



暑さに気を取られがちな夏場ですが、オフィスや公共スペースの冷房による、冷え悩みを実感している方も多いのではないでしょうか? その一方で、本人は冷えに無自覚だけれど、隠れ冷え症に陥っている方も多く見受けられます。「肌がくすんでいる」「便秘になりやすい」などの項目に思い当たるふしがある方や下半身太り、生理不順、慢性疲労などにお悩みの方は、もしかしたら冷えのせいかもしれません。

ではなぜ冷えは万病のもとと言われるのでしょうか。朝日が昇ると気温が上昇するように、私たちの体も起床したら体温が上がって活動的になる、というのが本来のリズム。ところが過剰な冷房や栄養不足、運動量の低下などで日中も体温が上がらない状態が続くと、巡りが悪くなり新陳代謝が滞ってしまいます。冷え性の女性の下半身にセルライトが多く、ぽっこりお腹になったり、肌がくすみやすくなるのはこのため。また五臓六腑は体温が正常でないと本来の働きを全うできません。冷えによって胃腸の働きが低下すると、栄養を適切に消化・吸収できなくなってさらに内臓全体が弱り冷える、という負のスパイラルに。そうなると、免疫力の低下やエイジングの加速も招きかねません。




体温が1度上がるだけで免疫力が高まって、さまざまな病気を予防できると言われていますが、冷えを溜め込まないことこそ、もっともシンプルにして取り組みやすい美容・健康法! 次にご紹介するメソッドも参考にしながら、今年の夏は、"冷えない体"作りを目指してみてはいかがでしょう?

夏になると冷たいものばかり食べたり飲んだりしたくなりますが、これが内臓を冷やす元凶に! 前述の通り胃腸が冷えると消化や吸収が滞って五臓六腑全般の機能低下と冷えにつながるので、できるだけ冷たい物は控えましょう。また、普段から運動量が少ない人は、日中にある程度体を動かして代謝を上げることが大切です。冷房が効いた室内でできる体操など、簡単なことでもいいので取り入れてみては。オフィスの冷房にお悩みなら、まずは冷えが伝わりやすい背中に上着をかけるのが有効です。

朝は陽気(熱を作る気)を上げるべき時間帯。擦りおろした生姜を白湯に入れて飲み、内側から温めるのがおすすめです。ただ数日続けたら数日は間をあけるようにして。朝食は必須ですが胃腸が弱っているなら白粥を。徐々に卵などを足し、調子が整ったら一般的な朝定食に切り替えましょう。

中医学では、陽気を上げるためには脊柱を温めることが大切だと考えられています。天気がいい日は、約10分ほどでいいので背中に太陽の光を浴びてみましょう。背中を通じて全身が温められれば、巡りを改善する効果も望めます。暑い日は、室内からガラス越しに行っても構いません。

いつも低体温で熱を作る力が低下している人に特におすすめしたいのは、ゆったりと行える有酸素運動です。中でもウォーキングは、どこにいても自分のペースで取り組みやすいので習慣にしてみたい! 1日30分を目安に、日中のうちに行なうのが効果的です。

入浴でのぼせてしまうような体質の人にも試していただきたいのが足湯。夜に実践することで巡りを整え、下半身の冷えからくるむくみの改善にも。42〜43度のお湯に10〜20分、くるぶしの約6cm上まで浸します。夕飯は20時までに済ませ21時から23時の間に行ないましょう。

【湧泉(ゆうせん)】
足裏の土踏まずより上、足指を内側に曲げたときに1番凹む場所。
【命門(めいもん)】
背中の中央の第2腰椎と第3腰椎の間(おへそのちょうど裏側)。
冷え症に効果があるとされているツボを温めるのも手です。腹部や下半身の冷えが顕著なら足裏にある「湧泉」、体力がなく、全身が冷えやすい方は背中の「命門」にアプローチを。お灸をするのがおすすめですが、難しければ湯たんぽなどで温めてみてもいいでしょう。

暑い夜も、内臓機能を司るおへそ周りにはタオルケットなどをかけて保温するよう心がけましょう。冷房を入れる際は27度くらいに設定して、冷やし過ぎないように用心を! 通気性に優れた寝具やパジャマを選び、寝汗で体が冷えないように工夫するのも大切です。