監修:再春館製薬所
伊藤安矢
大学院修了後、再春館製薬所に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、企画、研究に従事。研究開発員として一貫して年齢を重ねていく肌と向き合い続ける。最新の皮膚研究、肌老化研究を重ねながら、日々寄せられるお客様の声を商品に反映してきた。
シミとそばかすは、同じ「シミ」の一種ですが、実は発生原因が異なります。
シミは紫外線が主な原因でおきる肌トラブルですが、そばかすは遺伝的要因が多い肌トラブルです。
そのため、一般的には同じシミであっても別物として認識されます。
それでは、以下でシミとそばかすの原因について詳しくご説明いたします。
シミのおもな原因はメラニンの過剰な生成により、肌が黒くなることです。メラニンは、肌の奥にあるメラノサイトという細胞で生成される色素で、過剰に生成されるとシミの原因となります。
シミの原因のうち、紫外線によるものは日光性黒子(にっこうせいこくし)と呼ばれ、一般的に「日焼け」とも呼ばれるもの。日光性黒子は、紫外線を浴び続けることで徐々に濃くなってしまうのです。
また、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンも、メラニンの生成を促す働きがあり、ホルモンバランスが乱れるとシミができやすくなります。
本来、メラニンは一時的に大量に生成されても、肌のターンオーバー(生まれ変わり)によって排出されます。ターンオーバーが正常におこなわれていれば、肌に蓄積されたメラニンが排出され、シミが薄くなるのです。したがって、シミを予防するためには、肌のターンオーバーが正常におこなわれるように、肌環境を整えることが大切です。
そばかすは雀卵斑(じゃくらんはん)と呼ばれ、直径3〜5mmの細かい茶色いシミが頬や鼻のあたりにできた状態を指します。
そばかすの原因は、肌のメラニンの含有量の違いやメラニンの生成によってできる色素沈着です。メラニンには、黒色メラニン(ユーメラニン)と黄色から赤色のメラニン(フェオメラニン)の2種類があり、その割合によって肌の色やそばかすの色が決まります。
そばかすの原因は遺伝によるものと考えられており、フェオメラニンが多い方はそばかすができやすいです。親にそばかすがあると、その子どももそばかすができやすい体質である可能性が高いでしょう。
また、そばかすの原因は遺伝によるものが多いですが、紫外線もそばかすができる原因の一つです。そばかすもシミと同様に、紫外線を浴びることで色が濃くなったり、目立つようになったりすることがあります。
そのため、子どもの頃はそばかすがなかったという方でも、大人になって急にそばかすが現れることがあるのです。また、元々目立たない薄い色のそばかすがあった場合も、紫外線によって色が濃くなり目立ってしまう場合があるでしょう。
シミやそばかすが引きおこされるのは、メラニンが過剰に生成されることによる肌への色素沈着が原因です。本来メラニンは、紫外線のエネルギーを吸収する性質があります。そのため、紫外線を浴びるとメラノサイトが活性化し、メラニンの生成が促されます。メラニンは、紫外線のエネルギーを吸収することで、肌をダメージから守っているのです。
そのため、メラニンは紫外線から肌を守るためには欠かせない存在です。しかし、紫外線を過剰に浴びるとメラノサイトが過剰に活性化し、メラニンの生成が過剰に促され、その結果シミやそばかすとして肌に残ってしまいます。
シミやそばかすの原因は紫外線だけではなく、肌のターンオーバーの乱れや虫刺されによる色素沈着なども考えられるでしょう。ターンオーバーが乱れると、古い肌細胞がはがれ落ちなくなり、メラニンが排出されにくくなります。また、虫刺されによって肌に炎症がおこるとメラノサイトが活性化し、メラニンの生成が促され、色素沈着によるシミやそばかすを引きおこすのです。
20代にできやすいシミは、ニキビや虫刺されなどの炎症によっておこる炎症後色素沈着です。肌の炎症によって生成されたメラニンは、正常なメラニンよりも排出されにくく、シミやそばかすの原因となります。
30代にできやすいシミは、老人性色素斑と炎症後色素沈着です。老人性色素斑は、紫外線によるメラニンの過剰生成が原因のシミです。加齢とともに肌のターンオーバーが乱れ、メラニンが排出されにくくなると、老人性色素斑ができやすくなります。
40代にできやすいシミは、老人性色素斑・炎症後色素沈着・肝斑です。肝斑は女性ホルモンの乱れによっておこるシミです。女性ホルモンのバランスが乱れやすい30代から40代にかけて、肝斑ができやすいと言われています。
シミは年代によってできやすい種類が異なるため、年代に合ったシミ対策をおこなうことが大切です。
シミ予防やそばかす予防には、紫外線対策をしっかりと行い、メラニンの生成を可能な限り防ぐことが大切です。
具体的には、下記のようなことを心がけて対策をしましょう。
日焼け止めは、2〜3時間ごとに塗り直しましょう。日焼け止めは時間が経つと効果が薄まってしまうためです。
たとえば、時間が経つと水や汗、擦れなどによって日焼け止めそのものが落ちてしまうことがあります。また、日焼け止めに含まれている紫外線吸収剤は、一定の紫外線を吸収すると効果が弱くなってしまうことも考慮しなければいけません。
日焼け止めを選ぶ際は、SPFやPAの値が高いものにしましょう。SPFは、紫外線B波による日焼けを防ぐ効果を表します。紫外線B波は、肌の表皮にダメージを与え、日焼けやシミの原因となります。SPF値は2〜50までの数値で表され、数値が高いほど、日焼けを防ぐ効果が高くなるのです。たとえば、SPF20の日焼け止めを塗ると、日焼けを約20倍遅らせられます。
PAは、紫外線A波による日焼けを防ぐ効果を表すものです。紫外線A波は、肌の真皮にダメージを与えます。PA値は「+〜++++」までの数値で表され、数値が高いほど、紫外線A波によるダメージを防ぐ効果が高くなるのです。たとえば、PA++の日焼け止めを塗ると、紫外線A波によるダメージを約4分の1に抑えられます。
ただし、SPFやPAが高いものを使っていても、定期的な塗り直しは必要です。夏場の時期はとくに汗をかきやすく、日焼け止めが流れ落ちてしまうこともあるので注意が必要です。顔の日焼け止めを塗り直す場合は、スプレータイプを使うと化粧を崩さず塗り直しができて便利です。
紫外線の強い場所や時間帯を避けることも、シミそばかす対策になります。日陰のない屋外レジャー施設や公園、アウトドアイベントなどで浴びる紫外線の量は当然多くなります。
対策をすればある程度は防げますが、シミそばかす対策を徹底したい場合、夏場の炎天下や直射日光を避けるように気を付けるのもひとつの手です。
また、紫外線量の多い時間帯を避ける方法もよいでしょう。午前10時〜午後2時までの時間帯は、紫外線の量がもっとも多い時間帯です。
散歩や買い物などで屋外に出る場合は、この時間帯を避けるようにすると、肌への紫外線ダメージを減らすことができます。
紫外線対策を徹底したい場合は、肌の露出や着る洋服にも注意してみてください。
シミそばかすは顔だけにできるものではなく、手の甲や腕、首元にも現れます。顔以外のシミそばかすも、見た目年齢を高くしてしまう要因になるため、しっかり対策しておきたいところです。
春から夏にかけての汗ばむ季節でも、ストールや薄手の長袖などを使用し、肌を紫外線から守りましょう。
また、紫外線をもっとも通しにくい色は黒です。黒以外にも、茶色や紺などの暗い色のストールや羽織ものを使うと紫外線カット効果が高まります。
シミそばかす対策には、UVケアグッズも欠かせません。日差しの強い場所や、紫外線量の多い時間帯に外出するときは、帽子や日傘などを使って対策しましょう。
帽子は、360度のつばが付いたものがおすすめです。麦わら帽子は通気性に優れていますが、日よけ効果が薄いため、ポリエステルなどの紫外線を通しにくい素材を選ぶようにしましょう。
また、日傘を使用するのも効果的です。人の肌は日光の下に出てからわずか数分で日焼けがはじまるといわれています。ちょっとしたお出かけでも、日傘をさして紫外線を直接浴びない工夫をしましょう。
できてしまったシミは、残念ながら簡単に消すことはできません。しかし、肌のターンオーバー機能を正常化して、新たにシミができるのを防いだり、濃いシミを薄くしたりすることで対策ができます。
たとえば、紫外線を浴びる時間や頻度を減らすことは、シミの元になる黒色メラニンの生成を抑えます。新しいシミが増えてしまうことや今あるシミがこれ以上濃くならないようにするためにも、紫外線対策は大切です。
また、生活習慣や食事を見直すことによって、肌のターンオーバーを正常化することも重要です。ターンオーバーが正常になると肌の新陳代謝が活発になります。古くなった角質がとれて新しい皮膚ができるという「肌の生まれ変わりサイクル」が整うため、黒色メラニンをきちんと排出でき、シミそばかす対策につながります。
上記ではシミ予防やそばかす予防に大切な、メラニンの生成を抑える紫外線対策についてお伝えしましたが、そもそもシミやそばかすに悩まないすこやかな肌を目指すこともシミ予防やそばかす予防には大切です。
それでは、すこやかな肌を保つための3つのポイントを順番にご説明いたします。
シミやそばかすに悩まないすこやかな肌を保つには、ぐっすりと眠ることが大切です。
質の良い睡眠を取ることで、肌のターンオーバー(生まれ変わり)を促す成長ホルモンが分泌されます。
そして成長ホルモンの働きを活発にさせるには、寝始めの3時間にぐっすりと眠っていることがポイント。
そのため睡眠の質が低くなる原因となるスマホやテレビのブルーライトはできるだけ見ないようにする工夫をしましょう。
肌のターンオーバーを促すためには、生活の悪習慣を改善することが大切です。悪習慣とは、たとえば運動不足や喫煙、カフェインの摂りすぎなど。
日常的に軽い有酸素運動をするように心がけると、血液の循環がよくなるため肌のターンオーバーサイクルが整いやすくなります。
また、喫煙は女性ホルモンの分泌量や皮膚の血流を低下させる原因に。カフェインは適度であれば血流を促進しますが、過剰摂取すると自律神経のバランスを崩すため、血流にも影響するので控えましょう。
これらの悪習慣は、ストレスや心労が原因になっていることもあるでしょう。若々しい肌を保つには、ストレスを溜めないことやリラックスする時間をもつなどの工夫も大切です。
さらに、バランスの取れた食事もすこやかな肌のためには大切です。
栄養バランスの偏りは、肌のターンオーバー(生まれ変わり)が乱れてしまう原因となります。
理想的な栄養バランスについては、厚生労働省と農林水産省の合同で策定された「食事バランスガイド」を参考にしましょう。
また、シミそばかすに効果的な食材を摂取することも大切です。シミそばかすに効果的な栄養素や食材は実にたくさんあります。
これらの栄養素は、抗酸化物質と呼ばれ、体の中にシミの原因を作らないようにします。今までの食生活をいっきに変えることは難しいかもしれませんが、少しずつ理想的な栄養バランスを摂れるように意識してくださいね。シミ対策に効果的な栄養素は、バランスの良い食事を心がけていれば自然と摂取できるものも多いので、ぜひ取り入れてみてください。
※食事バランスガイドは、健康な方々の健康づくりを目的に作られたものです。糖尿病、高血圧などの病院で医師又は管理栄養士から食事指導を受けている方は、その指導に従ってください。
日々の丁寧なスキンケアもすこやかな肌へ導くための重要なポイントです。
潤いがなく乾燥した肌は、肌が持つバリア機能が低下しやすいので紫外線ダメージを軽減することができません。
スキンケアでは、しっかりと洗顔料を泡立てて洗顔する、洗顔の後はすぐに保湿をすることなど、正しく丁寧に行うことを心がけましょう。
シミそばかす対策には、美白有効成分の入った化粧品を取り入れてみましょう。美白有効成分には、たとえば次のようなものがあります。
なかでも、ビタミンC誘導体は黒色メラニンを還元し、シミを薄くする作用があります。多くの美白化粧品に配合されているため、一般的に馴染みのある成分でもあります。
その他成分もシミそばかす対策に有効です。自分に合ったスキンケアを見つけて毎日のお手入れにプラスしてみましょう。
本気でシミそばかすをケアしたい場合は、内服薬やサプリメントの力を借りる方法もあります。
シミそばかす対策に有効なビタミンCは体内で生成することができない成分です。また、シミ対策に必要な栄養素を食事から十分に摂取できないこともあります。
そんなときは、ビタミンCやLシステイン、トラネキサム酸などを内服薬で摂取することも可能です。内側からのアプローチと、スキンケアの両面からケアを続けることで、気になるシミを撃退します。
ただし紫外線が原因でできてしまったシミは、内服薬やサプリメントでも完全に取り除くことはできません。あくまでも、今あるシミを薄く目立ちにくくしたり、新しいシミができるのを防ぐためのものと考えましょう。
メラニン生成の原因をお伝えしましたが、実はメラニンは、紫外線以外の刺激によっても作られます。
たとえば、赤みが出るくらいナイロンタオルでこする、虫刺されをかきむしる、吹き出物をつぶすなど、肌になんらかの炎症が起こると、メラニンが大量に作られ、色素沈着を起こすことがあります。
これらは炎症性色素沈着と呼ばれるシミの一つです。
肌に吹き出物等ができた際は、シミ予防のためにも刺激を加えないように気をつけてください。
■ドモホルンリンクルのスキンケアアイテム
監修:再春館製薬所
伊藤安矢
大学院修了後、再春館製薬所に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、企画、研究に従事。研究開発員として一貫して年齢を重ねていく肌と向き合い続ける。最新の皮膚研究、肌老化研究を重ねながら、日々寄せられるお客様の声を商品に反映してきた。
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