監修:再春館製薬所
古川美礼
大学院薬学部を修了後、再春館製薬所に入社。薬剤師。医学・薬学の知識を活かし、お客様対応を行う社員に医学・薬学、そして漢方研修を実施し人材育成を担っている。また、日々お客様の症例相談、服薬指導も行う。再春館製薬所監修『おうち漢方(新星出版)』の監修を担当し、「漢方は敷居が高そう」と思いがちな若い女性特有の冷え・月経痛・便秘・肥満などの不調や悩みに効く漢方として、漢方の考え方をもとにしたアドバイスを提案。
漢方では、自然の気候を、風・湿・暑・燥・寒・火の6つに分け、六気(ろっき)と呼んでいます。
秋は空気が乾燥する、燥の気候です。
六気は自然現象なので、体に害はありません。
しかし、六気が強くなると、その変化が体に影響を及ぼし、不調の原因となります。
それが風邪(ふうじゃ)・湿邪(しつじゃ)・暑邪(しょじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・火邪(かじゃ)です。
漢方ではこれらを六邪(ろくじゃ)と呼び、体の外側からくる不調の原因としています。
秋に起こるさまざまな不調。
これらは体を乾燥させて「水(すい)」を奪い、免疫力を低下させる秋特有の「燥邪」が影響していると考えられます。
燥邪によって体の潤いが不足すると、健康を維持する基本「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスが崩れ、体は風邪や感染症に、肌はカサつきやかゆみなどの不調を引き起こすことになってしまいます。
燥邪による不調を乗り切るには、乾燥対策で体の免疫力を高めて冬に備えることが大切です。
それでは漢方の視点から、不調を引き起こす「燥邪」の特徴や、季節の変わり目を健康に乗り切るための「養生」についてご紹介します。
燥邪がもたらす乾燥の感じ方には個人差があり、「喉から感じるタイプ」と「肌から感じるタイプ」の2種類の人がいます。
それぞれの特徴を理解し、自分にとって最適な養生を実践しましょう。
イガイガ、ガラガラといった喉のトラブルは、粘膜の乾燥が進んで免疫力が低下し始めているサイン。
放っておくと痛みや腫れ、細菌感染につながる可能性もあります。
喉の不調を感じたときは、粘膜を強化するビタミンAを摂取しましょう。
ビタミンAは油脂と一緒に摂取すると吸収力が高まるため、食材を油で炒めたり、油分を含むドレッシングで食べたりするのが効果的です。
ビタミンAが豊富な食材 | |
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ニンジン | 皮膚や粘膜をうるおす働きや、肌をきれいにする働きがある。 |
ほうれん草 | 渇きを解消し、腸をうるおす。 |
レバー | 栄養価が高く、粘膜を回復する作用と新陳代謝を促す作用がある。 |
チンゲン菜 | ビタミンやミネラルも豊富。抗酸化や老化防止に役立つ成分も含んでいる。 |
漢方において、「風門」とは風邪の門という意味です。
風邪はこの風門からやってくると考え、この部分を温めたりすることで風邪を防ぐことができます。
そのため、40度~50度のお湯を入れたペットボトルで、首の後ろにあるツボ風門をじっくり温めると肩などの血流がよくなります。
冷えを感じやすい手足やおなかも一緒に温めれば、より効果的ですよ。
手軽にできる「ツボ押し足湯」も乾燥対策と免疫力アップにつながります。
「湧泉」は押すと生命力が泉のように湧くという意味があります。
洗面器などにお湯を入れてくるぶしまで足を浸けたら、ゴルフボールを使って足裏中央の凹んでいる部分の湧泉をマッサージしましょう。
15~20分を目安に行いましょう。
肌のガサガサやハリの低下、目元や口元の乾燥小ジワなど、これらは体の水分の不足から肌の代謝が低下している証拠です!
肌の不調を改善するには、体の内側と外側からうるおい対策を実践し、代謝を高めるのが大切です。
肌にうるおいを取り戻すには、タンパク質やビタミンB6を含む食材を摂取するのがオススメです。
肉類や魚介類は、タンパク質とともに、タンパク質の生まれ変わりを助けるビタミンB6も含まれているのでオススメです。
煮る、焼く、炒めるなど、さまざまな調理方法が選べる食材なので、毎日の食事に積極的に取り入れましょう。
タンパク質、ビタミンB6が豊富な食材 | |
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鶏肉 | ビタミンAやコラーゲンも多く含んだ食材。老化予防にも◎。 |
大豆 | 体内の乾燥をうるおす作用と、余分な水分を排出する作用がある。 |
牛乳 | 乾燥の諸症状に適した食材。特に肌にうるおいを与える。 |
にんにく | ビタミンB6を多く含んだ食材。タンパク質の働きを助ける。 |
スキンケアや保湿クリームを塗るついでに、体内の水分の循環を促進するマッサージを追加すると◎。
保湿効果が一段と高まります。
脚のマッサージ
脚の外側は、クリームを塗布しながら太ももの付け根から足先に向けて、手のひらでさするようにマッサージしましょう。
内側は、足先から太ももの付け根に向けてさするのがポイントです。
手のマッサージ
手の内側は、脇の下から指先に向けて手のひらでクリームを塗布しながらさすりましょう。
外側は指先から肩に向けてさするように塗るのがコツです。
デコルテのマッサージ
老廃物を排出するリンパマッサージも重要です。
鎖骨の上のくぼみや、耳の下を指でやさしくプッシュします。
リンパの流れを良くすることで、顔のむくみがスッキリと取れますよ。
おなかのマッサージ
「の」の字を描くようにおなかをゆっくりさすります。腸を適度に刺激するので、お通じがスムーズになり、肌も輝きを取り戻します。
血行を促す全身浴を活用しましょう。
湯船に浸かって体をゆっくり温めると、肌の新陳代謝が促進され、うるおいのあるやわらかな肌に。
より効果を高めたいなら、心と体のめぐりを助ける入浴剤やうるおい成分の入った入浴剤を使うのもオススメです。
漢方には「その土地で育った旬の食材を食べるのが良い」という考え方があります。
これを「身土不二(しんどふじ)」といいます。
「身土不二」は食養生の1つです。
旬の食材にはその季節に応じて体が必要とする栄養を豊富に含んでいるため、旬のものを摂ることは体に良いという考えです。
秋に旬を迎える蓮根、大根、山芋やじゃがいも、豆腐などの「白い」食材は、体の中の「水」を補い潤してくれるといわれています。
大気が乾燥し、「水」が乱れやすいこの時季にぴったりですね。
また、秋に収穫するお米も旬の食材です。
新米はエネルギーの源といわれており、「気」を補うといわれています。
山芋を使ったとろろごはんは「水」と「気」を補うことができる秋にぴったりの簡単料理です。
さらに旬の果物である、「梨」や「柿」、「りんご」や「ぶどう」、「いちじく」なども「燥邪」には良いと言われています。
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また空気が乾燥しがちな季節である秋は、肌の乾燥にも注意が必要です。
肌の乾燥を放置しておくと、乾燥による小ジワやくすみなど様々な肌トラブルの原因となりますので、スキンケアで肌に潤いを与えましょう。
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監修:再春館製薬所
古川美礼
大学院薬学部を修了後、再春館製薬所に入社。薬剤師。医学・薬学の知識を活かし、お客様対応を行う社員に医学・薬学、そして漢方研修を実施し人材育成を担っている。また、日々お客様の症例相談、服薬指導も行う。再春館製薬所監修『おうち漢方(新星出版)』の監修を担当し、「漢方は敷居が高そう」と思いがちな若い女性特有の冷え・月経痛・便秘・肥満などの不調や悩みに効く漢方として、漢方の考え方をもとにしたアドバイスを提案。
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