監修:日本皮膚科学会 専門医・日本色素細胞学会
高藤円香(たかふじ まどか)
2013年防衛医科大学校を卒業後、臨床研修を修了。その後、大阪大学医学部附属病院や自衛隊阪神病院で研修ののち、皮膚科専門医を取得。現在は、皮膚科医として地域の方々の一般診療をメインに、アトピー性皮膚炎や乾癬などの診療にあたっており、執筆・監修などにも力を入れている。
お手入れの時に自分の気になるポイントをケアしてくれる「美容液」。しかし日頃のお手入れの中で、どこで使ったらいいのか悩む方も多いでしょう。また、自分にはどの美容液が合うのかも迷いがち。今回は、美容液の特徴と効果的な使い方をご紹介します。
美容液は、日頃の基本的なケアに加えて自分の肌悩みに合わせて取り入れるスキンケアアイテムです。気になる部分に使うことで効果を発揮し、肌にとって頼もしい存在とも言えます。
※イラストは、美容液の種類による順番を解説したものであり、すべての美容液を使用する必要はありません
美容液は、一般的には化粧水の後に使うことが多いですが、その成分や特徴によって順番の違うものがあります。美容液それぞれの特徴を理解して正しい順番で使いましょう。
美容液は、ケアしたいポイントによってさまざまな種類があります。ブースター美容液のみ使用する順番が異なるため、気を付けましょう。
保湿美容液は、肌の乾燥が気になるときに取り入れたい美容液です。
肌は乾燥するとバリア機能が乱れて外部からの刺激を受けやすくなり、肌荒れやしわ、シミ、くすみなどさまざまな肌トラブルにつながっていきます。
日頃のスキンケアだけでは物足りないと感じる時に取り入れましょう。
メラニンの生成を抑えてくれるビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの美白有効成分が含まれている美容液は、シミの発生を抑制する効果があります。
シミやくすみをしっかり対策したい方は、普段から日焼け止めを塗るといった紫外線対策と併用して、美白美容液を使うとよいでしょう。
肌のハリ不足やシワ、シミに毛穴の開きなど年齢に合わせたスキンケアにおすすめなのが、エイジングケア美容液です。それぞれの肌悩みに応じた成分が配合されているものを選んで、日頃のお手入れに取り入れましょう。
他の美容液とは使い方が異なるのが、ブースター美容液です。
「美容導入液」とも呼ばれ、肌を柔らかな状態に整えてくれます。化粧水を使用する前に取り入れるアイテムです。
医師 高藤円香からのコメント
肌への刺激を最小限に抑えるためにも、美容液は低刺激・低濃度のものから選びましょう。特に、「レチノール」や「ビタミンC誘導体」などの成分は、肌が慣れるまで時間がかかり、初期段階では赤みや乾燥などの反応が出ることがあるため注意が必要です。まずは、週に1〜2回の使用から始め、少しずつ使用頻度や濃度を高めていくのがよいとされています。
また、敏感肌や乾燥肌の方は、無香料・アルコールフリーなどの刺激の少ない成分が使われている美容液を選ぶことで、肌トラブルを防げるでしょう。肌が美容液に慣れてきたら、目的に応じて濃度の高い美容液に切り替えてみてください。肌の状態を確認しつつ、段階的に使用すれば、美容液の効果を最大限に引き出せます。
せっかく取り入れる美容液、効果的に使いたいですよね。
どのように使うのが良いのか、避けた方が良い使い方などをまとめてみました。
美容液をより効果的に使う方法は以下の通りで、とにかく丁寧に付けることが大切です。
美容液を手のひらにのせたら両方の手のひらに広げ、顔全体を包み込むように手で温めながら軽くおさえて浸透させましょう。こすったり摩擦を起こさないよう、優しくハンドプレスするように付けるのがポイントです。
気になる部分には、重ね付けして成分を補ってください。その際、最初に付けたところが馴染んだことを確認してからゆっくり時間をかけて重ね付けしましょう。
せっかく使う美容液ですが、正しくない使い方をすると効果を発揮しません。そこで、避けたい美容液の使い方をまとめました。
多くの種類がありますが、たくさん使えばいいという物ではありません。美容液はそれぞれ効果が異なり、同時に使用すると効果の評価もむずかしくなりますし、肌トラブルの際に原因が特定できにくくなってしまいます。使うのは1種類にして一番気になる箇所をケアするようにしましょう。
もし2種類以上を使用する場合は、まず水溶性のものを先に使い、その後で油性のものを使うのが正解です。
肌質は人によって違います。同じ肌悩みを持つ人からすすめられたとしても肌質が違うときには効果が発揮できないばかりか、かえって肌トラブルを招いてしまう恐れがあります。美容液を選ぶときには、自分の肌質や肌悩みに合ったものかどうか確認しましょう。
使用期限が過ぎている美容液を使うのは避けましょう。使用期限が過ぎている物は、かえって肌トラブルを招くことがあります。美容液はお値段の高いものも多く、もったいないから最後まで使いたいと思う気持ちはわかりますが、肌を守るためには使用を控えましょう。
医師 高藤円香からのコメント
美容液の効果を最大限に引き出すためには、美容液ごとの使用量や頻度、使用順序を守ることが大切です。たとえば、肌が慣れていない状態で、段階的に使うべき成分を初日から毎日使用すると、赤みや乾燥といった肌トラブルを引き起こすリスクがあります。
また、水溶性美容液の後に油性美容液を使用すべきところを、逆の順序で使用するなど、推奨されていない順番で使用すると、美容液本来の効果が得られません。肌質や悩みに合った製品を選び、使用量・頻度・順序を守ることが、美容液を安全かつ効果的に使うポイントです。
美容液を使うにあたって、よくある質問をご紹介します。
美容液は、化粧品ですから毎日使っても問題はありません。ただ、使い始めは肌に合っているかどうかを確認しながら使って下さい。
美容液は朝と夜で使い分けることでより効果を発揮します。
朝に使うのにおすすめなのは、メラニンの生成を抑制する「美白効果の高い」美容液です。
一方、夜使いたい美容液は、「保湿力の高い」美容液が効果的です。レチノールなどは紫外線との相性が悪いため、夜にご使用ください。
なお、美容液によっては、美白にも保湿にも効果が高いものもあります。どちらの効果もある美容液なら、朝夜兼用で使うことができます。
美容液の特徴や効果的な使い方をご紹介しました。ご自身の肌悩みに沿った美容液でケアをして、健やかな肌へと整えていきましょう。
監修:日本皮膚科学会 専門医・日本色素細胞学会
高藤円香(たかふじ まどか)
2013年防衛医科大学校を卒業後、臨床研修を修了。その後、大阪大学医学部附属病院や自衛隊阪神病院で研修ののち、皮膚科専門医を取得。現在は、皮膚科医として地域の方々の一般診療をメインに、アトピー性皮膚炎や乾癬などの診療にあたっており、執筆・監修などにも力を入れている。
※この記事は、正しい情報発信を行うために、医師に監修を依頼しております。商品について医師が推薦を行うものではありません。
医師 高藤円香からのコメント
美容液の効果的な使い方は、「水分の多いものから油分の多いものへ」が基本になります。この順番は、皮膚科学的にも理にかなっており、スキンケア効果を最大限に引き出すためには、成分の性質と肌の構造を理解し、適切な順番で使うことが大切です。
まず、水溶性の美容液を使って、角質層に水分と有効成分を届けます。その後、油性の美容液やクリームで蓋をすることで、成分の蒸発を防ぎ、保湿効果を高められます。
油分は皮脂膜のように肌表面にバリアを形成するため、水分の蒸散を抑える働きがあります。逆に、油分の多い化粧品を使用すると、水溶性成分の浸透が妨げられる可能性があるため、使用する順番には注意が必要です。