鴛海央
おしうみ・ひろし
再春館製薬所 研究開発部
大学でタンパク質や生体反応のメカニズムなど分子生物学を中心に学んだ後、他社の農薬(殺虫成分)の研究職を経て、2016年、再春館製薬所に入社。以来、研究開発部に所属し素材の研究開発を担当。三児の父として子育てに奮闘中。
よりお肌にうるおいをもたらす、コラーゲン探しの旅。
ドモホルンリンクルを語る上で欠かせないのが、コラーゲン。日本で初めてコラーゲンを配合した基礎化粧品として誕生した後も、常により良い品質のコラーゲンを追求し続けています。動物性コラーゲンから海のコラーゲンへの変遷、そして現在の鱧(ハモ)から抽出したコラーゲンを使用するに至るまで、その歴史と原料へのこだわりを、研究開発部の鴛海央に聞きました。
鴛海央
おしうみ・ひろし
再春館製薬所 研究開発部
大学でタンパク質や生体反応のメカニズムなど分子生物学を中心に学んだ後、他社の農薬(殺虫成分)の研究職を経て、2016年、再春館製薬所に入社。以来、研究開発部に所属し素材の研究開発を担当。三児の父として子育てに奮闘中。
1974年、日本で初めてコラーゲンを配合した基礎化粧品としてドモホルンリンクルは生まれました。以来、最良のコラーゲンを生み出すため、わたしたちは原料選びにも情熱を注いできました。
皮膚にとって良質なコラーゲンがとれる原料であるかを、さまざまな知見と最新の研究で確認すること。生産地の自然環境を目で見て確認し、生産者と深くコミュニケーションを交わし、トレーサビリティを可能な限り高めて安全と安心を担保すること。お客様に効果と安心を感じていただくため、妥協することなく追求し続けてきました。
そんな中、2001年頃に狂牛病(BSE)問題が起こります。当時、ドモホルンリンクルはドイツの医療品原料メーカーの牛由来コラーゲンを使用しており、安全面での問題はなかったものの、お客様の不安を考慮し牛由来の原料の使用を即座に中止しました。そして動物(哺乳類など)由来原料を廃止し、魚から抽出する海洋性コラーゲンを使用することを決めます。
まず我々が原料として注目したのが鯛のウロコ。水揚げされた鯛は加工される際に、ウロコをきれいに剥がすのですが、それらは産業廃棄物として捨てられていました。しかし鯛のウロコを調べると、実はコラーゲンの貴重な源泉だったことが判明。元来捨てられていた物を活かすことができ、かつ良質なコラーゲンが抽出できる――その他さまざまな条件をクリアして、2003年に鯛から抽出したコラーゲンへ切り替えることにしたのです。
ただし、鯛のウロコにも課題はありました。ネックとなったのはウロコの硬さ。硬いウロコからコラーゲンを抽出するには薬剤が必要になる他、作業負担が大きく、そのことがコラーゲンの質の低下に影響しているとの懸念もあったのです。
そのため当時の研究開発チームは、さらに良質な海洋性コラーゲンを探し続けました。日本国内はもちろん世界中から多くの原料を取り寄せ、研究すること約4年。その中で、もっとも高い保湿効果を得ることを確認できたのが、天然鱧の皮から抽出した海洋性コラーゲンでした。
鱧のコラーゲンは、人の肌への馴染みもよく、非常に保湿力が高い。また鯛の硬いウロコから抽出するよりも作業負担も少なく、コラーゲンの質を損ねることもありません。
原料としては申し分ない。しかしながら、鱧は高級魚として皮まで食べられる魚であり、そもそも国内では漁獲高も減る一方。そんな魚を原料として使うことは現実的ではありませんでした。
そんなとき、タイのアンダマン海というところに、体長1メートルにも及ぶ大きな鱧が多く棲息していることを知ります。アンダマン海は川から森の栄養分がたっぷり注がれる豊かな海。肥沃な海で海流に揉まれて強くしなやかに育つ鱧は、皮にも良質なコラーゲンを大量に蓄えていました。
しかも現地では、鱧はすり身加工されるため、大量の皮が活用されず捨てられていたのです。廃棄されるものがあればそれを積極的に活用する、というのは我々がずっと心がけていることでもあります。
従来よりも肌に良い品質、豊かな環境で育つ持続可能な素材、廃棄されるものの活用…すべての条件が整いました。2011年のリニューアルで鱧のコラーゲンを"実装"して以来、現在(2022年3月時点)もドモホルンリンクルで使い続けています。
年齢を重ねると、弾力のあるコラーゲンが減り、固く質の悪いコラーゲンが増え、その結果として、シワができたり、たるんだりしてしまいます。それに抗うため、かつては良質なコラーゲンを肌に「与える」ことで、肌悩みを解決していこうという考え方を我々もしていましたが、現在の研究は「自分でつくるもの」というスタンスにシフトしています。つまり、良質なコラーゲンを塗って終わるのではなく、塗ったことで肌本来の力を引き出し、いかに自らコラーゲンをつくりだす肌にできるか、を念頭に研究するようになっています。
「コラーゲンをつくりだす肌」を実現するために、考えるべき視点はさまざまです。肌がコラーゲンを分解する力を弱めるにはどうすればいいのか。コラーゲンをリサイクルする力を高めるにはどんな成分が必要で、どうすれば肌がつくったコラーゲンをより安定させられるか――日々、さまざまなアプローチからコラーゲンを研究し、商品を磨き上げ続けていきます。
より良いコラーゲンを見つけるために、できることをすべて。我々の研究に、終わりはありません。
お肌に現れるさまざまな悩みの根本的な原因をご存じですか?それはお肌本来に備わるすこやかになろうとする力が低下していること。原因は一つだから解決法もただ一つです。それぞれの悩みにではなく、「準備」から「基本」までのワンラインで段階的に働きかけていきます。
もちろんお肌は、思わぬトラブルに見舞われることがあります。そんなときは、いつでも私たちにご相談ください。あなたのお肌にあった解決方法を一緒に考えさせていただきます。あなたの大切なお肌に、私たちはこれからも寄り添ってまいります。