「皮脂の量が多くて、顔のテカリが気になる」という方も少なくありません。皮脂の過剰分泌は肌質と関係があり、皮脂量が多い方は「脂性肌」に該当する可能性があります。
そこでこの記事では、脂性肌の概要と原因、テカリを防ぐスキンケア方法などについてご紹介します。
脂性肌(オイリー肌)とは
脂性肌(オイリー肌)とは、皮脂が過剰に分泌される肌のことです。皮脂は、本来であれば私たちの肌を護るために重要なもの。そんな皮脂が過剰に分泌してテカリやベタつきがおこっているのは、肌のバリア機能の低下を意味しています。つまり、皮脂によって護らなければならないほど、肌が無防備な状態になっているのです。
肌質には、脂性肌の他にも次のようなタイプがあります。
普通肌 | 水分と皮脂のバランスが良い。 |
---|---|
脂性肌 | 水分・皮脂ともに多い。 テカリやベタつきが目立つ。 |
混合肌 | 部分的に皮脂が多く、乾燥しがち。 |
インナードライ (隠れ乾燥肌) |
水分が少なく、皮脂が多い。 |
乾燥肌 | 皮脂も水分も少ない。 |
皮脂が多くなるのは、脂性肌・混合肌・インナードライ(隠れ乾燥肌)の3つです。これらは、一見すると見分けるのが難しいですが、脂性肌と混合肌やインナードライとの違いは「水分(保水力・保湿力)がある」点です。乾燥がなく、顔が異常にテカリ、常時ベタついた状態なら脂性肌の可能性が高いと言えます。
脂性肌の原因である皮脂分泌を抑え、テカリやベタつきをなくすには、肌のバリア機能を高めることが肝心です。肌質は先天的なものだけでなく、生活習慣やスキンケア、季節などによっても変化します。後天的、一時的なことで変化した肌質は、原因を知ってスキンケアなどで対策すれば改善できる可能性があります。脂性肌を改善するためにも、諦めずに正しいスキンケアを続けることが大切です。
脂性肌の方によくある悩み
脂性肌の方は、次のような悩みを抱えやすくなります。「自分の肌質は脂性肌に入るのかな?」と判断に迷っている場合は、当てはまる悩みがあるかチェックしてみてください。
- 顔、とくに鼻の頭がテカリ、化粧崩れしやすくなった
- 大人ニキビや吹き出物に悩んでいる
- 脂性肌のせいで、肌トラブルが絶えない
- 妊娠がきっかけで肌質が変わり、脂性肌になった
- もともと肌がオイリーなので、時間がたつにつれ化粧崩れしてしまう
- 夏になると肌の皮脂が浮き気味になる
- フェイスラインに大人ニキビができるため、つい触ってしまう
- 胃腸が弱くてストレスを抱えがちだからか、肌荒れが気になる
脂性肌の悩みはさまざまですが、やはり皮脂の過剰分泌によるトラブルに悩む方が多いようです。顔のテカリや肌荒れ(大人ニキビ・吹き出物)など肌そのもののトラブルを抱えている方もいれば、化粧崩れのように皮脂による間接的なトラブルに悩む方も少なくありません。なかには、妊娠したことがきっかけで漠然と肌質が変わったと感じている方もいます。
皮脂を排除するばかりのスキンケア方法は状態の悪化を招く原因になります。脂性肌の原因は各々異なるはずなので、まずは原因を把握し、自分に合ったスキンケアを実践しましょう。
脂性肌の方の顔がテカる5つの原因
脂性肌でテカリやベタつきがおきる原因は、おもに次の5つです。
- 皮脂の取りすぎ
- 保湿不足
- ホルモン
バランスの
乱れ - 間違った
スキンケアによる
肌への刺激 - 偏った食生活
\ 原因1 /皮脂の取りすぎ
脂性肌の方は、皮脂が多いことでおこる肌トラブルに敏感。それゆえ「皮脂=悪いもの」と思いがちですが、皮脂の取りすぎこそ脂性肌の原因です。
皮脂は、顔のテカリや大人ニキビなどを引きおこすことがあります。しかし、肌の水分蒸発や細菌・カビなどの侵入を防ぎ、外的刺激から肌を護っているのも皮脂です。洗顔やあぶらとり紙などで必要以上に皮脂を取りすぎてしまうと、肌を護るためにより多くの皮脂が分泌されるという悪循環に陥ってしまいます。
また、テカりやベタつきで悩んでいる方のなかには、あぶらとり紙の使い方が適切でない場合もあります。頻繁に使用したりゴシゴシ擦ったりすると、かえって皮脂の過剰分泌を促進させ、不要な刺激を与えてしまうことになるので注意してください。
\ 原因2 /保湿不足
脂性肌の方は、肌の水分が不足している可能性があります。肌のバリア機能を働かせるには、角質層に十分な水分を与えてあげることが大切です。肌の水分量が少ないと肌のバリア機能が低下し、外部の刺激に弱くなってしまいます。肌が外部刺激に弱くなると、ニキビや湿疹などの肌荒れの原因にもなるため、保湿を正しくおこないましょう。
また、テカリやベタつきが気になって、油分をつけないようにしていることがあるかもしれません。しかし、乳液やクリームを使用せず、化粧水だけで済ませるのはNGです。
化粧水で補った水分が蒸発しないよう、油分で蓋をすることが大切です。脂性肌であっても、スキンケアの最後は乳液やクリームを塗って終わらせるようにしましょう。
さらにスキンケアだけでなく、こまめな水分補給で内側からうるおいを補給することも大切です。
\ 原因3 /ホルモンバランスの乱れ
女性の肌は、ホルモンバランスの影響を大きく受けます。たとえば、思春期や生理の時期は肌荒れに悩む方が多いですが、これは皮脂分泌を促すホルモンが活性化するため。本来なら必要ない皮脂が分泌されることで、顔がテカったり、ベタついたりするのです。
上記はあくまでも一時的な脂性肌なので、2週間ほどで肌は落ち着きます。ですが、思春期や生理時期のホルモンバランスの乱れは避けられないもの。一時的な脂性肌になることを理解し、慌てずに対処することが大切です。
なお、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが崩れることで脂性肌になるケースもあります。ホルモンバランスを整えるためにも、日ごろの生活習慣を見直すことが大切です。
\ 原因4 /間違ったスキンケアによる肌への刺激
間違ったスキンケアで肌に刺激を与えると、皮脂分泌を活性化させてしまうため注意が必要です。
たとえば、以下の行為は肌に刺激を与え、皮脂分泌を促進してしまう可能性があります。
- 1日に何度も洗顔をしている
- 熱いお湯(冷たすぎる水)で顔を洗う
- クレンジングや洗顔時に、ゴシゴシ擦っている
- あぶらとり紙を頻繁に使用している
- ピーリングなどの摩擦がおきるケアを続けている
- 紫外線対策をしていない
思い当たることがあるなら、間違ったスキンケアによる肌への刺激が脂性肌の原因となっているかもしれません。上記の習慣を見直して、正しいスキンケアに切り替えましょう。
\ 原因5 /偏った食生活
食事のバランスを考えず好きなものだけ食べたり、揚げ物やお肉類、スイーツやスナック菓子を食べたりする頻度が高い方は、皮脂を増やしテカリやベタつきの原因につながります。
脂性肌のスキンケア
脂性肌を改善してテカリやベタつきをなくすためには、以下の点に気を付けましょう。
\ 注意点1 /皮脂を取りすぎない
皮脂は肌を護るバリアのようなもの。取りすぎてしまうと皮脂の過剰分泌を促し、果てには乾燥を招いてテカリやベタつきになるおそれがあるため、皮脂を取るスキンケアをしている方は取りすぎないスキンケアに早くシフトしましょう。
洗浄力が強いクレンジング剤や洗顔料は、必要な皮脂まで洗い流してしまいます。たとえば、過酸化ベンゾイルやサリチル酸、界面活性剤などの含まれているスキンケア商品は避けた方が良いでしょう。今、使っているクレンジング剤や洗顔料の成分も確認しておくと安心です。
また、リキッドオイルのクレンジング剤は皮脂を取りすぎてしまうことがあるため、ジェルタイプのクレンジングを使うことをおすすめします。
成分や洗い上がりがやさしいものを選び、不要な皮脂だけを取るスキンケアを心がけましょう。
\ 注意点2 /肌への刺激を防いでバリア機能を保持する
脂性肌のテカリやベタつきの原因である皮脂分泌を抑えるには、肌のバリア機能を高めることが肝心です。肌に備わったバリア機能は、万能ではありません。とくに摩擦に弱く、刺激を受けると肌を作る角質細胞の結束を弱めたり、刺激に対して過剰な防御反応を見せたりします。そのため、肌に触れる際は摩擦を与えないようにそっと触れることが大切です。
たとえば、クレンジングや洗顔時、タオルで顔を拭くときには摩擦による刺激がおきやすいためそっと押さえるように水分をふき取ると良いでしょう。花粉やアレルギーなどで目元を擦ったり、掻いたりするのも肌への刺激になってしまいます。このほか、化粧水を塗る際のコットンやパッティング、メイク時のパフやチップなども力を入れすぎると肌へダメージを与えてしまいます。
なるべく肌に触れないようにし、スキンケアやメイクなどで触れる際はやさしくケアすることを意識してください。
肌質は先天的なものだけでなく、生活習慣やスキンケア、季節など些細な状況の変化によっても変わります。後天的、一時的に変化した肌質は、原因を知ってスキンケアなどで対策すれば改善できる可能性があります。脂性肌を改善するためにも、諦めずに正しいスキンケアを続けることが大切です。
\ 注意点3 /紫外線対策を徹底する
紫外線を浴びると肌の水分量が低下するため、これ以上乾燥しないように皮脂分泌が過剰になり、テカリやベタつきがおこりやすくなります。また、紫外線は皮脂を酸化させて肌にダメージを与えます。紫外線を浴び続けると肌質の悪化だけでなく、あらゆる肌トラブルを招くため、1年中紫外線対策を徹底しましょう。
紫外線は太陽が出ている時間帯なら、季節や天気に関係なく降り注ぎます。紫外線量が少なくても、たとえ数分でも肌はダメージを受けるため、日焼け止めはもちろんUVカット機能がついた帽子や日傘、サングラス、衣服などで肌を護ることが大切です。
なお、紫外線は窓ガラスを透過して部屋のなかまで届くため、室内にいるときも紫外線には注意しましょう。遮光カーテンやUVカットフィルムなどを活用し、紫外線が室内に入らないように工夫してみてください。
脂性肌を改善する生活習慣
脂性肌の改善には、健康的な生活が必須です。ここからは、スキンケア意外の面で意識したい脂性肌改善の生活習慣を紹介します。
\ 留意点1 /十分な睡眠をとる
肌のコンディションを整えるには、十分な睡眠や質の高い睡眠をとることが大切です。睡眠が不足すると、ホルモンバランスが乱れることにより皮脂の分泌バランスも崩れてしまいます。新陳代謝を悪化させ、肌の水分と油分のバランスを崩しテカリやベタつきがおこりやすくなってしまうのです。
また、睡眠は自律神経にも大きく影響します。自律神経とは、交感神経と副交感神経がバランスをとりながら、体全体の機能をコントロールするものです。
睡眠が不足すると緊張状態を作り出す交感神経が常に優位に働くようになります。交感神経は男性ホルモンを活発化させてしまうため、皮脂の量が増えてテカりやベタつきの原因になってしまいます。
生活のリズムを整え、早寝早起きを心がけたり、睡眠の質を高めたりする工夫をしていきましょう。
\ 留意点2 /食生活を改善する
食生活を見直し、肌質の改善に役立つ食材や栄養素を積極的に摂取することを心がけましょう。脂性肌の方におすすめの栄養素は、ビタミンB1・B2・Cとパントテン酸です。
ビタミンB1は、皮脂の分泌量を抑制し、コラーゲン生成をサポートしてくれます。レバーや卵、牛乳、サバ、納豆などに豊富に含まれる栄養素です。
また、皮脂の分泌量をコントロールしてくれるのはビタミンB1。豚肉やたらこ、うなぎ、落花生、玄米などに豊富に含まれています。ビタミンCは皮膚の細胞を酸化から護ってくれるため肌トラブルの予防にも役立ちます。
パントテン酸は、エネルギー代謝に欠かせない栄養素で、ストレスを和らげるホルモンの合成に関係しているのも特徴です。ストレスは皮脂増加の原因になるため積極的に摂取しましょう。パントテン酸は、肉類、きのこ類、乳類、魚介類、豆類などに多く含まれています。なお、パントテン酸という名前は「至るところに存在する酸」という意味で、この名前の通りさまざまな食品に含まれているので、通常の食事をしている人では不足することはまずありません。
\ 留意点3 /喫煙や飲酒などの悪習慣を改善する
喫煙も皮脂分泌量の増加に関係しています。タバコの煙が肌表面に付着すると、肌は煙を害だとみなし、皮膚を護るために皮脂分泌を促します。喫煙はビタミンCを大量に消費することでも知られているため、脂性肌だけではなく、肌そのものにも良い影響を与えません。
また、お酒の飲みすぎにも注意が必要です。ビールや酎ハイ、カクテルなど糖分を多く含むお酒は、皮脂の過剰分泌を促進させます。アルコールは毛細血管を拡張して皮脂腺を刺激する作用もあります。また、利尿作用の強いものも多いため必要以上に体の水分を奪い肌の乾燥を招いて、皮脂の分泌過多を招くこともあるでしょう。肌質を改善するには、お酒の量や頻度にも注意が必要です。
喫煙や飲酒をはじめとするさまざまな悪習慣は、ストレスが原因になっていることがあります。リラックスタイムを持ったり、体を労わる習慣をつけたりするなど、ストレスを溜めない工夫をしていきましょう。
まずは1年! 脂性肌を根本から改善してテカリをなくそう
脂性肌の改善には、肌のバリア機能を高めることが大切です。即効性のある対策では皮脂分泌を止めてすぐにテカリやベタつきを完全になくすのは難しいですし、脂性肌そのものを改善しようとするなら最低でも1年はケアを続ける必要があります。時間はかかりますが、その後の肌は見違えるほど変わるはずです。根本的に脂性肌の改善を目指すなら、ぜひ上記を参考にしてみてください。
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