
「薬膳」というと「体に良さそうだけど取り入れるのが難しそう」「どのような食材を使って良いのか分からない」と、自分の生活に取り入れるのは難しいと思っていませんか。しかし、薬膳は手に入りやすい旬の食べ物を使って作れる身近なものなのです。薬膳でどのようなことに期待できるのかを知り、気軽に生活に取り入れてみましょう。
薬膳とは?

薬膳とは
薬膳は、約3000年前に中国で生まれたもので、季節や自分の体調に合わせた食材を取り入れることで、病気にかからないよう予防をしていくという中医学の考え方に基づいています。
予防医学の原点とも言われ、「なんとなく体調がすぐれない」と言ったときに、体を健康的に整えていく食材を組み合わせた料理が薬膳です。
中国の伝統医学である「中医学」には「未病」という考え方があります。「未病」とは、病気と健康の間の状態で、発病には至らない軽い症状がある状態のことを指します。2000年以上前の中国の書物で、中医学における三大古典の一つとされている『黄帝内経素問』(こうていだいけいそもん)にも「聖人は已病を治さずして未病を治す」と記されているのです。
中医学では、「食欲がない」「体がだるい」といった、少し体調がすぐれない「未病」の状態のうちに、薬膳を生活に取り入れることで、体を健康的に保つことができると考えられています。
「薬膳」に対する誤解
薬膳に対して「漢方薬を混ぜた食事」「薬のような味がするのでは」といったイメージを抱く方もいるようですがそれは全くの誤解です。
薬膳は特別な食材を使った料理ではなく、すべての食物に効果があります。たとえば、旬のものを食べることでその季節に合った効能が得られるという考え方のため、普段の食事に旬の食材を使うだけでも、薬膳を実践していることになるのです。食材が特殊で家庭では簡単に用意できない、といった誤解もあるようですが、薬膳は実は手に入りやすい食べ物だけでも作れます。
身近な食材で作れる「薬膳」

薬膳は、それぞれの人の体質やその日の体調に合った食材を選んで料理を作ることで効果が期待できます。身近な素材を使って気軽に作ってみましょう。
旬の素材の活用
旬の食材は、おいしいだけではなくその食材の旬の季節にふさわしい働きを持つものが多くあります。たとえば夏が旬の食べ物の多くには体を冷やす効果があり、逆に冬が旬の食べ物の多くに体を温める効果があると言われています。特別な食材を使わなくても、旬のものや身近にあるものを使って簡単に薬膳を取り入れられるのです。
体の調子によって食材を選ぼう
中医学の世界で分類される体質の中でおもな体質とそれぞれの特徴、おもな食材をまとめてみました。
おもな体質 | 症状 | おもな食材 |
---|---|---|
陰虚(いんきょ) |
体内の水分が不足している状態 のどが渇く 口や鼻が乾燥する 皮膚がカサカサする 便が硬くなる |
ぶどう、みかん、すいか、トマト、レモン、オクラ、生の山芋、ゆり根、梨など (梨は蒸して温めていただくとよりうるおいが増します) |
気虚(ききょ) |
疲れやすい 気分が落ち込む 消化不良になる 息切れがする 朝、起きづらい |
米、豆類、肉類、卵、ショウガ、ニンニク、かぼちゃ、玉ねぎ、きのこなど |
気滞(きたい) |
イライラしやすい 怒りっぽい 胸やみぞおちなどにつかえを感じる |
イカ、シジミ、オレンジ、杏、セロリ、ミント、ラベンダー、ローズマリーなど |
血虚(けっきょ) |
貧血 不眠 こむらがえりをおこしやすい 立ちくらみ 肌にツヤやうるおいがない 目がかすむ |
黒豆、黒ゴマ、レバー、赤身の魚、ニンジン、プルーン、トマト、卵、ほうれん草、アボカド、ブロッコリーなど |
血瘀(けつお) |
頭痛 月経痛、周期の異常 静脈瘤 肩こりや神経痛 |
ウナギ、タマネギ、ニラ、青魚、キノコ類、シソ、セロリ、パプリカ、長ネギ、ニンニク、玄米、ショウガなど |
手軽に始めるならまずは「おかゆ」から

薬膳を手軽に取り入れたいと考えたときには、おかゆが簡単でおすすめです。おかゆというと風邪をひいたときなどに食べる、と言う方が多いため「病人食」といったイメージが強いかもしれません。しかし、おかゆは昔から薬膳でも取り入れられている万能な食事です。おかゆのレシピ本もたくさん出版されています。
お米はパワーの源
ダイエットのために「炭水化物」を抜いているという方もいるようですが、漢方の世界では「炭水化物は食事のなかでも重要なもので、パワーの源になる」と考えられています。
人見必大(ひとみひつだい)によって江戸時代に著された本草書『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』でも「米は一朝一夕も人身から離すことはできぬもの」と米の大切さについて記されているのです。
パワーの源となるお米を一日の最初に取り入れることで一日を元気に過ごせるでしょう。しかし、お米の良さが分かっても、普段、朝食を摂らないという方や食後に眠くなりやすいという方は、朝食を重く感じたり面倒に感じたりするかもしれません。そんな方は、おかゆにすると胃腸への負担も少なく食べやすいでしょう。
1月7日に無病息災を願うために食べる「七草粥」は、現在では年末年始に食べ過ぎて弱った胃腸をいたわる意味も含まれています。このようにおかゆを食べる習慣はさりげなく生活のなかに入っています。
おかゆに旬の食材や体調に合わせた食材を加えれば、自分だけの薬膳粥が出来上がります。
薬膳を取り入れた健康な生活を
薬膳は特別な食材を使わなくても、季節の食材を使えば簡単にできます。気軽に薬膳を始めてみてはいかがでしょうか。
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