監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
生活リズムの乱れを直し、生体リズムを整える。理想的な1日のスケジュールを紹介
「ギリギリまで眠って朝食を抜きがち」「夜はSNSや動画のチェックで夜ふかしする日が多い」という方はいませんか。
日中に体を動かし夜に眠る生活リズムが乱れてしまうと、体や肌の不調の原因になります。それは生活リズムの乱れが、生体リズムに大きな影響を与えているためです。
そこでこの記事では、生活リズムと生体リズムの関係、生体リズムを整える方法などをご紹介します。
ここではまず、「生活リズム」と「生体リズム」について解説します。
生活リズムとは、食事、運動、睡眠といった規則的な生活習慣を指します。現代ではライフスタイルが多様化し、生活リズムも個人の状況に応じてさまざまな形を取っていますが、本来は日中に活動し、夜間に睡眠をとる1日周期のリズムが基本です。しかし、生活リズムが乱れると睡眠不足やホルモンバランスの乱れを引きおこし、体調不良や肌アレの原因になります。そのため、1日を正しい生活リズムで過ごすことが、健康を維持する上では大切です。
生体リズムとは、人間や動植物を含む全ての生物が持つ体内時計によって調整される生命現象の周期のことです。このリズムは、自律神経の働きやホルモンの分泌、体温や血圧といった基本的な身体機能のサイクルを正しく変動させる重要な機能と言えます。そのため、生体リズムを整えるためには、規則正しい生活習慣を意識することが大切です。
人間の体内に備わった生体リズムは、なぜ乱れてしまうのでしょうか。
生体リズムが乱れてしまう原因は、生活リズムの乱れです。人間は本来、日が昇ると活動を始め、日が沈むと休息する1日のリズムを備えており、意識しなくても昼は活動モード、夜は休息モードに切り替わるようにできています。
しかし現代では、全ての人が太陽の昇沈(しょうちん)によって起床・就寝、活動時間を決めているわけではありません。照明や遮光カーテンなどにより人工的に光を生み出したり遮断したりすることで、昼夜を逆転できるため、太陽の光を浴びる時間が少なくなり、徐々に生体リズムがくるってしまうのです。
光の刺激のほか、食事も生体リズムの乱れに影響すると言われています。太陽光は体全体のリズムを整える「主時計(親時計)」に影響し、食事は臓器や筋肉、皮膚に備わる「末梢時計(子時計)」に影響を与えます。
主時計の指示に従って末梢時計が体の調和を保つため、朝に太陽の光を浴び、栄養豊富な朝食をとることが生体リズムを整えるためには欠かせません。朝食を抜く習慣は、生体リズムの乱れにつながってしまいます。
乱れた生体リズムを戻すために必要な日数は、リズムの乱れ具合やその原因、個人の体質などによっても異なります。たとえば、週末に夜ふかしをしてしまったときは、早寝早起きを意識することで1週間程度で戻る場合もありますが、昼夜逆転した生活が長期間続いている場合は数週間〜1ヵ月以上かかる場合もあります。
いずれにせよ、1日2日ですぐに戻そうとすることは難しいため、無理のない範囲で整えていくことが必要です。生体リズムの直し方については後ほど詳しく解説します。
生体リズムの乱れは、睡眠や食事、日中の活動など、生活全般に影響を及ぼすことがあります。まずは、自分の生体リズムが整っているかを以下のチェックリストを用いて確認してみましょう。
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チェックが多い方は、生体リズムが崩れてしまっている可能性が高いため注意が必要です。生体リズムは加齢とともに乱れやすくなるため、気づけた今から意識して整えましょう。
生体リズムを整えるためには、朝と夜のスイッチを意識することが大切です。
朝のスイッチをONにするのは、「昨日までのリズムの乱れを整えて、1日をすこやかに動けるようにするため」です。
1日は24時間ですが、体内時計で数えると約24時間10分※1となります。この10分ほどのずれが生体リズムの乱れにつながるため、朝のスイッチを入れてきちんと整えることが大切なのです。
朝は体温が低く、運動能力が覚醒していません。日中、スムーズに動けるようにするためにも、「体温や代謝を上げる」「脳の活性化を促す」「エネルギーを摂取する」などして、1日の活動スイッチをONにしましょう。
※1:過去、体内時計は25時間とされることもあったが、最新の研究では体内時計は約24時間10分とされている。ただし、これはあくまでも平均値で個人差があるため、長い人もいれば短い人もいる。
夜、活動スイッチをOFFにするのは「その日を正しく終えるため」です。
疲労やストレスなど、日中に受けたダメージを回復するには休息の時間を十分に取る必要があります。また、心身をすこやかに保つためにも、活動モードから休息モードへの切り替えをスムーズにおこなうことが大切です。そのため、そっと灯りを消すように、自然にスイッチをOFFにする習慣を身につけましょう。
ただし、OFFにすることばかりに気を取られていると、活動スイッチが入りにくい体になってしまいます。「日中は体をほどよく動かし、夜はしっかり寝る」というように、ON・OFFのバランスを意識しながら日々を過ごすことが大切です。ONを意識できれば、OFFへのスイッチも自然に入りやすくなります。
なお、活動スイッチの切り替えがスムーズにできるようになれば、すこやかな体を維持しやすくなります。肌の保湿力やバリア機能にも良い影響を与えられるため、肌本来の美しさを保つ意味でも効果的です。
乱れた生体リズムを整えるためには、生活リズムを戻す必要がありますが、すぐに戻すのは難しいです。
次のようなことを意識しながら、無理のない範囲で整えていきましょう。
生体リズムを整えるには、まず食事を意識することが大切です。朝食には、焼き魚や味噌汁がそろった「和定食」がおすすめです。特に魚は良質なタンパク質を豊富に含み、ビタミンB・Dや不飽和脂肪酸※2など、摂取しにくい栄養素を補えるため、朝にぴったりのおかずと言えます。
「朝はどうしても食べられない」という方には、豆乳がおすすめです。豆乳に含まれる良質な大豆タンパク質が、日中の活動をしっかりサポートしてくれます。
一方、夜は「寝る3時間前の食事やお酒を控える」ことがポイントです。胃に入った食べ物が消化されるまで約3時間かかり、消化中はエネルギーを消費するため、就寝直前の食事は睡眠の質を低下させます。また、お酒も飲み過ぎると睡眠の妨げになるため、就寝3時間前までに済ませるよう心がけましょう。
なお、朝食から12〜14時間以内に夕食を終えるのが理想的です。たとえば朝食が朝7時なら、夕食は19〜21時ごろに食べるようにしましょう。理想を踏まえた上で無理はせず、できることから始めてみてください。
※2:体の各種細胞膜を構成する成分であり、エネルギー源としての役目を持つ。植物油や魚などに多く含まれており、オレイン酸やリノール酸、α-リノレン酸などがある。リノール酸、α-リノレン酸は人間の体内ではつくることができず、食事から摂取する必要のある「必須脂肪酸」と呼ばれている。
運動習慣を身につけることも生体リズムを整えるために有効です。
運動は活動スイッチがONになりきった時間帯におこなうことが望ましいと言えます。15〜19時ごろは心肺機能が活発になっており、筋肉の柔軟性も高まっているため、運動におすすめの時間帯です。体の負担になりにくい「うっすら汗をかく程度の運動」を選び、毎日継続して取り組んでみましょう。たとえば、ウォーキングやストレッチは生体リズムを整えるのに効果的な運動です。
なお、夜に激しい運動をするのは望ましくありません。交感神経が優位になり、目が冴えて眠れなくなってしまいます。どうしても夜しか時間がないという方は、軽めのストレッチなど体をほぐす程度の運動にとどめておきましょう。
毎日、同じ時間に眠ることで「睡眠のリズム」ができていきます。時間を気にし過ぎると眠れないこともありますが、決まった時間に布団に入ることで、徐々に体が睡眠モードに切り替わるようになります。
ただし、「寝る直前」の入浴は交感神経が刺激されるため逆効果です。遅くても寝る1〜2時間前に入浴を済ませてください。
また、休日の寝だめはおすすめできません。睡眠不足のときは、いつもより1時間ほど早く寝て、起床時間はいつも通りに保つことを心がけましょう。15〜30分程度の短時間の昼寝は問題ないので、必要に応じて取り入れつつ、睡眠リズムが崩れないよう工夫してみてください。
朝起きたらすぐにカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。
私たちの体内時計は1日が約24時間10分の周期で進んでおり、この約10分のずれが生活リズムの乱れにつながります。このずれを調整するために、朝の太陽の光が重要な役割を果たすのです。
朝、起床して太陽の光を浴びることで、不規則な睡眠時間や生活によって乱れた生体リズムを整えられます。生体リズムの正常化には、起床後30分以内に太陽の光を浴びることが最も効果的です。窓際でも良いので、朝は日の光を浴びるようにしましょう。
寝る前にスマートフォンを使用すると、脳が興奮して寝付きにくくなることがあります。また、スマートフォンの画面から発せられるブルーライトは強い光であるため、脳が「昼間だ」と勘違いし、眠りを促す物質が減少します。その結果、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下してしまうのです。このような状態が続くと睡眠不足にもつながり、生体リズムも乱れていきます。
質の良い睡眠のためにも、寝る前はスマートフォンを触らないようにしましょう。
生体リズムを整えるには、規則正しい生活が欠かせません。「食事」「運動」「睡眠」という3大要素はどれも重要です。
それぞれの行動を最適なタイミングで実行し、生体リズムを整えていきましょう。
【朝】
【昼】
【夕方~夜】
たとえば、以下のようなスケジュールで1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
仕事や家事などで、実行が難しい日も多いと思います。まずは、1週間のうち1〜2日だけでも良いので上記のようなタイミングを参考にして、生体リズムを整えましょう。
不眠や疲れ、肌の不調など「なんとなく調子がすぐれないな」と感じる場合には、生体リズムの乱れが大きな要因となっていることが多いです。これらの不調を根本から改善するためには、生活リズムを見直し、体内時計を整えることが欠かせません。1日の生活リズムが整うことで、生体リズムも正常化され、体の不調が少しずつ改善につながります。無理のない範囲で理想的なスケジュールを実践し、心身のバランスを取り戻していきましょう。
監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
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