監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
「最近、肌のハリやツヤがなくなってきた…」と感じていませんか。それはもしかしたら、「糖化」が原因かもしれません。糖化は、体内の余分な糖とタンパク質が結びつき、老化物質「AGEs」を生成する反応です。AGEsは肌の弾力を奪い、シワやたるみ、黄ぐすみの原因となります。
この記事では、糖化の原因やその影響、糖化を防ぐための具体的な方法を解説します。いつまでも若々しい肌を保つために、ぜひ参考にしてください。
糖とタンパク質が結合する反応のことです。食事で糖質を多く摂取すると血液中の糖濃度が高くなり、余分な糖が体内のタンパク質と結合して変性することで、老化の原因となるAGEs(終末糖化産物)を生成します。このようにAGEsが生成されることを、メイラード反応(糖化反応)とも呼びます。
体内でAGEsが大量に生成されることで、肌のハリや弾力を保つコラーゲンが減少しておこるのが、肌の老化です。また、メイラード反応で生成された老廃物は皮膚の細胞に沈着しやすく、シミやくすみの原因となります。
血液中のエネルギーとして使われなかった余分な糖分は、体内のタンパク質と結合することで体に炎症を引きおこします。この現象は「肌(体)のこげ」とも呼ばれており、くすみやたるみ、シワ、シミなどの発生原因の一つです。
以下の項目に多く当てはまるほど、糖化のリスクが高まるので、食生活を見直す必要があるでしょう。
糖化は、体内の余分な糖とタンパク質が結びつき、AGEsを生成する反応です。酸化は、体が酸素と反応して錆びるようにダメージを受ける現象で、活性酸素がおもな原因です。どちらも老化を促進しますが、糖化はおもに肌の黄ばみやたるみ、酸化はシミやくすみを引きおこしやすくなります。
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糖化の原因は、余分な糖分です。
糖分は人間の生命維持に必要不可欠なエネルギー源であり、摂取した糖分はエネルギーとして消費され、余った場合はグリコーゲンとして蓄えられるものです。しかし、限界を超えると余分な糖分は脂肪として蓄積されるだけでなく、体内のタンパク質と結びつきやすくなります。
高血糖状態が続くことで、余分な糖分とタンパク質の結合反応が促進され、老化物質であるAGEsが生成されてしまい、シワやシミといった肌トラブルにつながっていくのです。
誰でも加齢とともにAGEsが溜まりますが、蓄積度には個人差があります。同じ年齢でも、食事や生活習慣によって糖化の進行に差が生じるためです。ご自身の生活習慣が糖化を促進していないか、以下の項目をチェックしてみましょう。
チェック項目 | 詳細 | 対策 |
---|---|---|
1. 食後の血糖値が高い | 食後2時間の血糖値で正常とされる目安は140mg/dl未満。基準値を超える場合は、糖化が進行しやすいため注意が必要です。 | 食後の血糖値を測り、適正な範囲に収まるように食事内容や量を調整しましょう。 |
2. 甘いものやジュースが好き | 甘いものやジュースは糖分が多く、過剰に摂取するとAGEsの生成を促進します。 | 果物やお茶など、低糖質の代替品を選びましょう。 |
3. 早食い | 早食いは、糖質の消化と吸収が通常よりも速く進行し、血糖値の急上昇を招くため要注意。満腹を感じる前に食べ過ぎてしまうため、過食の原因にも。 | 食事はゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。 |
4. 若い頃と同じ食事量を摂っている | 加齢により糖分の代謝能力が低下しやすくなり、古いタンパク質が体内に残りやすくなります。そのため、若い頃と同じ食事量を摂っていると糖化が促進されやすくなるのです。 | 年齢に応じて、食事量を見直すようにしましょう。 |
5. 空腹時にドカ食いする習慣がある | 空腹時にドカ食いすると、血糖値が急上昇しやすくなり、AGEsの生成を促進します。 | 規則正しい食事を心がけ、毎食腹八分目を意識しましょう。 |
加齢とともに代謝能力が低下するため、ある程度、糖化が進行するのは仕方がないことです。しかし、過度に糖化が進むと体にさまざまな問題や症状を発生させる可能性があるので注意が必要です。
次は糖化によって引きおこされる問題や症状について解説します。
肌の内部では、タンパク質の一種であるコラーゲンとエラスチンの繊維が網目状に張り巡らされ、肌に弾力とハリを与えています。しかし、糖化によってAGEsが生成されると、肌内部の繊維が硬くなり、本来の機能が果たせなくなるのです。その結果、肌の弾力が低下し、たるみやシワが目立つようになります。
AGEsは褐色のため、肌に蓄積すると黄色っぽくくすみ、不健康な印象を与える可能性があるでしょう。実際、色差計で肌の色を調べると、AGEsが多い方ほど肌の赤みよりも黄色みが強いことが分かっています。
また、AGEsは分解されにくいため、長期間にわたり肌にダメージを与え続けます。特に表皮に蓄積すると、肌の新陳代謝が低下してターンオーバーの周期が乱れる原因に。その結果、メラニンが排出されにくくなり、シミへとつながってしまうのです。
糖化によって発生したAGEsは体内に蓄積されるだけでなく、RAGE(レージ)と呼ばれるAGEsの受容体と結合することで、炎症性サイトカインという物質を生み出します。炎症性サイトカインが増えることで体内の組織が炎症を引きおこしやすい状態になってしまうのです。
糖化によってAGEsが体内に蓄積すると、関節・腎臓・脳・血管・骨・視覚器官など、さまざまな部位に悪影響を及ぼします。たとえば、関節痛・腎臓病・脳卒中・動脈硬化・骨粗しょう症・白内障などの疾患のリスクが高まります。AGEsは組織や細胞にダメージを与え、全身の老化を促進するため、健康に深刻な問題をもたらす可能性があるのです。
糖化は、体内の余分な糖分とタンパク質が結びつくことでおこります。対策するには、糖分の過剰な摂取に気を付けることをはじめ、次のような点を心がけるとよいでしょう。
糖化は、急激な血糖値の上昇や高血糖状態が続いたときに発生しやすくなります。血糖値の上昇や高血糖を防ぐには、食事の際に以下のことに気をつけましょう。
上記のような糖化を減らす食事に加え、食事の仕方にも気をつけることにより、すこやかな体と肌が保てるでしょう。
生活習慣の乱れは、糖化を促進し、肌にダメージを与えます。
日中に受けた肌のダメージは寝ているときに回復するため、睡眠の質を高めて十分に休息を取りましょう。
また、適度な運動は血行が促進され、新陳代謝が高まり、糖化によるダメージを軽減してくれます。激しい運動である必要はなく、毎日の散歩やストレッチなど、無理なく続けられる運動を取り入れましょう。
ストレスはコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を促します。コルチゾールが過剰に分泌されると肌のターンオーバーの乱れを引きおこし、糖化を進行させてしまうのです。また、血糖値を高めるアドレナリンやグルカゴンなどのホルモンも分泌され、糖化を加速させます。
糖化を防ぐには、日々のストレス解消が大切です。「朝日を浴びる」「自然の中で散歩する」「ヨガや瞑想をする」「ペットと触れ合う」など、自分に合った方法でリラックスしましょう。
お酒を飲むことで生成されるアセトアルデヒドは、AGEsの元となる物質で、糖化を促進させます。お酒を頻繁に飲む習慣がある方は、AGEsが大量に生成されていると考えられるでしょう。
特に、お酒を飲むと顔が赤くなる方は、アセトアルデヒド分解酵素の働きが弱く、AGEs生成量が増えやすいため注意が必要です。
また、タバコもAGEsの生成を促進する活性酸素を増やし、糖化を進行させます。肌の老化を防ぎたいなら、お酒やタバコは控えるようにしましょう。
同じ食材でも、調理法によってAGEsの生成量が大きく変わります。「生」や「蒸す・茹でる」「煮る」などの調理法は、AGEsの生成を抑えられます。一方、「炒める」「揚げる」といった高温調理は、食材がこげやすくAGEsを増やすため注意が必要です。
栄養バランスを考えた食事を3食しっかり摂りましょう。
糖化を抑制するなら、急激に血糖値を上げない食品を選ぶことが大切です。
血糖値の上昇割合を数値化したものに「GI値」があります。GI値の数字が小さい食品は、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果が期待できるため、糖化が気になる方は積極的に取り入れてみましょう。
なお、主食・肉類・魚類・野菜類・果物類に該当する食品のGI値を表にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
低GI値(49以下) | 中GI値(50~79) | 高GI値(80以上) | |
---|---|---|---|
主食 | おかゆ(玄米)、パスタ(全粒粉) | 胚芽精米、玄米、そば、おかゆ(精白米)、もち米、クロワッサン | 食パン、フランスパン、精白米、もち、うどん |
肉類※ | 牛肉、豚肉、鶏肉、ソーセージ、ロースハム | 牛肉(レバー)、焼き豚、ベーコン | |
魚介類※ | マグロ、カツオ、サバ、アジ、イワシ、しじみ、あさり | ウニ、ちくわ、かまぼこ、さつま揚げ | |
野菜類 | 玉ねぎ、トマト、キャベツ、ピーマン、大根、ブロッコリー、小松菜、キュウリ、レタス、もやし | カボチャ、山芋、トウモロコシ、里芋、さつまいも | ジャガイモ、ニンジン |
果物類※ | りんご、ミカン、桃、柿、イチゴ | バナナ、パイナップル、スイカ | イチゴジャム |
※加工品も含む
糖化による肌トラブルを避けるためには、毎日のスキンケアも大切です。次のような点に注意してください。
紫外線は肌にダメージを与えて乾燥や酸化を引きおこし、シミやシワ、たるみの原因となります。日差しが強い時間帯を避け、外出時には日焼け止めや日傘などで紫外線対策をおこなうことが大切です。屋内でも紫外線は届くため、日差しが強いと感じる場合は、必要に応じてカーテンやフィルムを使いましょう。
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肌が乾燥しているとうるおい成分が失われ、肌に良い化粧品を使用しても血流が滞っていては、美容成分や酸素が肌の隅々まで行き届きません。そのため、糖化によるトラブルには、保湿と血行促進を重視するスキンケアが大切になります。
肌はデリケートなので、洗顔やクレンジング、スキンケアは優しくおこないましょう。洗顔は、たっぷりの泡で包み込むように洗顔し、摩擦を避けてください。
肌の糖化は、糖分を摂取している以上、避けられない現象です。しかし、摂取する糖分の量を制限し、日ごろからケアをおこなうことで糖化によってダメージを受けた肌を回復させられます。
肌のみずみずしさや透明感は、見た目年齢を大きく左右します。肌老化を食い止め、年齢に見合った美しく輝く肌を維持できるように、肌の糖化を意識した対策を実践してみましょう。
■ドモホルンリンクルのスキンケアアイテム
監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
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