夏は暑い季節なので、「冷え性にはならない」と思っていませんか。しかし、夏場でも手足が冷え込んで悩んでいる方もいるのです。夏の冷え性はどのようなものなのか、また夏の冷え性の予防や対策法を知り体の不快感を取り除き、夏を元気に過ごすポイントをお伝えします。
夏の冷え性とは
夏場の暑い時季でも体の一部や手足などが冷え、全身につらい症状が現れるのが"夏の冷え性"です。つらい症状には、具体的に以下のようなものがあります。
- 指先が冷え、手がかじかみ動かしにくくなる
- 手足が冷え、ジンジンと痛い
- 背中がゾクゾクするほど寒い
- 手足が冷えているのに顔がのぼせる など
このような冷えの症状から疲労やめまい、頭痛、腹痛など体の不調を引きおこすのです。また男性より女性のほうが、夏の冷え性に悩む人が多いと言われています。
夏の冷え性の原因
夏の冷え性は自然とやってくるのではなく、何かしらの原因があるものです。原因をよく知り、できるだけ取り除いていきましょう。
- 冷房の効き過ぎ
- 冷たい飲食物の摂り過ぎ
- 栄養不足・食生活の乱れ
- 筋肉量が少ない
冷房の効き過ぎ
真っ先に思い浮かぶ原因は、やはり冷房の影響ではないでしょうか。冷えた室内に長時間居た場合には、体が芯から冷えてしまいます。すると体は、体温を維持しようと血管を収縮させます。その結果、血液の循環が悪くなり末端である手足が冷えるのです。自宅では気を付けていても、職場やお店、電車内など、自宅外の環境が「冷房がキンキンに効いた状態」で冷えやすい環境にさらされていることもあります。
冷たい飲食物の摂り過ぎ
暑いからといって、冷たい飲み物やアイスクリームなどの摂り過ぎには注意しましょう。またトマトやきゅうり、ナスなどの夏野菜は体を冷やすため、食べ過ぎには気をつけてください。冷たい飲食物を摂ると、内臓が一気に冷えてしまいます。冷えた内臓を温め直すためにはたくさんのエネルギーと時間が必要です。また内臓が冷えると、お腹を下しやすくなります。夏場にお腹が不調になる方は、冷たいものの摂り過ぎが原因かもしれません。
栄養不足・食生活の乱れ
夏場になると食欲がなくなるという方はいませんか。しかし、夏の冷え性の対策のためにも、3食きっちりと摂ることが大切です。たとえば朝食を抜いた場合、熱をつくるための栄養が不足し、体温が上がらないまま1日をスタートしてしまいます。
もちろん、3食とも摂るからと言って、好きなものばかりを食べてもいけません。たとえば、甘いものや肉類などを好み偏食ばかりしていると、血液がドロドロになり血流が悪くなります。また、誤ったダイエットによる極端な食事制限や偏食などの影響で、ビタミン・ミネラルが不足し、冷え性につながることもあります。
筋肉量が少ない
1日に発生する熱量の約6割は筋肉でつくられます。冷え症状は男性よりも女性に多く、20歳以上から年齢が上がるほど多くなります。女性は男性に比べて筋肉量が少なく、寒い環境に対応するための熱をつくり出しにくいことから、冷えがおこりやすいためです。また筋肉量の少なさは、血流悪化も招き、冷え性を引きおこします。特に足の血流に大きな影響を与えているのが「第2の心臓」と呼ばれている、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉量低下は足の血流停滞に紐づき、足先の冷えを引きおこします。
冷え性対策のポイント
冷え性の対策としては、「原因」となったことを改善すると良いでしょう。ただ、どのように改善すれば良いのか分からないものです。具体的な方法を紹介します。
- 体を温める衣類を身に着ける
- 冷房の使い方と室温調整のポイント
- 温かい飲み物や食事の摂取と栄養バランス
体を温める衣類を身に着ける
筋肉や脂肪が少なく、皮膚のすぐ下を太い血管が通っているのが「首」「手首」「足首」の3カ所です。この3カ所を温めると全身が効率良く温まります。ネックウォーマーやストール、アームウォーマー、レッグウォーマーなどのアイテムを活用してみましょう。また足が冷えてつらい方は、ストッキングの上から靴下を重ね履きするのも良い方法です。
肩こりが気になる方は、肘を冷やさないように七分袖や長袖を着ると良いでしょう。肘の冷えは、肩こりや首周りのコリにつながります。衣類ではありませんが、貼るタイプの使い捨てカイロを利用するのも手です。温める場所は「腰」「肩甲骨と肩甲骨の間」が良いでしょう。
冷房の使い方と室温調整のポイント
いくら暑いからと言って、冷房をキンキンに効かせるのはやめましょう。室外に出たときにその温度差が5度以上になると、自律神経が乱れやすくなると言われています。室内と室外の温度差を5度未満にすると言っても、「外は38度だから、室内は35度」とはいかないもの。あくまでも目安と考え、そのときどきで適切な温度に設定しましょう。冷え性のことを考えるあまり、熱中症になっては意味がありません。また室温調整ができない場合は、カーディガンなどを羽織ったり、ひざ掛けを使ったりしましょう。
温かい飲み物や食事の摂取と栄養バランス
暑いときは冷たい飲み物や食べ物を摂りたいところですが、冷え性対策のためには常温、もしくは体温以上のものを摂取しましょう。水分補給のときに、意識的に温かいものは摂りにくいもの。そんなときは、食事のときに味噌汁やスープなどの汁物を摂るようにすると良いでしょう。栄養バランスの意識としては、栄養が偏りがちなインスタント食品などの食べ物を控え、ビタミンE、C、B1、パントテン酸、タンパク質などを積極的に摂りましょう。
適度な運動と血行促進
冷え性改善のためには、筋肉を使う運動が良いでしょう。しかし、どのような運動をすれば良いのかは分からないもの。具体的な方法を紹介します。
冷えの改善のための適度な運動
冷えを感じている方は血液循環を良くすることが第一です。血液循環を良くするために効果的な「ふくらはぎを動かす」ことを意識してみましょう。ふくらはぎは第2の心臓とも言われ、ふくらはぎの筋肉を収縮、弛緩と何度も繰り返すことで血管を圧迫して、血液をスムーズに巡らせて血液循環を促進できます。
ふくらはぎの運動は、「かかとあげ」「つま先あげ」を繰り返すことが効果的です。かかとあげ10回、つま先あげ10回をおこなったあと、かかとあげ5回、つま先あげ5回というように少なくしていきながら繰り返しおこなうと血流も良くなり、より効果的です。
そのほかに、以下のような運動も取り入れると良いでしょう。
エクササイズする部分 | 内容 |
---|---|
足首 | 足首を伸ばしたり曲げたりし、左右に5回程度くるくる回す |
骨盤 | 骨盤を左右に5回、前後に5回動かす |
肩甲骨まわり | 手のひらをパーの形にして腕を前に伸ばし、グーの形にしながら胸の前まで引く。これを5回繰り返す。同じように、腕の上げ下げを5回、左右に広げて縮めるのを5回おこなう |
手首 | 左右の手を握り合わせ、手首をひねりながらくるくる回す。右回し5回、左回し5回の計10回おこなう |
足先 | 両足の指をグー、チョキ、パーの形に動かすことを10回おこなう |
首 | それぞれ左右に15秒ほど頭を傾ける。次は前に頭を15秒傾ける。最後に下を向いてぐるぐる首を5回まわす |
指先 | 右手の指を左手でしっかり握り、付け根から指先にかけて引っ張って放す。指を手から抜くようなイメージで3回ずつ。左手の指も同様におこなう |
血行促進のためのマッサージや入浴の方法
湧泉(ゆうせん)というツボは全身の血行を良くするため、冷えの改善や老廃物を排出するなどさまざまな作用があります。土踏まずのやや上の真ん中あたり、足の指を曲げたときにくぼむところにあるツボです。
親指を「湧泉」の中心に当てて垂直に押すのが基本の押し方ですが、ゴルフボールでゴロゴロと刺激するのも良いでしょう。また500ml以下のペットボトルに50〜60度のお湯を入れ、「湧泉」を温めたり、底面で刺激したりすることでも効果があるので試してみましょう。片足ずつ、1分程度ツボを刺激すると良いと言われています。
最適な入浴方法は、38〜40度のお湯に15〜20分ほどゆっくりと入ることです。目安は、額がうっすらと汗ばんでくるくらい。それが体の芯が温まってきたサインです。また、湯船に浸かることで副交感神経が優位となり、手足などの末端の血管が拡張し全身の血流が良くなります。お湯が熱過ぎたり、サウナで大量の汗をかいたりするのは逆効果となるので注意しましょう。
心地良い体温調節とリラクゼーション法
体温調節とリラクゼーション(リラックス)でも、冷えを改善してみましょう。
冷えを改善するための体温調節の方法
冷え性で体が冷えた状態になると免疫機能が低下してしまいます。免疫機能は、体温が上昇することで高まると言われています。冷えの改善だけを意識せず、体全体のことを考えて以下の方法をとってみましょう。
体温調整の方法 | 内容 |
---|---|
適度な運動 | ウォーキングや筋トレなど、習慣化できる運動を。1日に10分程度の軽い運動でOK |
湯船に浸かる | 38〜40度のお湯に15〜20分ほどゆっくりと入る |
自律神経を整える | 朝起きて夜眠り、運動や食事などの時間をしっかりおこない、生活環境を整える |
腸内環境を整える | 朝食に温かいスープを。発酵食品である味噌と食物繊維の多い根菜が入った味噌汁がおすすめ |
ストレス管理とリラクゼーション
強いストレスにより自律神経の働きが乱れると体温調節がうまくいかなくなり、体が冷えやすくなります。そのため上手にストレスと付き合っていきながら、リラックスを図っていきましょう。リラックスすると副交感神経が優位となり血管が拡張し、体が冷える原因が一つ取り除かれます。
ストレス管理や解消方法には、以下のようなことをすると良いでしょう。どれも手軽で、すぐに始められます。
ストレス管理と解消方法 | 内容 |
---|---|
こまめにストレッチをする | こまめにストレッチをすることで、体がほぐれストレスを軽減できる |
甘いものを適度に食べる | 血糖値を上げる砂糖などの糖質はインスリンの分泌を促し、"幸せホルモン"であるセロトニンの合成を高めてくれると考えられる |
ぐっすり寝る | 睡眠は体の休息だけでなく、脳を休ませる役割もある。必要な睡眠時間は人によって異なるが、6時間以上8時間未満程度が適切 |
太陽の下で体を動かす | "幸せホルモン"であるセロトニンの合成が高まる、リズムを反復するような運動がおすすめ。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど |
たくさん笑う | 笑うと副交感神経が優位に働き、安心感や安らぎを得られるようになる |
趣味に没頭する | 家事や仕事、その他わずらわしいことを忘れ、自分の好きなことをする時間を確保する |
お酒を飲み過ぎない | 睡眠の質を下げてしまう |
たばこを吸い過ぎない | 喫煙後しばらくするとニコチンの血中濃度が下がり、またストレスが増加してしまう |
食事と栄養素の選択
食事は日々の健康に直結します。もちろん冷えの改善にも役立つことなので、より意識し実践していきたいもの。以下のような方法を紹介します。
- 体温より温かい食べ物を摂取する
- 毎食汁物を加える
- 間食はドライフルーツがおすすめ
- 血行促進や体温調節に役立つ食材
- 栄養素の摂取とバランスの重要性
体温より温かい食べ物を摂取する
冷えた食べ物を摂ると、もちろん体は冷えます。そのため体温より温かい食べ物、また飲み物は常温以上の物を摂るようにしましょう。ただし「今だけ温まれば良いや」というわけではなく、継続的に食べ続けることが大切です。継続することで、基礎代謝を上げたり血流を良くしたりでき、体の内側から環境が整えられるのです。
毎食汁物を加える
ぜひ毎食汁物を食事内容に加えてみましょう。温かい飲み物を飲むことによって体の中から温まりますが、代表的なものは味噌汁やスープ。特に味噌汁は、体のエネルギーを作るために必要な栄養素であるビタミンB1、タンパク質などが含まれているので、冷え性の方の朝食としてもおすすめです。具材によってはさらにタンパク質やビタミンB2、ビタミンE、食物繊維、アミノ酸など、たくさんの栄養素を摂取できます。
間食はドライフルーツがおすすめ
冷え性の場合には間食にも気を付けましょう。水分の多い物やフルーツ、白砂糖、小麦などは体を冷やしやすい食べ物です。間食を摂りたいのであれば、体を温めながら栄養も摂取できるドライフルーツを食べてみましょう。冷え性に効果的なドライフルーツとしては、以下のような種類があります。
ドライフルーツ | 内容 |
---|---|
なつめ | むくみ解消や貧血予防の効果が期待できる |
山査子(さんざし) | アンチエイジングや美肌効果を期待できる |
血行促進や体温調節に役立つ食材
冷え性の場合、意識して摂りたい物は体を温める食材です。以下に紹介している材料を炒め物や汁物、麺類に加えるなどして摂取を工夫してみましょう。
体を温めるもの | 食材など |
---|---|
薬味 | しょうが、にんにく、ねぎ、ニラ など |
スパイス | 七味唐辛子、こしょう、山椒、シナモン など |
発酵食品 | 納豆、漬物、キムチ、甘酒、ヨーグルト など |
調味料 | 味噌、醤油、天然塩、酢 など ※温熱作用あり |
栄養素の摂取とバランスの重要性
冷えない体づくりのためには、体が熱エネルギーをつくり出せるように栄養バランスの取れた食事を摂ることが大切です。特に体の熱をつくり出す筋肉のために、その材料となるタンパク質をしっかり摂りましょう。また、寝ている間に下がってしまった体温を上げるため、朝食は必ず摂ることが大切です。朝は食欲がないという人は、ヨーグルトや豆乳でタンパク質を補給するだけでも大丈夫です。
具体的な栄養素としては、以下のようなものが挙げられます。
栄養素 | 内容 | 食材 |
---|---|---|
ビタミンE | 末梢血管を拡張させ血行を良くし、女性ホルモンの分泌を調整する | ウナギ、アーモンド、落花生、卵黄 など |
ビタミンC | 貧血予防になる鉄分の吸収を促進し毛細血管の機能を保持する | かんきつ類、緑黄色野菜、果物 など |
ビタミンB1 | 代謝を促進し体を動かすエネルギーを産生する | 豚肉、大豆、卵、納豆、ぬか漬け など |
パントテン酸 | 代謝を促進し自律神経を活性化させる | 牛レバー、大豆 など |
タンパク質 | 熱エネルギーとなり神経機能を保持する | 肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品など |
睡眠とリラックスの重要性
冷えを改善するには疲労やストレス、睡眠不足で自律神経のバランスを乱さないように、規則正しい生活を続けることが大切です。
快適な睡眠環境の整え方と睡眠の質の改善
快適な睡眠をとるためには、以下の3つを意識してみましょう。
ポイント | 内容 |
---|---|
量 | 日本人の睡眠時間は、6時間以上8時間未満がおよそ6割とされている。個人差はあれど、日中に眠気で困らない程度の睡眠量があれば十分 |
規則正しさ | 平日と休日で就寝時刻や起床時刻を変えると体内リズムがずれてしまうため、常に同じ時刻に寝る・起きる生活を心がける |
質 | 寝付きの悪さ、夜中に目が覚めるなどの不眠症状がある場合は睡眠の質が悪くなり、日中の眠気や体の不調につながる |
リラックスのためのアクティビティ
ストレスフルな生活を送っていると、結果的に良質な睡眠が取れません。すると血の巡りが悪くなり、体がますます冷えてしまうものです。人は、いつもの就寝時間が近づいてくると脳の覚醒状態からリラックス状態へと変化し眠りにつきます。よって、寝る前にリラックス感を得るとスムーズな入眠が可能です。
快眠のためのリラックス法を何種類か挙げてみます。
リラックス法 | 内容 |
---|---|
ぬるめのお湯に浸かる | 37〜39度程度のお湯は、副交感神経が優位に働き、体の緊張がやわらいでリラックス効果が得られると言われている |
音楽を聴く | リズムが一定していて、音の高低やリズム感が少なく、流れるようなメロディーの曲が良い |
読書 | イギリスのサセックス大学の研究では、6分間読書をおこなうと心拍数の低下と筋肉の緊張が緩和し、リラックスできることが示されている。軽い読書が良い |
香りを楽しむ | リラックス効果が得られる香りとしては、ラベンダーやカモミールがよく知られている |
ストレッチ | ストレッチをすると血行が改善され、筋肉の緊張が緩和しリラックス効果が得られる |
ゆっくり呼吸 | ゆっくりと深い呼吸を意識した腹式呼吸は、リラックス効果がある |
ヨガ | 瞑想で脳がリラックスを感じる状態となる。また、ヨガのポーズをすると筋肉が柔軟になり、緊張が緩和されることでリラックス効果が得られる |
まとめ
冷えを改善するためには特別なことをする必要はなく、「健康のために良いこと」を当たり前のようにおこなうことが大切です。その当たり前のことがなかなか難しく、冷えに悩んでしまっているのですが、まず情報を得ようとした行動がすでに良いことなのです。自分に自信を持って引き続き行動していきましょう。
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