監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
「眠りが浅く、夜中に何度も起きてしまう」「少しの物音で目が覚めてしまう」「眠ったのに翌日も疲れが残っている」など、睡眠に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。睡眠の質が悪いと体調に影響してしまうので、できるだけ快眠が望める環境を整えることが大切です。
睡眠不足に悩む方へ向けて、眠りが浅くなる原因や良い睡眠をとる方法などについてご紹介します。
人はなぜ睡眠不足になったり、睡眠が浅くなったりするのでしょうか。ここでは、睡眠の質が低下する原因について解説します。
睡眠の質が低下する原因は人によってさまざまですが、おもな原因の一つに「睡眠リズムの乱れ」があげられます。
人は睡眠中に「レム睡眠※1」と「ノンレム睡眠※2」の周期を4~5回繰り返しています。基本的に、レム睡眠時は体は休んでいますが脳は活動を続けており、ノンレム睡眠時は体も脳も熟睡しています。眠っているときに夢を見たり、逆に夢を見ずに深く眠ったりするのは、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているためです。
レム睡眠とノンレム睡眠の周期は90分ずつ交代で入れ替わりますが、眠り始めてからの3時間はノンレム睡眠の状態になり、必要な睡眠を確保すると言われています。そして、朝になるにつれて徐々にレム睡眠の時間が長くなり、すっきりと目覚められるようにサイクルができているのです。
しかし、ノンレム睡眠への移行ができず、レム睡眠の状態が長く続いてしまうと眠りが浅くなり、睡眠の質は低下してしまいます。睡眠の時間を十分にとっているという方でも、睡眠リズムが乱れてしまうと「熟睡できない」「寝ているのに疲れがとれない」などの症状に悩まされることになるのです。
※1:浅い睡眠。体は休んでいるが脳は起きている状態。目がピクピクと動く「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」が見られるため、REM(レム)睡眠と呼ばれる。
※2:深い睡眠。体も脳も熟睡している状態。REMのない睡眠(non-REM)という意味。徐波睡眠(じょはすいみん)とも呼ばれており、睡眠の深さによって4つの睡眠段階に分けられている。
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睡眠リズムが崩れる原因として考えられるのが、体内時計の乱れです。
私たちの体内には、脳内の視床下部視交叉上核(ししょうかぶしこうさじょうぶ)にある「主時計」と、心臓や筋肉などの臓器にある「末梢時計」の2種類があります。主時計と末梢時計は一定の時間関係を保ちながら、お互いリズムを刻み続けています。
主時計と末梢時計のリズムは、睡眠覚醒リズムや外界の明暗サイクルとも同調しており、これらの関係が崩れてしまうと「脱同調」の状態になって睡眠リズムが乱れてしまうのです。たとえば、日光を浴びない、休日はいつもより遅く起きるなどは脱同調につながります。海外旅行で時差ボケするのと同じ状態を自らつくり出しているのです。
このほか、冷え、心理的不安や環境の変化などによるストレス、カフェインやアルコールの摂りすぎ、寝具や調光、騒音などの睡眠環境の不具合があげられます。とくに寝る前にスマートフォンやタブレットなどを見るとブルーライトで脳が活性化され、寝つきが悪くなり睡眠リズムが崩れてしまいます。朝の寝覚めが悪いときには有効ですが、寝る直前は避けたいところです。睡眠不足に悩んでいる方は、まずは上記を見直すよう心がけましょう。
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睡眠の質を上げる方法は、以下のとおりです。
人の体には、太陽の昇沈や四季の巡りといった自然のリズムに呼応した「生体リズム」が刻まれています。体内時計(主時計・末梢時計)が備わっていることで、日中は活動モード、夜は休息モードに自然と切り替わるようになっているのです。
体内時計は約24時間10分と言われており、1日の時間(24時間)と若干ズレています。たった10分と思うかもしれませんが、1週間だと1時間以上、1ヵ月だと4時間以上もズレが大きくなってしまいます。このズレを放っておくと生活リズムが乱れてしまい、体に不調をきたす恐れがあるので、1日ごとにリセットする必要があるのです。
朝、太陽の光を浴びると体内時計の「主時計(親時計)」を目覚めさせることができますが、あらゆる臓器や筋肉などに備わる「末梢時計(子時計)」には光が届きません。末梢時計に影響を与えるのは食事なので、栄養満点の朝食をとって末梢時計を目覚めさせましょう。
なお、太陽の光を浴びてから朝食をとるまでの時間は、開きすぎないほうが良いと言われているので、どちらも時間を決めておくと良いかもしれませんね。
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睡眠の質を上げるためには、自分に合った寝具・グッズを選ぶことも大切です。
たとえば、枕は高さが合わないと首や肩がこったり胸の筋肉が張ったりして筋肉が緊張状態になり、翌日に疲れが残ってしまいます。また、いびきの原因にもなるため、慢性的に睡眠が浅くなり、睡眠サイクルが乱れることもあるのです。
マットレスはやわらかすぎると腰痛の原因になりますし、逆に硬すぎると骨にあたって痛みを感じたり、血行不良になって寝つきが悪くなったりします。枕の高さやマットレスの硬さを選ぶときには注意しましょう。
寒い時季に電気毛布を使用する方もいるかもしれませんが、一晩中体を温めていると深部体温が下がりにくくなり寝つきが悪くなります。睡眠リズムを乱さないためにも、布団に入ったらスイッチを切るようにしましょう。
就寝中の発汗や温度変化に対応できるよう、吸湿性や放湿性に優れたものを選ぶのはもちろん、自分の体型に合ったものを選んでみてください。
就寝直前の食事は禁物です。食べてすぐ寝てしまうと、体は消化にパワーを使うため内臓の休息時間が短くなり、眠りが浅くなったり疲れがとれにくくなったりします。
胃に入った食べ物が消化されるまでには、3時間ほどかかります。就寝時には消化が終わっているのが理想的なので、寝る3時間前には食事を終えておきましょう。どうしても食事が遅くなってしまう場合は、消化の良いものを少量食べるようにしてください。
なお、カプサイシンを含む食べ物は深部体温を上げるのに効果的ですが、就寝直前に食べると深部体温が下がりにくくなります。寝つきが悪くなるので注意しましょう。
睡眠の質を上げるためには「深部体温」と「熱放散」に注目しましょう。深部体温は体の内部の温度で、熱放散は皮膚表面から熱を逃がす体の仕組みです。
深部体温が下がると眠くなるため、入浴習慣をつけるのがおすすめです。シャワーでも体を温められますが、湯船につかることで体をゆっくりと温められます。また、入浴すると深部体温が高まり、放熱のために血管が開きます。四肢から熱が逃げて深部体温が下がるので、寝つきやすくなるのです。
入浴は、遅くても就寝する1時間前には済ませておきましょう。38〜40度のぬるめのお風呂は副交感神経を優位にするため、心身がリラックスして寝つきが良くなります。ゆっくりと体温を上げることで末梢血管が広がり、手足からの熱放散がスムーズになります。手足や足首を伸ばすといった軽いストレッチをすれば、より寝つきが良くなるはずです。ぜひ試してみてください。
ストレスを感じると、眠りが浅くなります。日ごろからストレスを溜めないように、発散方法を見つけておくことが大切です。たとえば、休日や隙間時間に趣味を楽しんだり、お風呂やアロマなどで気分をリラックスさせたりするとストレス解消の効果が期待できます。
つい夜は考え事をしてしまいがちですが、避けるのがおすすめです。夜は1日の疲れからパフォーマンスも落ちているうえ、睡眠にも影響して悪循環になってしまいます。早起きして頭がすっきりしている朝の時間に考えるようにしましょう。
また、運動して汗をかくのもストレスの発散につながるでしょう。適度な疲労感は入眠をスムーズにするため、軽めの運動から始めてみても良いかもしれません。ただし、寝る直前に運動をすると体温が高くなりすぎて寝つきにくくなるためご注意ください。
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睡眠の質を上げるためには環境を整える以外にも、栄養素に注目することも有効です。睡眠の質を高めるホルモン「メラトニン」の材料となる「トリプトファン」は、食事から摂取する必要があります。
トリプトファンを含む食品は次のとおりです。
トリプトファンを含む食材は、朝食に摂ることがおすすめです。トリプトファンは摂取してから15〜16時間でメラトニンに変化すると言われているため、朝に多く摂ることで眠りにつきやすくなることにつながります。
睡眠の質を上げるサプリなども販売されていますが、まずはトリプトファンを食事から摂取するところから始めましょう。
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眠れないときは、まずリラックスすることです。「寝ないといけない」と強く思うことがストレスとなり、余計眠れなくなってしまいます。
軽めのストレッチや筋弛緩運動をして、体を緩めましょう。筋肉を緩めることで、副交感神経が優位になり、眠りへと導いてくれます。
どうしても眠れないときは、一度布団から出て、本を読んだり、リラックスできる音楽を聴いたりしてみてはいかがでしょうか?このとき、やってはいけないのは、スマートフォンやタブレット、パソコンを見ること。ブルーライトの強い光が影響して、眠りにくくなってしまいます。
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1日のスイッチがOFFになる睡眠をしっかりとると、ON状態である日中の時間が充実します。つまり、睡眠に向けて準備することが充実した1日を送ることにつながるのです。睡眠の質を上げるために、まず朝起きて日光を浴びることから始めてみましょう。
人は深部体温が下がるときに眠気を感じるので、スムーズに眠りにつくためにも入浴などで深部体温を上げ、熱放散によって体温を下げることも大切です。入浴や食事などの生活習慣を見直すのはもちろん、自分に合った寝具を揃えて快眠できる環境を整えてみてください。
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