乾燥肌のかゆみは、肌の水分や皮脂が不足し、バリア機能が低下しておこります。我慢できない強いかゆみはかくほどに悪化します。

本記事では、乾燥肌の原因とかゆみの関係を分かりやすく解説しつつ、すぐに実践できる改善方法や効果的なセルフケア、保湿クリームの選び方を紹介します。自宅でできるケアを知りたい方や、再発防止に役立つ改善方法を知りたい方はご覧ください。

乾燥肌の原因とかゆみとの関係

肌が乾燥するとかゆくなる背景に、肌のバリア機能の低下が存在します。

何らかの原因でバリア機能が崩れて肌が乾燥すると、皮膚にすき間ができ、そのすき間から刺激や細菌が入りやすくなります。この刺激を受け、体内の免疫に関係する細胞が反応し、かゆみがおこります。

ここでは、乾燥によるかゆみを防ぐために、乾燥肌が生じる原因について詳しく解説します。

体質・年齢

乾燥肌の要因には、体質や年齢といった個人の特性が深く関係しています。

アトピー体質の方は、皮膚のバリア機能が弱く、保湿力が低下しやすいため、乾燥とかゆみを感じやすい傾向にあります。バリア機能の低下を引きおこすフィラグリンというタンパク質の存在も最近注目されています。

糖尿病、肝硬変、慢性腎不全などの疾患を持つ方も皮膚が乾燥しやすく、かゆみを引きおこすケースがあります。

年齢による影響も大きいです。高齢者は、皮膚機能の低下により乾燥しやすくなります。一方の乳幼児は、バリア機能が未成熟なため外的刺激に弱く、乾燥しやすい状態にあります。

ターンオーバーの乱れ

睡眠不足、栄養不足、ストレスなどの影響で皮膚のターンオーバー（新陳代謝）が乱れると乾燥肌を引きおこします。

約28日周期で皮膚は、ターンオーバーを繰り返し、健康な角質層を維持してバリア機能を保っています。この周期が乱れると、角質層が未成熟または過剰に厚くなり、バリア機能を保てなくなります。

水分を十分に保持できなくなった肌は乾燥しやすくなり、外的刺激に敏感になります。外的刺激に敏感になれば、かゆみもおこりやすくなります。

ターンオーバーの乱れは、肌のすこやかさを損なうだけでなく、慢性的な乾燥やかゆみの悪循環を生む可能性があるため軽視できません。

季節・室内外の環境要因

乾燥肌の要因として、季節や室内外の環境要因も挙げられます。気温と湿度が冬季は低下し、空気が乾燥します。その結果、肌の水分が蒸発しやすくなります。

夏でも、冷房の使用により室内の湿度が下がると、肌の水分保持が難しくなり肌への影響が出ます。

また、紫外線は、角質層を傷つけ、皮膚のバリア機能を低下させます。季節を問わず、湿度管理、紫外線対策が重要になります。

生活習慣

乾燥肌とかゆみには生活習慣の乱れも関係しています。

たとえば、入浴時に熱い湯に長く浸かったり、ナイロンタオルで強くこすったりすると、肌を守る皮脂膜が失われ乾燥を招きます。

洗顔料やボディソープは十分に泡立てて使い、入浴後はすぐに保湿します。

偏った食事や栄養不足は、肌の再生や水分保持に必要な栄養素の不足にもつながります。肌のターンオーバーが乱れてバリア機能が低下し水分が逃げやすくなるので要注意です。

睡眠不足やストレスは、ホルモンの働きを乱し肌の再生を妨げます。十分な睡眠とストレスケアは肌のうるおいを保つための基本です。

乾燥肌について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

この記事を読んでいる人におすすめの記事

何を塗っても乾燥する顔に悩む方へ。原因とおすすめのスキンケア対策

乾燥肌の強いかゆみに今すぐ対処する方法

乾燥肌によるかゆみを感じたら悪循環を断ち切る必要があります。かゆみを悪化させずに和らげるケアを心がけましょう。

かかずに冷やす

乾燥肌による強いかゆみがあるときはかかずに冷やします。かいてしまうと角質層が傷ついてバリア機能が低下し、少しの刺激にも神経が反応して、かゆみが増すという悪循環に陥ってしまいます。

かゆみを感じたら冷静に対処しましょう。我慢できない場合は、氷や保冷剤を包んだタオルで患部を冷やすと皮膚の神経刺激が抑えられかゆみが和らぎます。

冷却は、一時的な対処法です。しかし、炎症を悪化させずにかゆみを緩和する有効な手段でもあります。かきすぎて肌を傷つけないようにかゆみを鎮めてください。

熱い湯や長湯を避ける

乾燥肌によるかゆみがあるときは入浴方法にも工夫が必要です。

熱すぎるお湯や長時間の入浴は、皮膚を守る皮脂膜を溶かして乾燥を悪化させるだけでなく、血行が促進されてかゆみが強まる場合もあります。38～40℃程度のぬるま湯で短時間のうちに入浴を済ませる工夫を心がけてください。

また、塩分、ミネラルなどの刺激物質が汗には含まれており、肌に残るとかゆみを引きおこす場合があります。汗をかいたら、できるだけ早くぬるま湯で洗い流すよう心がけましょう。

乾燥肌のかゆみを予防・改善するセルフケアと生活習慣

乾燥肌のかゆみを根本的に防ぐためには、日ごろのセルフケアと生活習慣の見直しが欠かせません。ここでは、室内環境の調整、食生活、紫外線対策、ストレスケアなど、日ごろから実践できるポイントについて解説します。

ただし、次に述べるような予防・改善策に取り組んでも肌のかゆみが治まらない、かゆみがますますひどくなるといった場合は、医療機関へ速やかに相談してください。

室内の湿度管理と衣類素材の工夫

乾燥から肌を守るためには、室内の湿度を最適に保ち、衣類の素材選びを意識する必要があります。

空調の効いた室内では湿度が低下しやすく、肌の水分の蒸発が進みます。加湿器、ぬれタオルなどを活用して室内の湿度を55～65％程度に保つと効果的です。適度な湿度は肌のうるおいを保ち、かゆみや肌アレの予防につながります。

肌に直接触れる衣類には、綿、絹などの天然素材を選ぶと安心です。天然素材は吸湿性が高く、摩擦が少ないため、肌への刺激を抑えられます。

インナーやパジャマなどは特に、肌に優しい素材を選ぶと肌環境を快適に保てます。

栄養バランス

肌のバリア機能を保つには、栄養バランスの整った食生活が欠かせません。肌のうるおいを内側から支えるためにはタンパク質、ビタミン類、ミネラル、必須脂肪酸などをバランス良く摂取してください。

タンパク質は肌細胞の材料となり、ターンオーバーを促進します。ビタミンA・Cは水分保持やコラーゲン生成を助けます。ビタミンA、B群、E、および亜鉛は、新陳代謝やバリア機能の維持に役立つ栄養素です。

野菜、果物、魚、大豆製品、乳製品などの食品からこれらの栄養素を摂取できます。毎日の食事で栄養のバランスを意識し、すこやかな肌をつくってください。

紫外線・摩擦から肌を守る

乾燥肌によるかゆみを予防・改善するためには紫外線と摩擦から肌を守る必要があります。

紫外線は、肌の角質層を傷つけ、バリア機能を低下させて乾燥を悪化させるため一年中の対策が求められます。日焼け止めの使用やUVカット機能のある衣類の着用を心がけます。

摩擦対策としては、タオルでこする習慣をやめ、入浴後や洗顔後には、乳液やクリームで肌に保護膜をつくり、摩擦や外的刺激から肌を守ります。シルクやコットンなど肌に優しい天然素材の衣類に切り替える必要もあります。

紫外線対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

この記事を読んでいる人におすすめの記事

正しい紫外線対策のポイント！いつから始めるのが正解？

ストレス・睡眠不足の改善

乾燥肌によるかゆみを改善するためにはストレスと睡眠不足への対策も不可欠です。

過度なストレスは、血行不良やホルモンバランスの乱れを引きおこし、肌の新陳代謝を妨げます。ストレス発散には軽い運動が効果的です。散歩や軽いランニングなどの有酸素運動を20分適度に続け、ネガティブな気分を解消してください。

質の良い睡眠も重要です。ホルモン分泌の乱れを睡眠不足は招きます。肌のターンオーバーを停滞させて乾燥を悪化させます。カフェイン摂取やスマホ使用を就寝前には控え、入浴や読書などで心身を落ち着かせる習慣づくりが大切です。

乾燥肌を内側から治す方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

この記事を読んでいる人におすすめの記事

乾燥肌を内側から治す方法はある？食べ物・飲み物・サプリ・漢方まで体の中からうるおうインナーケアまとめ

乾燥肌のかゆみに効果的なクリームとは

乾燥肌のかゆみに対処するには、保湿クリームの選び方・使い方も重要になってきます。次に紹介する成分を参考に、自分の肌状態に合ったクリームを選び、適切にぬってかゆみを軽減しましょう。

乾燥肌におすすめの保湿成分

乾燥肌によるかゆみを防ぐためには、保湿力の高い成分を含むクリームの使用が効果的です。

ヘパリン類似物質は、角質層に水分を補給し、肌のバリア機能をサポートするため、かゆみや肌アレの改善に役立ちます。べたつきが少なく使いやすい点も魅力です。

尿素は、水分保持と角質軟化の両方に働きます。かかと、ひじなど乾燥が強い部位に特に適しています。しかし、炎症があると刺激を感じる場合もあるので注意が必要です。

セラミドは、皮膚のバリアを構成する重要な成分です。加齢や乾燥により減少するため、セラミド配合のクリームを使用するとうるおいを保ちやすくなります。

ぬり方のポイント

クリームは、成人の人差し指の先から第1関節までの量（約0.5g）があれば手のひら2枚分の広さにのばせます。肌にのばす際にはすり込まず、優しく押さえるように手のひらで広げ、肌につやがでるくらいたっぷりと塗布してください。

入浴後5分以内にぬると保湿効果が高まります。朝晩の2回を基本に、乾きを感じたらその都度ぬり足してかゆみを予防します。継続的なケアがすこやかな肌を保ちます。

正しい保湿について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

この記事を読んでいる人におすすめの記事

正しい保湿ケアの方法って？ スキンケアの基礎をご紹介！

まとめ｜乾燥肌のかゆみの原因を理解して適切な改善方法を選ぶ

乾燥肌のかゆみは、皮膚バリア機能の低下によっておこります。我慢できないかゆみは応急処置的にまずは冷やしましょう。

乾燥肌の予防には、室内の湿度管理、紫外線対策、衣類選び、生活習慣の見直しなど多方面のケアが欠かせません。

保湿剤も適切に選び、正しいぬり方で肌を保護しながら、かゆみをおこしにくい肌を継続的に目指しましょう。

ただし、本記事で述べてきた予防・改善策に取り組んでも肌のかゆみが治まらない、かゆみがますますひどくなるといった場合は、医療機関へ速やかに相談してください。