館製薬所
槌井つまり会社として培われてきた歴史や、商品の品質はもちろんながら、もっとも共感できたのは、みなさんの“想い”の部分です。
ものづくりへの情熱や、品質にかけるプライドといった点で、私たち再春館製薬所と近いものを感じられたのが大きいですね。
-
越智製作所
道本氏ありがとうございます。技術力や品質管理の部分といった面にも、当然こだわりを持ってやっていますが、やはり一本一本の筆に思いを込めて、手づくりで仕上げていくことで、お客様に喜んでいただくのが、私たちが何より大切にしていることです。そこを理解、評価していただいたのは嬉しい限りですね。
確かに我々の業界も、時代の流れの中で、機械化する部分やAIに任せる部分などが出てきました。しかし特に毛先の様子や、実際の肌当たりなどは、機械に任せてベルトコンベアに乗せているだけでお客様の求めているものが出来上がるかというと、そういうわけにはいきません。
効率だけを追い求めず、人の手や人の目を介して、確かな品質をお届けするという点においては、再春館製薬所さんも同じ考えを持っていると、私たちも感じていました。


Theme2.
50本の試作品を経て辿り着いた完成形。
次に今回の筆について聞いていきます。再春館製薬所側から、具体的にはどういったオーダーが出ていたのでしょうか。
-
再春館製薬所
槌井先ほど申し上げた通り、私たちがいちばん重要だと考えていたのは、“肌当たりの良さ”です。お顔に使っていただくものなので、万が一でも肌を傷つけてしまってはいけません。
またもうひとつこだわったのは、フェイスパウダーとの相性です。今回の商品は粒子がとても細かい「ルースパウダー」と呼ばれるもの。そのパウダーに対する粉含みの良さや、粉が筆から離れてどのように肌に付着するか、そしてそれによって艶感を引き出せるかどうか。その辺りを細かく相談させていただきました。
-
越智製作所
道本氏そういった要望をしっかりとヒアリングして、トップの形状や角度、長さ、密集度などを組み合わせて、あらゆる可能性を探りながら、お客様のオーダーを実現するのが、私たち“筆屋”の腕の見せどころであり、仕事における一番の面白さです。
特に“肌当たり”という点では柔らかさが大事であり、広い面に塗る際にはそれで問題ありません。しかし目元やチークなどのポイント部分では、毛先がフニャッと倒れてしまい、使いにくくなってしまいます。

柔らかさとコシ。その共存が開発におけるひとつのポイントとなりました。
-
再春館製薬所
槌井そうですね。柔らかすぎるとクルクルと回しながら使いづらいので、ある程度の“コシ”もほしいとオーダーした記憶があります。そこを両立させるのが、私たちの願いでした。
-
越智製作所
道本氏「肌当たりをよくするために、柔らかくしたい」というのと「磨きやすいように、ある程度のコシがほしい」というのは、いわば相反する矛盾した依頼です。
しかしそういった難しいオーダーをいただくほど、私たちはやる気が出ます。なんとかして「これ、いいね!」と言ってもらいたい、という気持ちがどんどんと大きくなっていきましたね。

熟練の技を要する「壺入れ」の工程で、毛の長さや毛先の形状などを調整します。
実際の製作の工程は、どのように進んでいったのですか?
-
再春館製薬所
槌井まずはいろいろとサンプルとなる筆を見せていただいて、それらを触らせてもらったり、テストで使ったりしながら、ベンチマークとなるものを決めて、そこから試しては少し変え、また試しては少し変え、を何度も繰り返していきました。
-
越智製作所
道本氏結果的にはどうでしょう……。おそらく50本以上の試作品を経て、完成形に辿り着いたのではないでしょうか。
-
再春館製薬所
槌井実際に試してみると、毛の長さやトップの形状などをほんの少し変えるだけで、肌当たりが大きく変わることが分かります。だからミリ単位の調整を何度も行いました。
-
越智製作所
道本氏今回は再春館さんのこだわりが強くて、それに応えるのがとても難しかったですね。
でも先ほども言った通り、それが逆に面白くて。いろいろと注文を出されれば出されるほど、やりがいは増していくものだと再確認できました。


Theme3.
ただひたむきに、目の前のものづくりを。
今回のプロジェクトを通して感じたことはありますか?
-
再春館製薬所
槌井やはり試行錯誤を繰り返しながら、こちらのオーダーをカタチにしていく越智製作所さんのすごさですね。
豊富な技術やノウハウを持った職人の方々が「ああでもない、こうでもない」と議論を重ねて、毛の選定や配合、長さなどを組み合わせることで、どれだけ難解で抽象的なオーダーでもカタチにする。その力は他社にはないレベルで、非常に優れたものだったと思います。
-
越智製作所
道本氏そう言っていただけてとても嬉しいです。ただ私たちとしては、とにかくお客様の「こういうものがほしい」という思いに一生懸命に応えているだけ。正直に言うと、ご要望通りの筆が完成するかどうかは、毎回、確証のないままに進んでいきます。
そんな中で、結果的に他社で決まったとしても、その過程は大切にしたいというのが私たちの考え方。一生懸命にやって、その上でお客様に「ダメだ」と言われるのであれば、残念ではありますが「やるだけやった」と納得はできますからね。

パウダーとの相性の良さは、使った瞬間に分かります。
-
再春館製薬所
槌井あと完成までの工程や、お仕事への向き合い方という点で、やはり弊社と似ているところが多々あったと感じています。目の前のものづくりにひたむきに取り組み、お客様のニーズに合わせて、守るべきところは守りつつ、進化させるところはしっかり進化させる。そういった姿勢の部分ですね。
-
越智製作所
道本氏確かにそうですね。私自身、30年もこの仕事をやっていますが、まだ“筆の答え”には辿り着いていません。もちろんお客様に喜んでいただけているという自負心や、難しいオーダーをクリアした際は充実感や達成感もあるのですが、とはいえ、「その1本の筆が本当の答えなのか」と言われると、「分からない」というのが正直なところ。
結局、60〜70歳になって仕事を退職する時にも、答えは見つかっていないのではないかと感じる今日この頃です。
それくらい筆づくりというのは奥が深く、だからこそずっと飽きずに楽しいと思えるし、挑み続けることができるんでしょうね。

50th記念 光対策プレミアセット
-
再春館製薬所
槌井私たちは毎日、朝晩とドモホルンリンクルの商品をしっかり使っていただき、日々の変化を感じていただくことを大切に考えております。それによってお客様の肌が健やかに育っていくことこそが、私たちの喜びです。
今回、フェイスパウダーの定番商品化に際して、繰り返しになりますが、仕上がりの違いや、その日の気分、朝起きた時の肌の質感に合わせてツールを選ぶ楽しさをできるだけ多くの人に伝えたいとずっと思っていました。
たくさんの職人さんの手で、1本1本に想いを込めてつくられた化粧筆です。長く、大切に使っていただけると嬉しいですね。
-
越智製作所
道本氏今回は試行錯誤の上で、本当にいいものが出来たと思います。このブラシを使っていただくことで、いつもよりきれいにお化粧ができたと感じてもらいたい。それが筆屋としての喜びであり、また誇りであり、達成感に他なりません。
そういった方が増えることを、私たちも熊野の地から願っております。


おわりに
“肌のプロフェッショナル”である再春館製薬所と、“筆のプロフェッショナル”である越智製作所。
それぞれのものづくりへの姿勢に互いに敬意を払い、共感し合った様子の2社の今回の出会いは、偶然ではなく、必然だったような気にさせる対談でした。
本文内にもあった通り、50本もの試作品を経て出来上がったオリジナル化粧筆の使用感にご興味を持たれた方は、ぜひ『光対策プレミアセット』の購入をご検討ください。
なお、この対談の続編として、製造現場となる工場内での取材記事も3月に公開を予定しております。各工程でのこだわりや、徹底した品質管理のために設けられた種々のルールなどを紹介し、長きに渡って越智製作所の化粧筆が高い評価を受け続ける理由を深掘りしていきますので、そちらもお楽しみに。

※コンテンツ内で扱っている商品情報は一部古い情報を含んでいる場合があります。