周りを幸せにするためにはまず
自分が満たされる必要がある
懐石料理のように季節の菓子とお茶をコースで提供している『菓子屋ここのつ茶寮』。毎月、予約がすぐに埋まる人気店です。主催の溝口実穂さんは、和菓子屋で修行し、8年前にこの茶寮を開業。
「菓子にはなぜ料理のようなコースがないのか? ないなら私がやってみよう、という想いから始めました」
と、語る溝口さん。以来、お一人で切り盛りされています。
「菓子を作り、おもてなしをすることは緊張の連続です。だからこそ、気持ちをリセットしたり、リラックスしたりする習慣は大切。悩んだときも好きな香りのお風呂で温まりぐっすり寝て、昨日に悩みは置いてくる、というように」
「周りを幸せにするためには、まず自分が満たされる必要があるので、自分で自分の機嫌を取り、自分を愛することを後回しにしてはいけないと思っているんです」
食や光、季節の移ろいで本来の
自分を取り戻してもらえるように
溝口さんのつくる菓子に、必要以上の砂糖は使われません。
「菓子も料理のように季節の味を届けたくて。涼しくなるとホクホクしたものが食べたくなるといった、季節ならではの感覚に正直でいると、体が喜ぶんです」
と、自然を感じることを大切にされています。
また、季節の味わい方は食材だけではないそうです。
「陽の光でも季節を体で感じられます。お店にいると、夏場の17時はまだ明るいのに、冬場はもう暗い、というように。私は以前の職場で忙しくて四季を感じられなかった経験があるのですが、きっとかつての私のように日々を忙しく過ごしている方は多いはず。ここはお客様にとって四季を感じ、本来の自分を取り戻せる場所であってほしいと願っています」
自分が責任を取れる範囲で
自由でいられることの心地よさ
季節を感じ、自分を大切にするために。すべてにおいて「ルールで縛る」ことを敢えてしないそう。
「軽やかでいられるよう、日々のルーティンは決めていません。また、菓子はその日の気候などによって微妙に材料・工程を変えるので、メニュー名もつけていません。自分が責任を取れる範囲で、自由でいたいんです。一人でお店を守っているのもそのため。自分の不器用さにも気づいたので、人と比べず自分と向き合えているいま、とても心地よく生きられています」
菓子屋ここのつ茶寮
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店舗には看板がなく、「お店には看板を出すもの」というルールにもとらわれません。
東京都台東区鳥越
営業時間:HPにて事前告知、完全予約制。
https://9-kokonotu.com/
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