あなたの睡眠タイプは朝型と夜型のどちらでしょうか。
朝型の方は健康的で夜型の方は不規則というイメージをもたれやすいですが、実は朝型か夜型かを決めるのは遺伝子が関係しています。
そこで人によって朝型と夜型に分かれる理由や朝型・夜型人間の特徴、夜型の体質を朝型に直すコツなどについてご紹介します。
「自分が朝型なのか夜型なのかを知りたい」「夜型で朝起きるのがつらい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
人によって朝型・夜型に分かれる理由
世の中の睡眠タイプは早起きが得意な「朝型」と、夜が集中できる「夜型」の2つに大別できます。
朝型人間と夜型人間に分かれるのは、以下の2つの理由があげられます。
朝型・夜型かは遺伝子(クロノタイプ)で決まっている
人は生まれつき睡眠パターンが決まっており、朝型・夜型のどちらかに分けられます。
こうした個人差を「クロノタイプ」と言い、近年の研究ではその人の得手不得手ではなく、少なからず遺伝子の影響を受けていることが分かってきたのです。
人の体には1日の生体リズムを作る「体内時計(生物時計)」があり、さらに体内時計をコントロールする「時計遺伝子」という遺伝子が存在します。
時計遺伝子がどう朝型・夜型に影響しているか、詳しい仕組みについては正しく解明されていません。
しかし時計遺伝子の数によって「朝型の度合い」は決まると言われています。
"351個ある時計遺伝子のうち最も多くもっている上位5パーセントの方は、最も少ない下位5パーセントの方と比べて、平均で25分早く眠りにつく"
つまり朝型の方が早く眠くなるのも、夜型の方が夜に活動的になるのも、すべては時計遺伝子によって決められていることが英国の研究チームによって分かりました。
遺伝子によって夜型か朝型が決まっているため、本人にはどうしようもない「無意識下」のものだと言えるのです。
日本人に多いクロノタイプとは?
日本人1000人以上を対象に「自分のクロノタイプは何型か」というアンケートを取った研究によると中間型が約4割、朝型と夜型(夜型には強い夜型を含む)はほぼ同じの約3割で最も多いタイプが「中間型」であることが分かりました。
中間型は、朝目覚めてお昼前後の時間帯にパフォーマンスのピークを迎え、夜は日付が変わるころ眠くなり、眠りにつきます。
年齢や生活環境によって変化する
遺伝子によってクロノタイプはある程度決まりますが、年齢や生活環境によってタイプが変化するケースも少なくありません。
たとえば「子どものころは朝型だったのに、思春期になると夜型になった」「夜型だったけど社会人になってからは朝型になった」「加齢とともに朝型になった」という方もいるでしょう。
一般的に10代後半〜20代にかけて最も夜型に近く、その後は少しずつ朝型にシフトしていくと言われています。
また環境によって変化する例としてあげられるのが「時差ぼけ」です。
時差ぼけで体内リズムが崩れていても、太陽の光を浴びたり、栄養満点の朝食を食べたりと、周りの環境によって体内時計をリセットできます。
クロノタイプは遺伝子によるところが大きいのかもしれませんが、生活環境を本気で変えたいと思えば、あなたが望むクロノタイプになれる可能性はゼロではないでしょう。
朝型人間の特徴
寝る時間が午後10時半よりも前で、起きる時間が午前6時半よりも前という朝型人間に共通する特徴を3つご紹介します。
東京医科大学医学部の志村哲祥兼任講師らでおこなわれた「睡眠スケジュールと生産性の関係」の研究によると、寝る時間が午後10時半よりも前で、起きる時間が午前6時半よりも前という方は朝型人間であると定義されています。
- 午前中の
生産性が高い - 時間管理が
得意 - 寝つきが
スムーズ
午前中の生産性が高い
朝型人間は早寝早起きが習慣化されています。
すっきりと目が覚めるため、二度寝をすることはあまりありません。
朝の支度で慌てたり寝坊して朝食を食べ損ねたりすることも少なく、余裕を持って朝を迎えるため、穏やかな気持ちで1日をスタートできます。
朝型の方は朝6時には体温が上がるため、起床時には体が温まっており、すぐに動けるよう準備が整っているのです。
逆に夜は眠くなるため、生産性が低下します。
夜に仕事をしたり徹夜で勉強したりというのは向いていないため、持ち帰りで仕事や勉強をしたい場合はより早起きすると良いでしょう。
時間管理が得意
早寝早起きが得意な朝型の方は、夜ダラダラと時間を過ごすことがほとんどありません。
睡眠時間をしっかり確保する傾向にあるので、主体的に時間管理ができる方が多いといえるでしょう。
その一方で、夜は活動ペースが落ちるため、同僚との飲み会や会社のイベントなどにもあまり顔を出したがらない方もいます。
急な仕事や用事などで帰りが遅くなると睡眠時間が短くなり、体調を崩してしまうケースもあります。
寝つきがスムーズ
朝型の方は夜の体温の下がり方が急で、深部体温がぐっと下がり寝つきやすくなっています。
朝すっきり起きられるという方は質の良い睡眠をとれているといえるでしょう。
中間型人間の特徴
寝つきがスムーズ
日本人には、朝型でもなく夜型でもない「中間型」が多く見られます。中間型は、7時前後に自然と目覚めることが多く、11〜 13時くらいがパフォーマンスのピークで、夜は23時前後くらいに自然と眠くなり、眠りにつきます。中間型のタイプは1日でも生活リズムが変わると簡単に「朝型」や「夜型」にライフスタイルが変動しやすいのも特徴です。実際、中間型の方が寝る直前までブルーライトを浴びるなどの習慣から「夜型」になっている人が増えている可能性が高いと言われています。また、中間型は他のクロノタイプに適応しやすく、幅広いライフスタイルを実現できるメリットがあります。
夜型人間の特徴
早寝早起きの朝型人間とは違い、寝る時間が午前1時半以降で、起きる時間が午前9時半以降の遅寝遅起きの夜型人間に共通する特徴を3つご紹介します。
東京医科大学医学部の志村哲祥兼任講師らでおこなわれた「睡眠スケジュールと生産性の関係」の研究によると、寝る時間が午前1時半以降で、起きる時間が午前9時半以降の遅寝遅起きという方は夜型人間であると定義されています。
- 夕方から
夜にかけて
元気になる - 集中力が高く
長時間
持続する - 就寝時間を
調整できる
夕方から夜にかけて元気になる
夜型の方は早く寝ることにこだわりがありません。
夜のほうが活動的なので、会社の集まりや社外のイベントに参加したり、自宅で趣味の時間を設けたりと時間の使い方が柔軟です。
集中力が高く、長時間持続する
夜型の方は夜の9時以降になると集中力が高まる傾向があります。
比較的電話やメールなどの通知が少ない時間帯なので、自分のペースで仕事に取り組め、集中して長時間の作業をこなせます。
仕事で帰りが遅くなっても乗り切れるタフさも夜型人間の特徴といえるでしょう。
就寝時間を早めたり遅くできたりする
夜型の方は、朝型の方と比べて入眠前の体温の下がり方が緩やかなので、眠くなる時間が遅い傾向にあります。
朝型のように早寝早起きをする習慣があまりないため、就寝時間を早めたり遅くしたりは比較的苦なくおこなえます。
就寝時間に縛られないので、朝型の方よりも1日の活動時間を多く確保でき、柔軟に時間を使えるのも夜型人間の特徴です。
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夜型人間を直すコツ
「夜型=朝弱い人」というイメージが定着しているため、早起きしたいけど無理だと諦めてしまう方もいるかもしれません。
夜型人間を朝型に変えるためには、以下のポイントに留意しましょう。
朝日を浴びる
朝起きてすぐに、太陽の光を浴びましょう。
朝に光を浴びることで体内時計がリセットされ、朝型にシフトしやすくなります。
部屋に朝日が差し込むと自然と目覚めやすくなるので、遮光カーテンを使っている方は、非遮光に変えてみるのも良いでしょう。
頭と体を使う
「朝は眠いのに、夜になると目が冴えてしまう」という方は夜型人間です。
日中を活発に過ごすと寝つきが良くなるため、頭と体を使ってほどよく疲労感を得ましょう。
たとえば勉強や読書などをおこなうと眠くなることがありますが、これは脳が過度な疲労を防ぐために眠気を誘発する睡眠物質を蓄積しているからです。
勉強などをして新しい知識を蓄えることで、眠りにつきやすくなります。
また運動することも朝型に直すのに効果的です。
人の体温が最も高くなる夕方に30分ほどランニングやジョギングなどの有酸素運動をおこなうと、就寝時間帯に深部体温が下がって入眠しやすくなります。
眠気がきたら寝る
ちょっと眠くなってきたなと思っても、つい夜更かししてしまうこともあるものです。
時間がたつと眠気が消えてしまうので、眠くなったときはすぐに布団にもぐり、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
夕方以降は強い光を浴びないようにする
強い光を浴びると、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が阻害され、さらに体内時計も遅らせてしまうと言われています。
メラトニンは眠気を誘発させる作用や体温を調節してくれる働きがあるのです。
メラトニンの分泌を促し、スムーズな入眠、質の良い睡眠の為に、寝る前のくつろぐ時間の室内の光を100〜150ルクス([lx]ルクス:照度の単位)、寝るときには20〜30ルクスくらいにすると良いとされています。100〜150ルクスは街灯下の明るさ、20〜30ルクスは10m先の人の顔や行動が識別でき、誰であるかわかる程度の明るさです。
一般家庭の夜の室内の光は500〜700ルクスの明るさがあります。また、夜のコンビニやスーパーマーケットの光は1500〜1800ルクスあります。
コンビニやスーパーマーケットの光に比べたら一般家庭の室内の光はそれほど強い光とは感じられませんが、眠気を誘発し、スムーズに入眠をするためには500〜700ルクスという光は寝る前には強すぎてしまうのです。
ですので夕方〜夜はできるだけ強い光を浴びないようにしましょう。
夜はハードな運動を控える
夜型の方のなかには時間があるからと、夜に運動する方もいるでしょう。
しかし夜に激しい運動をすると交感神経が優位になり、体温が上がって寝つきが悪くなります。
筋トレやジョギングなどは夕方におこない、夜は軽いストレッチなどで済ませるようにしましょう。
アルコールやカフェインを控える
アルコールは、睡眠が浅くなりいびきを誘発しやすく、必要以上に朝早く目覚めてしまうことがあります。カフェインも、寝付きに影響をあたえてしまうでしょう。また、アルコールもカフェインも利尿作用があるため、トイレが近くなり夜中に目覚めてしまうケースが多くなります。これらの理由から質の良い睡眠を妨げるため、就寝前の摂取は控えるほうが好ましいでしょう。
寝る前のブルーライトを避ける寝る前にブルーライトを浴びると睡眠ホルモンと言われているメラトニンの分泌が抑制され、脳が昼間だと勘違いしてしまい、体内時計がずれてなかなか眠れなくなってしまいます。そして、今度は、朝起きるのもつらくなってしまうことから、寝る前にはスマートフォンやパソコンを避けるほうが良質な睡眠が取れるでしょう。
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夜型と仕事の生産性が低下することは直接関係ない
近年の研究では、"夜型と仕事の生産性が低下することは直接関係していない"ことが分かってきました。
"夜型は1時間早起きをする、朝型は1時間夜更かしをして遅く起きる"ことが仕事の生産性低下を招くと言われています。
さらに夜型・朝型が1時間の早起き、遅起きをすることによって体調不良につながってしまう可能性があることも分かってきました。
仕事の生産性を上げるためには「自分に合った睡眠時間をしっかり確保し、睡眠の質を高めること」が大切です。
遺伝子が決めた朝型・夜型を無理に直さず上手につき合おう
同じ時間に起床し朝に太陽の光を思いっきり浴びて、夜は早く寝る。
規則正しい生活は、健康のためにも肌のためにも大切ですし理想的です。
朝型・夜型を無理に変えるのではなく「自分のクロノタイプを知り、どう元気に健康で過ごしていくか」を考えることが大切です。
眠りにつきやすくするための工夫をしたり、ときにはサプリメントなどで栄養を補ったりしながら自分の体のためにできることを始めてみましょう。
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