監修:日本皮膚科学会 専門医・日本色素細胞学会
高藤円香(たかふじ まどか)
2013年防衛医科大学校を卒業後、臨床研修を修了。その後、大阪大学医学部附属病院や自衛隊阪神病院で研修ののち、皮膚科専門医を取得。現在は、皮膚科医として地域の方々の一般診療をメインに、アトピー性皮膚炎や乾癬などの診療にあたっており、執筆・監修などにも力を入れている。
疲れていないのに顔が疲れたように見える「黄ぐすみ」。なぜおこるのかの原因と対策を紹介するとともに、黄ぐすみをカバーするメイク方法もご紹介します。
黄ぐすみとは、文字通り肌の色が変化して黄色くくすんで見えることを言います。くすみだけでなく、肌の弾力やシワなど肌の衰えを感じることもあります。
普段からきちんとケアをしているのに、「ファンデーションの色が合わなくなった」「肌に透明感がなく黄色っぽくなった」と感じる場合は、肌の黄ぐすみが原因かもしれません。特に「顔だけが黄みがかって見える」と感じる場合は、血行やターンオーバーの乱れなどが局所的に影響しているケースもあります。
ちなみに黄ぐすみ以外にも、いくつかのタイプがあります。くすみにはそれぞれ原因が異なるため、対策も変わってくるので注意しましょう。
老けた印象を与えがちな「黄ぐすみ」は、どんな原因でおこるのでしょうか。
黄ぐすみは、肌の乾燥や摩擦によってもおこりますが、おもな原因としては「糖化」や「カルボニル化」があげられます。肌を黄色く濁らせる黄ぐすみですが、透明感が失われて顔色が悪く見えるだけではありません。
タンパク質の一種であるコラーゲンやエラスチンは、表皮の内側の「真皮」を満たして肌を内部から支えています。ところが、これらのタンパク質が糖化・カルボニル化すると肌の柔軟性が失われてハリや弾力が低下し、シワやたるみの原因となります。
黄ぐすみの原因として一番に挙げられるのは「糖化」です。ごはんや麺類、甘いものなどから摂取した糖はエネルギーとなるのですが、過剰に摂取すると体内で使い切れず余ってしまいます。余った糖質は、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンといったタンパク質と結びついて「糖化」してしまうのです。糖化によって肌に黄ぐすみが生じると、透明感が失われた印象を与えがちです。
糖化したタンパク質は「糖化タンパク質(AGEs)」と呼ばれており、黄褐色をしています。そのため、糖化が進んでAGEsが肌の表面に増えると黄ぐすみになりやすいと考えられているのです。
紫外線によって発生した活性酸素によって脂質が酸化し、タンパク質と結びつくことをカルボニル化と言います。「肌のサビ」とも言われるカルボニル化したタンパク質は「カルボニル化タンパク質(ALEs)」と呼ばれ、濃い黄色をしています。そのため、黄ぐすみにも大きな影響を与えているのです。
糖化もカルボニル化も年齢とともに増えることが分かっており、特に40代以降に多くなるとも言われています。
医師 高藤円香からのコメント
糖化とカルボニル化は、肌の老化を加速させる生化学的反応です。糖化は、余分な糖がコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質と結びつき、最終糖化産物といわれるAGEsの生成によって、肌の弾力を低下させます。また、シワやたるみを引き起こすだけでなく、慢性炎症の原因にもなり得ます。
カルボニル化は、酸化した脂質がタンパク質と結合してカルボニル化タンパク質であるALEsを生成し、肌の構造を劣化させます。カルボニル化は、糖化よりも深刻な影響を与えるといわれています。
これらの反応が続くと皮膚では、ターンオーバーが乱れ、肌荒れなどの複合的な肌トラブルに繋がる可能性があるほか、動脈硬化や腎不全、神経変性疾患などの慢性疾患の進行にも深く関与するといわれています。
これらは、加齢性変化だけではなく、生活習慣や紫外線などによっても進行するため、予防していくことが重要です。
この記事を読んでいる人におすすめの記事
黄ぐすみ改善には、食事や睡眠などの「生活習慣」と「スキンケア」が大事ですが、そのなかでも特に食事などのインナーケアが重要です。
黄ぐすみのおもな原因は「糖化」と「カルボニル化」によるものなので、食生活の改善が何よりも重要です。体の中に入れる物を少しずつ見直していくことで、改善が期待できます。
食事に関しては、糖質や脂質は摂り過ぎずに適量で、野菜や肉を先に食べるなど食事の順番も意識するようにしましょう。また、腹八分目で抑えることや、抗酸化作用のある食材を摂取することも大切です。
抗酸化作用のある栄養素やおもな食材は以下のとおりです。
| 抗酸化作用のある栄養素 | おもな食材 |
|---|---|
| ビタミンC | パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、柑橘類など |
| ビタミンE | 植物油、ごま、アーモンド、ピーナッツなど |
| ポリフェノール | プルーン、りんご、赤ワイン、コーヒー、紅茶など |
| ミネラル | 海藻類、桜エビ、納豆など |
また、食事のときはよく噛んで食べることも大切です。少なくとも30回以上は噛むことで血糖値の急上昇を抑えられ、糖化防止につながります。
日頃から意識して習慣づけていきましょう。近年では黄ぐすみの糖化対策として抗糖化成分を含むサプリメントを取り入れる方も増えており、内側からのサポートとして注目されています。
黄ぐすみ対策では、糖質の摂り方に注意することが大切です。特に「どのような糖質を選ぶか」によって、血糖値の上がり方が変わり、糖化の進行にも影響します。できるだけGI値が低く、精製されていない"茶色い糖質"を意識的に選びましょう。
これらは血糖値の上昇が緩やかで、糖化を防ぎやすい食品です。少しずつ置き換えてみるだけでも、黄ぐすみ改善に役立ちます。
上記の食品は血糖値を急激に上げやすく、糖化を進めてしまう原因になります。完全に避ける必要はありませんが、摂取量や頻度を調整することが大切です。
食材そのものだけでなく、調理法によっても糖化の進行度合いは変わります。とくに「揚げる・焼く」よりも「蒸す・茹でる」調理法を選ぶことが、黄ぐすみ対策には効果的です。
揚げ物や焼き物は、食材に含まれる糖とタンパク質が高温で反応しやすく、糖化を促進する原因物質である「AGEs(最終糖化産物)」を多く生み出す傾向があります。
一方で、蒸したり茹でたりする調理法ならAGEsの生成が抑えられるため、肌への負担を軽減できます。
糖化防止には食事だけを意識するのではなく、適度な運動も効果的です。血液中の糖質を筋肉に取り込んでエネルギーとして使うため、血糖値の上昇を防げるでしょう。
睡眠不足による酸化ストレスによって、体内の黄色い色素「ビリルビン」が表皮で増え、黄ぐすみを加速させると考えられています。また、睡眠不足による黄ぐすみは、5日継続するとも言われており、睡眠不足が続くとますます肌がくすんでしまうことになります。日頃から肌のためにも、質の良い睡眠をしっかりと取るように心がけましょう。
医師 高藤円香からのコメント
抗糖化を意識した食生活にした場合、肌の透明感やハリの変化を実感するまでに、約2〜3ヵ月ほどかかるとされています。これは、皮膚のターンオーバーに応じた期間が必要になるからです。
食生活を変える場合も、保湿などの外部ケアに加え、内側からのケアが欠かせません。睡眠の質の向上や、汗をかきながら行う有酸素運動、仕事におけるストレス管理、日々の習慣としての禁煙・節酒など、良い生活習慣を取り入れてみてください。身体内部からAGEsの蓄積を抑え、より効果的に肌の糖化ケアができるでしょう。
黄ぐすみの対策としては、糖化や酸化を抑えるインナーケアに加え、日々の美白ケア・保湿・紫外線対策を組み合わせるのが効果的です。
洗顔・保湿・紫外線対策を見直すだけでも、くすみを和らげて明るい印象へと近づけます。
黄ぐすみを防ぐには、余分な皮脂や古い角質をしっかり取り除くことが大切です。洗顔料はやさしく泡立て、肌をこすらずに泡で汚れを吸着させましょう。摩擦を避け、35度前後のぬるま湯でていねいに流すことがポイントです。
乾燥はターンオーバーの乱れにつながり、黄ぐすみを悪化させる原因になります。化粧水でしっかり水分を補給し、乳液やクリームでフタをしてあげましょう。さらに、レチノールを取り入れるのもおすすめです。レチノールは肌のハリや弾力をサポートし、ターンオーバーを整えてくれるため、黄ぐすみの対策に役立ちます。
紫外線は酸化や糖化を加速させ、黄ぐすみの原因にもなります。外出時は季節を問わず日焼け止めを使用しましょう。シミやくすみを防ぐ美白系のスキンケアアイテムと組み合わせるとより効果的です。
医師 高藤円香からのコメント
黄ぐすみ対策には、保湿だけではなく、糖化やカルボニル化による肌の変性を防ぐ成分選びが重要です。特にビタミンCは、強力な抗酸化作用を持っています。酸化ストレスやAGEs・ALEsの生成を抑えることで肌の透明感を高める効果が期待できるでしょう。
また、ナイアシンアミドは、肌の代謝を促進して蓄積したくすみの排出を助ける働きがあります。これらの成分を組み合わせたスキンケアであれば、酸化・糖化・カルボニル化という3つの老化要因に多角的にアプローチすることが可能です。黄ぐすみが気になる方は、ぜひ取り入れてみてください。
この記事を読んでいる人におすすめの記事
黄ぐすみはスキンケアだけでなく、メイクの工夫で自然にカバーすることも可能です。次のポイントを押さえて、アイテムを選びましょう。
ハイライトは目の下に逆三角形を描くように伸ばすと顔の中心が明るくなり、黄ぐすみが目立たなくなる効果が期待できます。
黄ぐすみ対策として、糖化やカルボニル化に気を付けるとともに、くすみにくい肌作りを目指しましょう。
監修:日本皮膚科学会 専門医・日本色素細胞学会
高藤円香(たかふじ まどか)
2013年防衛医科大学校を卒業後、臨床研修を修了。その後、大阪大学医学部附属病院や自衛隊阪神病院で研修ののち、皮膚科専門医を取得。現在は、皮膚科医として地域の方々の一般診療をメインに、アトピー性皮膚炎や乾癬などの診療にあたっており、執筆・監修などにも力を入れている。
※この記事は、正しい情報発信を行うために、医師に監修を依頼しております。商品について医師が推薦を行うものではありません。
この記事を読んでいる人におすすめの記事
※コンテンツ内で扱っている商品情報は一部古い情報を含んでいる場合があります。
医師 高藤円香からのコメント
黄ぐすみと、その他のくすみを混同されている方は少なくありません。特に肝斑などのもやっとしたシミは、はっきりと境界がないこともあり、ご自身で見分けるのは、少し難しいかもしれません。
黄ぐすみは、メラニンの蓄積によって起こるもので、やや深い層での色素沈着です。またハリの低下によって、光の乱反射の関係でくすみに見えたり、シミなどと違い、全体的なくすみに見えたりする特徴があります。
同じメラニンの沈着であっても、皮膚の深さの違いで茶色っぽく見えたり黄色っぽく見えたりと、色味にも違いが出てきます。