
ドモホルンリンクルと …
Vol.5 お叱り
episode 1 お客様不在の「幻のデザイン」

ドモホルンリンクルには、わずか数カ月で廃止されるべくして消えた「幻のデザイン」が存在します。いずれの事例も直ちに改善を実行に移したことで、「そういうところは再春館ね」とおっしゃっていただけたことは救いではあるものの、私たちの猛省すべき失態です。その一つが、「製薬会社発のスキンケア」を表現するための「三角フラスコ」を模したボトル(2000年)。その斬新なデザインを「良いもの」と思い込み、お客様ヒアリングなどもないままで発売日を迎えました。ところが、お客様に製品が到着した当日からお叱りのお声が寄せられ──その数たるや、想像を絶するものでした。「元のスペースに収まらない」「安定感に欠け、濡れた手で持ったら滑って落として簡単に割れた。強度も低くなってない?」というご指摘も。
そして、8製品を一挙にリニューアルした2011年の事例です。ボトル製品にはガラス瓶と蓋の間、チューブ状の製品には本体とキャップの間(ヘッド部分)に「肩パーツ」と呼ばれる白い部品を採用。密閉性を高める機能と統一感を両立させたデザインでしたが、「浴室に『化粧落しジェル』を置いておくと隙間から水が入り、手に出した段階で一部が乳化(白く濁る現象)してしまう」「これがあると最後まで使いづらい」というお叱りが寄せられ、洗顔用の2製品からはすぐに「肩パーツ」を廃止。より密閉性が高まる形状のキャップを研究し、急ぎ反映することで、お客様が実際に使う場面で検証を繰り返す大切さを学びました。
episode 2 温かな「ご指摘」

「プリーザーさんは皆、私に嫌な思いをさせないようにという配慮で、悪いことを全然言わないけど、私は『そのやり方じゃダメですよ』とか、はっきり言ってくれた方がうれしい。長いおつきあいなんだから不快になんて思わないし、今後も続けたいから言うのよ。私に合った使い方をビシッとアドバイスしてね」とおっしゃってくださったお客様。そこまで信頼して想いを打ち明けてくださったことに胸を打たれ、そのお気持ちに全力で応えようという気持ちを新たにしました。
episode 3 その気づきが、現在の礎(いしずえ)に

当時入社1年目で知識もスキルも足りていなかった私は、「新製品のドレスクリームってなに? BBクリーム?」というそのご質問に対し、的を射たご案内ができず、お叱りをいただいてしまいました。そのときに学んだのは、他社製品や世の中の美容情報にも広くアンテナを張り、そのうえで自社の強みを理解し、自信を持って製品をご紹介することの大切さです。お客様に頼りにされる「肌のプロフェッショナル」としての責任、そしてお客様プリーザーという仕事のやりがいや面白さに気づかせてくださったあのお客様には、今も心から感謝しています。
episode 4 お客様になりきることで、見えたもの

「ベタつくからお手当てのモチベーションが下がってしまった」というご不満のメール。「お気持ちが下がっていることをあえて伝えてくださったのは、続けたいという想いをお持ちだからこそじゃないかな」という上司の助言にハッとさせられました。お気持ちに寄り添いながらアドバイスをお伝えするうちに、お客様から信頼をいただき、「電話じゃなくても、メールでも安心して肌の相談ができるのね。ありがとう」と伝えていただけるまでに。「本心に、一歩踏み込む」ことの大切さを学べた経験です。