監修:再春館製薬所
伊藤安矢
大学院修了後、再春館製薬所に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、企画、研究に従事。研究開発員として一貫して年齢を重ねていく肌と向き合い続ける。最新の皮膚研究、肌老化研究を重ねながら、日々寄せられるお客様の声を商品に反映してきた。
唇は粘膜である口の中と肌をつなぐ、とてもデリケートなパーツです。
同じ顔でありながら、唇と肌の構造は根本的に異なります。
唇は構造的に外部からの刺激にとても弱く、バリア機能も未熟なため、気をつけていないと唇のトラブルがおこりがちです。
では、そんなデリケートな唇が荒れる原因を5つお伝えします。
乾燥は、唇が荒れる原因の代表格です。
唇はもともと保湿する力が弱いうえに、水分も蒸発しやすいため、乾燥するとひび割れや皮むけなどの症状が現れます。
特に冬は、外気やエアコンから出る空気が唇の水分を奪うため、注意が必要です。
マスクを着けていると唇が乾燥する原因となります。マスクを着けているときは、唇がしっとりしていて、乾燥していないように感じているかもしれません。しかし、それは唇がうるおっているからではなく、マスクの内側が蒸れているだけなのです。
そのため、マスクを外したときに、マスクの内側の水分が蒸発し唇が乾燥してしまうのです。最近は日常的にマスクを着けて生活することが多くなりました。マスクの取り外しの機会が増え、さらに唇が乾燥しやすくなっています。
さらに、マスクを着けたまま会話すると、マスクと唇がこすれて摩擦が生じて唇が荒れやすくなるのです。マスクを着けた日に唇が乾燥しやすいと感じる方は、リップクリームを塗って予防しておく必要があります。
日常生活における唇への刺激も、唇が荒れる原因となります。
日常生活における刺激は、スパイスがきいた食べ物や歯磨き粉の研磨剤、口紅、クレンジングの摩擦などのことです。
唇は角層が薄くバリア機能が低いため、上記のような日常生活における刺激を受けると、簡単に荒れてしまいます。
唇がヒリヒリとする状態は、肌がSOSを出しているサインなので注意が必要です。
また、唇にはメラニンを作って肌を護る細胞「メラノサイト」が極端に少ないため、紫外線のダメージがそのまま真皮に届いてしまい、深いダメージを負いやすい特徴もあります。
メイクも唇が乾燥する原因となります。特に、口紅やグロスを頻繁に塗る方は、注意が必要です。口紅やグロスを塗るときに、下地としてリップクリームや美容液など、保湿成分があるものを塗っていないと、唇が乾燥しやすくなります。
とくに、リップティントのような落ちにくい口紅を使う際には注意が必要です。アレルギー反応をおこしやすい「染料」という素材が使われている場合があり、唇が乾燥しやすくなります。リップティントをつけて唇の皮がむけたり、かゆみが出たりする場合は使用を控えましょう。
また、メイク落としの際に、口紅やグロスが落としきれていないと唇が荒れてしまいます。こすりすぎて唇に刺激を与えないように注意してていねいに落としましょう。
年齢を重ねた唇は、唇の奥にある真皮の機能が低下することで、さまざまな悩みを引きおこします。
たとえば血行不良によるくすみをはじめ、コラーゲンの減少によって、ハリやボリュームが失われることなどです。
唇のトラブルが進行すると、唇の縦ジワが気になるようになり、輪郭もぼやけていきます。
見た目の年齢にも大きく影響するため、悩みを抱える女性は少なくありません。
唇が乾燥する原因は、日々の習慣も影響しています。ここでは、注意すべき唇が乾燥する危ない習慣を3つご紹介します。
唇を舐めるのは、唇が乾燥してしまうので危険です。唇を舐めると一時的に濡れてうるおいがあるように感じます。しかし、唇を舐めて濡らすと、水分が蒸発して角質がふやけて乾燥しやすくなるのです。乾燥するたびに舐めると、さらに乾燥しやすくなり唇が荒れてしまいます。日頃から唇を舐める癖がある方は、なるべく舐めないように意識しましょう。
唇を噛むと唇が乾燥しやすくなります。唇は角質層が薄く、刺激にとても弱いです。唇を噛む行為は、唇に強い刺激を与えてしまい、唇が荒れるのです。何度も噛むたびに唇の荒れが酷くなり、乾燥しやすくなります。唇を噛む癖がある方は、意識して唇を噛むのを我慢しましょう。
唇を触るのも乾燥する原因です。唇が乾燥したり荒れたりすると、気になって唇を触りたくなるかもしれません。しかし、唇を触ると強い刺激になり、さらに唇の乾燥を招きます。唇が乾燥すると皮がはがれることがありますが、絶対に触らないようにしましょう。出血や炎症の原因にもなり、慢性的に唇が荒れてしまうので注意してください。
ここでは、唇が乾燥したときに現れる症状を4つご紹介します。
唇が乾燥すると口角炎を引きおこします。口角炎とは、口の両端が乾燥によって炎症がおきることです。炎症がおきると、赤く腫れる、皮がむけるなどの症状が引きおこされます。
口角炎になると口を大きく開けたときに、口角が切れてしまうことがあります。症状がさらに悪化して、痛みも増すので注意しましょう。
唇の乾燥は口唇炎を引きおこす原因となります。口唇炎とは、唇全体が赤く腫れ、皮がむける症状のことです。唇の乾燥が頻繁におこると、慢性化している状態だと口唇炎になりやすく、唇に亀裂が入ることもあります。唇を動かすときに出血したり、皮がはがれたりします。唇を動かさなくても痛む場合があるので、気をつけましょう。
唇が乾燥して荒れが酷くなると、出血する場合があります。食事中や会話中に唇に刺激があると、薄くなった角質が裂けて傷ができ出血するのです。一度傷ができると再生するまで、痛みが続いたり再度出血したりするので、注意が必要です。
唇が乾燥するとひび割れが生じます。乾燥しやすい冬や寝起きなど、唇がカサカサになってひび割れていることがありませんか。唇がひび割れると痛みがあり出血することもあります。唇が乾燥しているときに、舐めたり触ったりすると、ひび割れの原因となります。気になっても直接触らず、リップクリームを塗って対処しましょう。
では、荒れてしまった唇を改善するには、どうすれば良いのでしょうか?
唇ケアで最も大切なのは、刺激を避けることと、こまめな保湿を心がけることです。
それぞれ詳しくお伝えします。
荒れた唇を改善するためには、唇への刺激をできるだけ減らすことがポイントです。
刺激の強い食べ物や摩擦による唇へのダメージをできるだけ減らしましょう。
唇荒れの原因となる紫外線の対策も兼ねて、UVカット効果のあるリップクリームや口紅を使用することもオススメです。
また唇を手で触ったり、舌で舐めたりすることも唇荒れの原因となるので気を付けましょう。
唇を舌で舐めると、一時的にうるおいます。しかし、元から唇にあった水分も唾液とともに蒸発してしまい、唇が乾燥する原因となるのです。
保湿して、唇のバリア機能を高めることも唇の乾燥を防ぐには大切です。とくに、起床時は唇が乾燥していることが多く、唇が荒れたりかさついたりしやすい状態になっています。就寝前と起床後にはリップクリームやリップバームを塗って、必ず保湿するようにしましょう。
口紅やグロスなどのメイクを落とす際は、肌のお手入れと同様に、強くこすらずにやさしくクレンジングしましょう。
さらに唇専用の美容液を使用したマッサージも取り入れてみるのも効果的です。
唇の乾燥がひどい場合は、薬用のリップクリームを使うと良いでしょう。唇の乾燥対策に有効な成分としては、「グリチルリチン酸」「セラミド」「ニコチン酸アミド」「ビタミンE誘導体」「ホホバオイル」などがあります。薬用のリップクリームは、目的や症状に応じて選ぶことがポイントです。
たとえば、唇がかなり乾燥している場合は、抗炎症効果があるリップクリーム。敏感肌で刺激に弱い方は、アレルギーパッチ済みで低刺激のリップクリームを選ぶようにしましょう。
荒れた唇には、リップクリームや唇専用の美容液などのリップケア用品を用いて、乾燥や刺激を減らすことが重要です。
しかしリップケア用品の使い方を間違えるとさらに唇が乾燥してしまいます。リップケアをする際には、下記の3点に注意してください。
リップクリームを頻繁に塗ると、摩擦による刺激を与えてしまいます。
摩擦による刺激は、唇が本来持っているバリア機能を低下させるため唇が荒れる原因となります。
一般的にリップクリームは、1日5回程度で良いとされているので塗り過ぎには注意が必要です。
リップクリームを横に塗ることはNGです。
リップクリームを唇のシワに逆らって塗ってしまうと、摩擦による刺激が生まれるので、唇が荒れる原因となります。
そのためリップクリームは、唇のシワに沿って縦に塗りましょう。
唇のシワの奥にまで成分が入り込むので、保湿効果がアップしますよ。
リップクリームの使用期限は、一般的には3年程度と言われています。
ただし、「未開封の場合」です。
一度リップクリームを使用すると、唇に潜んでいる細菌がリップクリームに移ります。
長期間使っていないリップクリームを口に塗ると、リップクリームに付着した雑菌が口の中に入る可能性があります。
使い始めて半年以上経ったリップクリームは使用を控え、雑菌が口の中に入るのを防ぎましょう。
日常生活では以下の7つに注意して、唇荒れを防ぎましょう。
こまめに水分補給することは、みずみずしい唇を保つためには大切です。
唇が乾燥しがちで荒れやすい方は、体に必要な水分が不足している可能性があります。
特に冬は、喉が渇きにくく水分補給を忘れがちなので、唇だけでなく体の内部までもカラカラな状態になっていることもあるのです。
こまめな水分補給をして唇にうるおいを与えましょう。
唇の汚れは、ウェットティッシュで落とすのが良いです。
特に唇に食べかすが残っていると、唇の乾燥や荒れの原因となるので、ウェットティッシュで口元の汚れをサッと拭いてあげましょう。
唇が乾燥しやすい方は、ビタミンAやビタミンBが不足しているかもしれません。
肌の新陳代謝を上げ、肌のターンオーバーを促します。緑黄色野菜や卵、うなぎ、レバーがおすすめです。
粘膜にうるおいを与え、健康に保つ効果が期待できます。大豆や玄米がおすすめです。
サプリで補うのも効果があります。また、栄養素を摂ることを意識するだけでなく、肌荒れを引きおこす原因である偏食や暴飲暴食を避けましょう。
睡眠の質が悪いと肌全体のターンオーバーに影響します。
睡眠の質を上げるには、適度な運動やストレス解消を習慣にしましょう。生活リズムを整えることで、自律神経の乱れも整います。唇の健康は全身の健康と関わっているので、改めて生活習慣を見直しましょう。
唇が乾燥してしまう原因の一つに、空気の乾燥があります。
空気が乾燥していると、唇の水分が蒸発するのです。特に、エアコンを使用する季節は、いつもより部屋の空気が乾燥しています。エアコンの風が直接唇に当たることもあり、唇が荒れやすくなるのです。
秋や冬の乾燥しやすい季節やエアコンを使用しているときは、加湿器も使って唇にやさしい環境を整えておきましょう。
口紅やグロスが唇に残ったままの状態は、唇の乾燥やトラブルを引きおこす原因となります。とくに、リップティントのような落としにくい口紅は、ポイントメイクリムーバーを使ってていねいに落とすことが大切です。
ただし、強くこすったり無理やり落としたりすると唇を傷つけてしまい、唇の乾燥が悪化する可能性があります。唇に刺激を与えないように、コットンを使ってやさしくメイクを落としましょう。
唇が乾燥するのは、エアコンや空気の乾燥だけが原因ではありません。口呼吸が癖になっている場合も、唇の乾燥を引きおこす場合があります。口呼吸をすることで、唇に流れている空気が常にあたり続け、乾燥しやすくなるのです。
唇の乾燥が気になる方は、口呼吸から鼻呼吸に変えるだけで症状の緩和が期待できます。日頃から口を開ける癖がある方や、舌が下顎に落ちている方は口呼吸になっている可能性があるため、鼻呼吸を意識しましょう。
唇が乾燥してしまう原因はさまざまです。日頃の生活習慣や唇を触る癖など、無意識に唇が乾燥してしまう状態を引きおこしている可能性があります。
唇の乾燥ケアには生活習慣の見直しと、乾燥しにくい環境づくりが重要です。健康的な体を保つことで、肌のターンオーバーも整い、唇が再生しやすくなります。
デリケートな唇ですが、唇のターンオーバーの周期は3〜5日と早いのが特徴です。もし唇が乾燥してしまっても正しいケアをしていれば、早い回復が期待できます。
唇が乾燥しやすい方は、なるべく唇に刺激を与えないように意識して、唇のうるおいを保ち乾燥を防ぎましょう。
■ドモホルンリンクルのスキンケアアイテム
監修:再春館製薬所
伊藤安矢
大学院修了後、再春館製薬所に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、企画、研究に従事。研究開発員として一貫して年齢を重ねていく肌と向き合い続ける。最新の皮膚研究、肌老化研究を重ねながら、日々寄せられるお客様の声を商品に反映してきた。