ハイドロキノンはおもにシミやニキビ跡に効果が期待できる成分として注目されていますが、ハイドロキノンの働きや効果、注意点などはご存知でしょうか。正しく使用すれば美容成分として効果的とされていますが、間違った使い方をしてしまうと、赤みや痛みなどがおこる場合もあります。ここでは、ハイドロキノンの働きや効果、使用する上での注意点などについて紹介します。
ハイドロキノンとは
ハイドロキノンとは、シミの元となるメラノサイトというメラニン色素を生成する細胞そのものを減少させる成分です。「肌の漂白剤」と言われることもあります。食材にも含まれていて、いちごやコーヒー、紅茶、麦芽などに含まれています。
米国では1940年代から美白剤として使用されている成分です。日本では2002年に認可され、皮膚科や美容クリニックなどの医療機関での美容治療に利用されているだけでなく、薬局やインターネットなどでも購入できる市販の化粧品にも配合されるようになりました。
ハイドロキノンの働き
紫外線や摩擦などの外部刺激から肌を守る役割があるメラニン色素。しかし、ターンオーバーが乱れたり、紫外線を浴びすぎたりすると、メラニン色素が排出されずシミへとつながってしまいます。またニキビ跡に見られる色素沈着も、メラニン色素が関係しています。
そんなメラニン色素の生成を減少してくれるのが、ハイドロキノンです。さらに、ハイドロキノンにはメラニン色素の生成に大きく関わるチロシナーゼという酵素の働きを抑制する特性もあります。
ハイドロキノンの効果
美容成分として注目されているハイドロキノンですが、具体的には次のような症状に期待できると言われています。どのような症状なのか解説します。
加齢によるシミ(老人性色素斑)
中高年以降に現れるシミ(老人性色素斑)は、顔や首、腕などの日光に良く当たる部位に出現し、色は薄茶色や茶色で、形状は円形や楕円形に近い形が特徴的です。
肝斑
中年以降に現れるシミのひとつが、肝斑(かんぱん)です。肝斑は、頬のあたりに左右対称に出現し、比較的広範囲にぼんやりとはっきりしない形で現れるもので、ホルモンバランスの乱れが原因であると考えられています。
ニキビ跡
ニキビの炎症が長引くことでできるニキビ跡。シミのようなニキビ跡は、炎症から肌を守ろうと生成されたメラニン色素による色素沈着によるものです。
ハイドロキノンの使い方
1日1回、夜の洗顔・保湿ケアの後に使用することが基本とされています。ハイドロキノンは紫外線に当たるとシミを濃くしてしまうため、朝の洗顔後の使用は避けた方が良いでしょう。厚く塗ると刺激が強く出る場合があるため、気になる部分へ薄く塗ることが望ましいです。
ハイドロキノンの濃度
ハイドロキノンの濃度は、1〜3%のものと4〜5%のものがあります。肌の弱い方や濃度の濃さによっては、肌に刺激を感じやすいため注意しましょう。
濃度1〜3%
濃度1〜3%は刺激が少なく、安全性の高い配合濃度と一般的に言われていますが、効果や即効性が低いともされています。効果を実感するためには、半年以上使用する必要がある場合もありますが、肌への刺激を考えると長期使用はおすすめできません。なお、肌が弱い方は1〜3%の濃度でも肌に刺激を感じる場合があります。
濃度4〜5%
濃度4〜5%は1〜3%の濃度に比べて濃度が高いため、肌への刺激が強いと感じる場合があり、かぶれをおこすこともあります。ハイドロキノンの濃度は、米国では化粧品に配合できる濃度は2%までと決められていますが、日本では化粧品に配合できる濃度はまだ規制されておらず、高濃度の化粧品も購入可能です。肌への刺激が強いため、皮膚科や美容クリニックなど、医師のもとで処方してもらうことをおすすめします。
ハイドロキノンに副作用はある?使用する上での注意点
ハイドロキノンは美容効果が期待できる成分ですが、使用する上で注意すべき点がいくつかあります。場合によっては肌トラブルを起こす可能性もありますので、以下のことに注意し正しく使用しましょう。
紫外線対策を徹底する
ハイドロキノンを塗った部分は紫外線に反応しやすく、シミが濃くなりやすいため、ハイドロキノン使用中の日中は、日焼け止めをいつもよりこまめに塗ることを徹底してください。SPF20以上の日焼け止めがおすすめです。日焼け止め以外も、帽子や日傘なども使用したり、日差しが強い時間帯は外出を避けたりしてください。
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3ヵ月〜半年を超えての長期的な使用は避ける
ハイドロキノンの効果が感じられるには、数週間〜3ヵ月、場合によっては半年程度使用する必要があるとされています。ただし、3ヵ月〜半年を超えての長期間の使用を続けると、肌の色が部分的に白くなる白斑(はくはん)が生じるリスクが高まるので注意が必要です。これはハイドロキノンはメラノサイトに対して細胞毒性があり、メラノサイトの機能を低下させる働きがあるためです。なお、4%くらいの濃度のものを3ヵ月使用する程度であれば白斑のリスクは低いとされています。他にも肌が黒くなる「組織黒変症(Ochronosis)」になったり、非常にまれですが長期間の広範囲使用で皮膚が灰青色に変色したり、耐性ができて効果が出にくくなったりします。3ヵ月〜半年を超えての長期間の使用や、変化が見られない場合は使用を中止することをおすすめします。
冷蔵庫で保管をする
ハイドロキノンは空気による酸化や光分解をしやすいので、使用していないときは薬剤の変性を避けるため、冷蔵庫での保管が大切です。直射日光や強い光の下で保存すると劣化しやすいので、涼しい場所である冷蔵庫での保管が望ましいですが、2〜3ヵ月程度で使い切るようにしましょう。ハイドロキノンは変色すると、褐色や黒っぽくなります。そのため、変色している場合は使用を中止してください。
併用できない成分もある
ハイドロキノンは併用できない成分がありますので、注意が必要です。ハイドロキノンはレチノールとの併用ができないとされています。併用の仕方によっては炎症を引きおこす場合があるためです。そのため、自己判断での同時使用することは避けてください。
ハイドロキノンが合わない人もいる
ハイドロキノンは刺激が強いため、肌が赤くなったり、痛みが出たりと副作用が出る場合があります。また、濃度が4%以上のものを使用すると、かぶれの頻度が高くなる場合もあるとされています。そのため、使用前に腕の内側の少し皮膚の薄い目立たない部分に塗り、刺激がないか確認してから使用しましょう。かぶれてしまったり、赤みや痛みが出たりした場合は使用を中止し、皮膚科へ受診するようにしてください。また、妊娠中の方は肌が敏感でかぶれのリスクが高くなるため、ハイドロキノンの使用を避けることをおすすめします。
肌の刺激が強いハイドロキノンは慎重に取り入れて
ハイドロキノンは美容成分としてシミやニキビ跡に効果が期待できると注目されていますが、肌への刺激が強く、かぶれや赤み、痛みなどが出る場合もあります。使用する場合は紫外線対策をしたり、刺激がないか確認したりするなど正しい方法で慎重に取り入れましょう。
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